2・物語作りはイジワルになろう
前回、主人公とその降り立つ舞台が出来上がりました。
今度は主人公を動かして物語を作ってみましょう。
主人公が動く様にはなりましたが、ただ歩き回るだけでは面白くありません。
なので、主人公にちょっとイジワルをしてみましょう。
主人公の進んだ先に『事件』を用意します。自分の可愛い主人公ではありますが、ここは心を鬼にしましょう。古来より神様は気まぐれで残酷なものです。
最初は些細な出来事で構いません。こうする事で物語に『分岐』が現れます。この分岐の中で、主人公ならどれを選ぶか考えさせてみて下さい。作者もその中で一番面白そうな『展開』が待っていそうな分岐を、主人公にどうやって選択させるか頭を巡らせて下さい。
そして、この『展開』こそが物語を作る上で一番優先させるべき事柄なのです。
はっきり言って展開以外の文章力やら設定なんて二の次三の次です。面白ければそれが正義なのです! 文章や矛盾は投稿するまでに直せばいいですし。
遭遇した事件をとりあえず主人公に対応させてみましょう。どの分岐を選択し、どんな展開が待ち受けているのか。それは主人公の性格に大きく依ります。
1人で解決をめざすのか。それとも助けを求めるのか。はたまたより悪化させたり、逃げ出したりするかも知れません。
ただし、その選択に正解はありません。解決できず挫折したり、助けを求めた相手が悪党かも知れませんし、悪化させるつもりが何故か良い方向に転がるかも知れません。
それを決めるのは神様だけです。そう、我々作者です。
さて、神様はイジワルなのでもっとたくさんの事件を畳み掛けましょう。それはもう投げつける勢いで。それによって物語の分岐は増え、それはいずれ何かしらの『伏線』となるのです。
些細な事件なら割とあっさり解決させても良いですが、大きな困難。物語のクライマックスに陣取る最大の障害は簡単には解決できないものです。
ここでのタブーは「前触れもなく大きな力を得て、または突然力を持つ者が現れて解決」、「普通にあっさり解決」です。盛り上がらず終わります。
クライマックスでいきなり神様が現れて悪役を退治したり、悪役が弱かったら興ざめでしょう?
大きな困難はこれまで主人公が歩んできた道のり、物語各所に散りばめた多くの『伏線』の集大成をもってぶつけましょう。読者と共に積み重ねてきた多くの出来事が、乗り越えてきた困難の数が主人公の力となるのです。
神様がイジワルであればある程物語は深みを増し、面白くなるのかも知れませんね。
では、まとめ。
『作者は心を鬼にして、主人公にたくさんイジワルしよう』
『主人公に事件を対応させよう。そして起こりうる様々な分岐から面白そうな展開を選択させよう』
『ただし、その選択の結末はイジワルな作者の胸三寸』
『展開が正義であり全て』
『大きな困難はこれまでの伏線の集大成をぶつけよう』
とにかく物語は『面白い』が全てです。まぁ、それが難しいんですけどね。
あと、ある程度書き溜めてから投稿した方が良いかも知れません。
私も含め、初心者の人は当然プロではありません。言ってしまえば締め切りを守る義務がありません。
書き進めていく内に設定を作り直したり、展開を変えたりしたくなる事が多々あるはずです。
なので、ある程度書き溜めれば、一番面白い展開に仕上がってから投稿する事ができます。たくさん書いていく内に作者自身の文章力も鍛えられているので、後々文章のクオリティを上げる事だってできます。複数話書き溜めてあれば、それが尽きるまでは安定的な投稿もできます。
アマチュアである強みを活かすのも、面白い作品を作る手段となるのです。
それでは、これを読んで下さったあなたのお役に少しでも立てたなら嬉しく思います。
ホント、面白いが絶対です。
展開が面白ければ、日本語が壊滅的にひどくても書籍化まで持っていけます。そういう作品をたくさん見てきましたから。