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1・まずは主人公とその足元から

 小説を書く際、まず必要なもの。


 そう。『主人公』です。


 皆さんにももしかしたらいるんじゃないでしょうか。「自分の考えた最強にかっこいい主人公(達)」が。


 私にもいました。若かりし頃に考えた主人公が。外見から性格、能力、過去、人間関係や目的など様々な設定を考えていたものです。

 しかし、何故かそれを物語に使おうとするとなかなか思う様に動いてくれません。頭の中では自由に動き回っているのに、いざ物語に組み込むと全く物語が進まないのです。次第に「自分には物語を作る才能無いなこりゃ」と、諦め、以来十数年心の倉庫に封印してきました。


 ふと最近「 このキャラ、このまま墓まで持っていくのは可哀想だな」と思い、久し振りに引っ張り出してみたんです。時間が経っていたおかげか、当時より冷静な視点から見る事ができる様になっていました。

 そこで閃いたのが『設定の軽量化』でした。

 主人公の設定を徹底的に削ぎ落とす。もうゴッソリ削って下さい。元のキャラクターとは「パラレルワールドに住んでるソックリさんだったんだ」くらいの気持ちで。

 

 そうして残ったのが主人公の


「名前」

「外見」

「性格」

「特技」


でした。過去や目的すら省略です。家族すらいるのかいないのか不明です。この4つ、特に性格を絶対にブレさせない様に進めれば、芯のあるキャラクターと物語が作れます。

 そして、最後に追加したのが『現状』です。今現在どの様な状態にいるのか。現状を追加したら『主人公が何をしたいか』が連想されました。


 例として、私が現在投稿している『ミケのオンラインリハビリテーション』にて挙げてみます。


 名前=『シェリル・キア』

 外見=『色々小さい。黒髪。ジト目』

 性格=『無口だけど感情豊か。戦いにはシビアだけど誠実』

 特技=『天才的な格闘技術』


 そして、現状=『大怪我で入院中』。

 そこから何をしたいか=『リハビリでVRMMORPG』が連想されました。


 他の設定が無いので、展開ごとに都合のいい設定を自由に追加して辻褄を合わせる余地があります。まだ始まっていない物語ですので、書いていく過程で後々設定を追加していくスタイルにしてみました。

 おかげでビックリするくらい面白い様に動いてくれる様になりました。


 あと、主人公の『性格』はどこか作者である自分と似通った性格にすると書きやすいです。

 あまり自分とかけ離れた性格だと頭が付いていかず、これもやはり上手く書けないので。天才キャラなど、そういったキャラはある程度書き慣れた頃に脇役として登場させる方が良いでしょう。



 それから、主人公が物語と一緒に動いてくれるのにもうひとつ大事なものがあります。


 『舞台』です。

 物語は主人公の進む足元から作られていくと言っても過言ではありません。

 物語の舞台。主人公が降り立つ『場所』の設定は主人公と違って詳細に作っておいて下さい。その際、場所の設定がしっかりしていないと、書いていく内に矛盾が発生し主人公が足を踏み外してしまいます。

 ただ、作るのは主人公の目が届く範囲だけで良いです。見えない部分は主人公同様、物語の都合に合わせて後々設定を変更できる余地を残しておけます。

 スゴロクのマス目の様に、主人公が進む度に舞台は新しく替わっていきます。その度に舞台の設定は毎回しっかり作っていきましょう。私は写真や、あればその場所に行った体験談なんかを探して形作っています。あと、使う道具や行事なんかも資料を見ながら形作っていきましょう。

 自由に、またはおっかなびっくり足を踏み出そうとしている主人公の、その足場を整えていくのが作者の仕事だと私は思っています。大道具や小道具係みたいなものですね。


 それともっと大きな『世界観』の構築。その世界の法則、現代風なのかファンタジー風なのか。魔法はありか無しか。国やそれらの勢力図はどうなっているのか。科学技術の発展具合なども考えておけばより主人公の足場が固まりますし、次の舞台への想像も膨らむかと思います。

 これも主人公に見えない部分はボヤッとさせておきましょう。


 ある程度慣れてくると主人公が進みたい方向を先読みできる様になってきます。少し先回りして舞台の設定を考えたり、伏線を考えたりもできる様になるでしょう。


 逆に、物語を作る上でのタブーは「ラスボス戦」を最初に考えて物語を作ろうとしてしまう事です。初心者にありがちな失敗例代表です。……よくやらかしてましたね。ええ。

 終着点が決まってしまうと物語の自由度が下がり、これまた思う様に書けなくなります。あくまで物語は主人公の足元から作られます。足元からじっくり始めていきましょう。ある程度書き進めれば、もっと良い結末がいくつも思い付くものです。



 さて、これで主人公のフワッとした設定と、その足場たる舞台のしっかりとした設定が出来上がりました。


 これで小説を書く準備は完了しました。


 これだけで良いんです。実際、私はこれくらいの状態で書き始めました。

 では、どうやって書き始めるか。


 目を閉じ、主人公になったつもりで物語の舞台に立ってみて下さい。そして、足を踏み出し、耳を澄ませ、風の匂いを嗅いで、空気の感触を確かめ、歩いてみて下さい。歩きながら辺りを見回し、そこにある建物や日の光、人々の様子はどうか見てみて下さい。ちょっと探検してみましょう。

 足下の感触は硬い石の床なのか。それとも柔らかい草の繁った土なのか。雨上がりの泥の混じった水溜まりなのか。

 耳に届いたのは人々の雑踏か。それとも小鳥のさえずりか。風に擦れる木の葉の音か。

 風に乗ってきたのは屋台で焼き上げられた香ばしいお菓子の匂いか。森の中の青い木々の匂いか。はたまた血と硝煙に息詰まる戦場の匂いか。

 気温は暖かいのか寒いのか。ジットリしているのかサッパリしているのか。天気は晴れか雨か。

 それらの中心にいる主人公は何を考え、感じているのか。


 ただそれをそのまま書くだけで良いのです。五感全てで感じたままを書くだけで物語は始まります。

 また、地の文は主人公の視点で語られる『一人称視点』だとこういった主人公の感想をダイレクトに書けるので、初心者にオススメです。主人公の心の声がそのまま地の文になる感じです。



 では、まとめ。


『主人公の設定は軽く。舞台の設定はしっかりと』


『物語は主人公の足元から始まる。作者はその足場を作る事に徹する』


『主人公を歩かせてみよう。そこで感じたままを書く』


 私でもこれを意識しただけで突然文章らしきものが書ける様になりました。ホント、去年突然に。ビックリです。

 上手い下手は気にしないで、とにかく自分が楽しいと思える事が大事です。実力は書いてる内にいつの間にか上がっているものです。


 それでは、これを読んで下さったあなたのお役に少しでも立てたなら嬉しく思います。

 これを書いてみた後で他の方の「小説の書き方」を読んでみたら、内容ほぼ真逆……。皆さん主人公の設定を重点的に作り上げているんですね……。

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