この世界にスマホ依存症って無いだろうなたぶん
「何寝ぼけたこと言ってるの?あなたの名前でしょうが。どうしたの?雪だるまでも頭に食らったの?バカなの?うつけなの?降り始めた雪があなたの記憶消したの?」
「おい好き勝手言ってくれてんなお前いい加減にしねぇとありのままの俺見せんぞゴルァ」
「うん。すこーしも怖くないわ♪」
「ブッコロ」
「立場をわきまえて。私、女王陛下だよ?せっかく助けてあげたのに、何で自分から断頭台に立ちたがるの?」
まるで人が変わったように………いや、そうでもないか。ともかくふんぞり返るリシャ。
ええ加減にせえよこの98円のシャーペンが黙って聞いてりゃ調子乗りやがって、と思った俺は血管の二、三本を犠牲にここでは書けないような罵声を浴びせようとしたが、
その時、頭のなかで響く声があった。
『主様!主様!
気持ちはわかるけどちょっと耐えて!』
『?!』
リシャの口は動いていなかった。相も変わらずくそ憎たらしいドヤ顔でふんぞり返っている。
『主様!今、頭のなかに私の声がしてとうとう前からおかしかった自分の頭が崩壊のときを迎えたかと思ってる最中だと思うんだけど』
「おいコラ、てめ」
『あーーーっ待って待って!とりあえず何も言わないで!
せっかく脳内回線開いてるんだからテレパシーで喋って!頭のなかで喋りたいこと思い浮かべるだけで会話成立するから!』
リシャの声は立体音響のボカロ曲のように頭の回りをぐるぐる回転しながら響く。
戸惑いつつも俺は、とりあえず言われた通りにしてみた。
『シャーペン風情が黙って聞いてりゃ偉そうにしやがって現実世界に戻ったらプラスチック容器ごみの日にカップラーメンの容器にぶっ刺して捨ててやる』
『あれ?おかしいな?ぶっ壊れてんじゃないのこの魔法』
『うわすごい。本当に思ったことが頭のなかで音声化されて』
『ちょょょっと主様?!待ってよ、プラスチック容器ごみの日に私を捨てるだなんて!
自慢じゃないけど私の体ダイオキシンでいっぱいだよ?有害だよ?地球に優しくないよ?だからせめて、せめてヤフ○クかメ○カリで転売の程を!お慈悲を!』
『バーカんなことするわけないじゃん』
『だ、だよね!さっすが主』
『手数料と送料の分だけ損じゃねぇか大体お前新品で98円だぞ身の程を知れ』
『わーーーーっ!!め、メル○リだったら手数料タダだから!送料なんて着払いでいいじゃない!一寸のシャーペンにも五分の魂ってことわざ知らないの?!てか、許して!なんでもするから!』
『だったら後で土下座して詫びてください』
『?!』
『………どうした?主に頭を下げるのはプライドが許さないか。
だとしたらそれは大きな間違いだ!お前が頭を下げるのは俺じゃない。
俺を馬鹿にする過程で、侮辱してきた全ての小説登場キャラだ!
与えられた役割を果たしたにも関わらず、蔑まれ、パクりだ似てるだとお前に貶された全てのキャラたちだ………!
痛みを!苦しさを!痛みを!ついでに熱さを!お前にも味わって貰う!』
『ぐううぅ………!』
『やれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
フ・リシャ・ペンナー大和田ァァァァァァァァァァァ!!!』
『は、半沢ァァァァァァァァァァァ!!!』
「あの、陛下?さっきからなぜ黙っておられるのです?」
心配そうにリシャにそんな事を言ったのは鉄道大臣のおっさん。
我に帰ったようにはっとしたリシャは「えっ、ああ、いやいや、ちょっと倍返しされてただけ」と返答すると、にへらと笑ってその場を誤魔化す。