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封術学園  作者: 遊馬瀬りど
第4章「可能性の魔女」
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第88話「違和感」

★☆★☆★





 後期期末考査――所謂学年末考査を終えてから一週間後。

 学生たちが勉学に励む教室が並ぶ本棟から渡り廊下を繋いだ多目的棟の講堂前には、第一から第三学年までの学生たちが集まっていた。

 講堂前の電子スクリーンに表示されている考査試験の結果を眺めているのである。


「それにしても相変わらず多いな……」


 九槻秋弥はその様子を遠巻きで見つめながらひとりごちた。


「四年生と五年生がいなくても、あまり変わりないのですね」


 その独り言に、両手を前で合わせて姿勢良く立っていた天河聖奈が応える。

 聖奈の言葉どおり、現在の鷹津封術学園には最上級生の五年生と四年生がいない。

 五年生が卒業前の最後の課題として取り組んできた封術研究の論文発表会に出席しているからだ。

 そのため鷹津封術学園の校内は普段よりも数割増しで閑散としているのだが、毎回のことながら考査の結果がずらりと並んだ電子スクリーンの前は学生たちでごった返している。一喜一憂する学生たちを眺めつつ、こういう行事も学年が上がるにつれて――言い換えるならば大人に近づくにつれて興味が薄れていくものなのだろうかと、元々行事にあまり関心を持っていない秋弥はふと思った。


「天河、聖條女学院でもこういう学生同士の競争ってあったのか?」


 学生たちの様子をただ眺めていても退屈だったので――名目上は学生自治会の役員として多くの学生が集まる場所で問題が発生しないかを監視しているのだが――秋弥は何ともなしにそう訊ねてみた。

 聖奈は封術学園に入学するまでの間、頭に超が付くお嬢様学校として有名な聖條女学院に通っていた。幼稚舎から大学院までの一貫教育を基本理念としており、聖條女学院に通う女学生は特例を除いて寮生活が義務付けられていると聞く。また、女学生の多くは卒業後すぐに大企業や名家へと嫁いでいくため、その内情が公になることはほとんどなく、聖奈のような例は極めて稀だと言っても良いだろう。


「そうですね……わたし自身、あまり意識したことはありませんでしたが、言われてみればほとんどなかったと思います」


 聖奈は天井を仰ぎ見るように小顎を持ち上げ、少し考えるような仕草を見せた。


「授業内容の理解度を測るために学力試験は定期的に行われていましたが、その結果を他の方々と積極的に比較するようなことはほとんどありませんでした。身体を動かすような行事でもそれは同じでしたね」


 ということは、封術学園の教育理念と聖條女学院のそれは相反するのかもしれない。


「ですが、そのことが理由で自己の向上心が高められないかといえば、そんなことはありませんでした」


 ちょうどいまその疑問を言葉にしようとしていた秋弥は口を閉ざした。


「聖條女学院では年に二度、各学年から数名の月桂樹(ローリエ)……模範生が選ばれます。模範生に選ばれた子たちは他の子たちに対して模範的であるように振る舞い、模範生に選ばれなかった子たちは模範生のように振る舞えるよう努めます。そのようにして互いに向上していくことを、聖條女学院では由としています」


 競争によって高め合うのではなく、模範や憧憬によって高めあうということか。目指すべきところは同じでもアプローチの仕方が異なるという点では、やはり封術学園と聖條女学院では教育理念が真逆なのだろうと思えた。


「その他にも、上級生と下級生が擬似的な姉妹関係を結ぶことによって上級生が下級生の面倒を見、下級生が上級生を手本とする姉妹(スール)制度というものがあります。こちらは模範生(ローリエ)制度よりも身近なもので、聖條女学院に通う子たちのほとんどが、他の子との義姉、義妹関係を持っていました」


「ふ、ふぅん……そうなのか」


 秋弥は思わずたじろいだ。

 模範生制度はともかくとして、姉妹制度に関しては一貫校ならではの制度なのかもしれないと思う一方で、思春期男子として何か良からぬ想像をしてしまっても責められないだろう。外界との交流をほぼ完全に近い形で隔絶している聖條女学院の敷地内では、秋弥たち一般人には及びも付かない日常が花開いているのかもしれない。

 意図せずそんな情報を知ってしまった秋弥だったが、気を取り直して話題を戻した。


「それなら天河も、こういう成績の順位はあまり気にならないのか」


 もうこれで四度目となる考査なので、聖奈の答えは想像できていた。

 しかし――、


「全く気にならないかといえば、嘘になりますね」


 聖奈からの意外な返答に、秋弥は眼を丸くした。周囲の音が少し遠くに聞こえるように感じたのは、無意識のうちを聖奈の方へと意識を傾けていたからだ。


「意外でしたか?」


「……ん、まあな」


 先にそう訊ねられた秋弥は軽く肩をすくめて応じる。その態度が可笑しかったのか、聖奈はころころと微笑んだ。


「わたし自身の成績順位にはあまり関心はありません。ですが、わたしよりも高い順位にいる方のことは、やっぱり気になりますね」


 秋弥と眼を合わせながらそう言った聖奈の頬に、さっと朱の色が混ざった。不意に瞳を瞬かせたかと思うと、合わせていた目線を逸らす。


「……?」


 秋弥はその様子を怪訝そうに見つめていたが、すぐにハッとして同じように顔を逸らした。

 聖奈の成績順位は教科別に見ると多少のバラツキこそあるものの、今回の学年末考査でも学年総合で二位の成績を修めている。とすると聖奈よりも高い成績を修めている者は必然的に一人ということであって、それはすなわち……、


「えっと、あの……」


 聖奈が言葉に探して視線を泳がす。

 そういう態度(・・・・・・)をされてしまうと、秋弥も掛ける言葉をなくしてしまう。

 後期中間考査では彼女に総合一位の座を譲ったものの、学年末考査では再び学年総合一位の成績を修めていた秋弥は会話に困って頭を掻いた。


「その……えっと、ごめんなさい」


 と、なぜか謝られてしまった。


「……わたしはまだ封術に関して不慣れなので、同い年で優秀な成績を修めている九槻さんのことを尊敬していますし、憧れも抱いています、という意味でした」


 必死に弁明の言葉を口にした聖奈。それはおそらく彼女の本心なのだろう。

 けれども、それだけでは彼女が見せた態度の説明にはなっていなかった。


(また変な勘違いをされるとでも思ったのかな)


 先月のバレンタインデーのことを思い出す。あのときも一悶着あって大変だったが、それをまた蒸し返すつもりはない。


「心配しなくても変な勘違いはしてないさ」


 とりあえずそう言っておけばこの話はここで終わりだろう。

 そう思っての言葉だったのだが、聖奈は少し寂しそうな――申し訳なさそうな表情とはまた別の色合いを含んだ表情を見せた。ただそれも一瞬のことで、電子スクリーンに視線を向けていた秋弥はそれに気がつかなかった。


「それはそうと、天河。今回うちのクラスの成績が軒並み高くなってることに気づいたか?」


「……? それは良いことではありませんか」


 聖奈も成績上位者の名前がずらりと並んでいる電子スクリーンに眼を向ける。朱鷺戸綾や牧瀬玲衣、沢村堅持といった親しい友人の名前は毎度おなじみとして、注意して見てみれば確かに秋弥の言うとおり、一年三組の他のクラスメイトの名前もすぐに見つかった。


「それはそうなんだが、そうじゃなくて。何か不自然だと感じるところはないか?」


 そう言われても聖奈にはよくわからない。成績が悪くて問題になるならまだしも、成績が良くて問題になることがあるのだろうか。

 聖奈はもう一度、今度はじっくりと電子スクリーンを眺める。科目や教科毎の順位表を見ているだけでは、秋弥が不自然だと感じていることは見つからないのだろうか。それならばと視野を広げて、複数の順位表を見比べてみた。そこから他の順位表と重なっている学生――平均的に高い成績を修めている学生の名前を除外していく。

 すると、


「あっ……」


「天河も気づいたか」


 秋弥の言葉を聞いて聖奈は確信する。

 各種順位表の中で専門教科の――封術の実技一科目の順位表だけが、一年三組のクラスメイトの名前で埋め尽くされていた。その順位表には成績上位の常連であった太刀川夜空の名前も見当たらない。


「……ですが、わたしたちのクラスは元々入試成績の上位者で集められていますし、不自然というよりも必然という風に思えますが」


「どうだろうな。封術の座学でならともかく、学園に入学するまでは実際の封術が使えないんだから、入試の成績と実技の成績はそこまでの関係はないと思うぞ」


 鶴木や綾のように『星鳥の系譜』に名を連ねる者や一部の例外を除いて、封術学園を受験した時点ではまだ封術を行使するための装具を持っていないことが普通だ。それにどれだけ座学で好成績を修めていたとしても、その結果が必ずしも実技の成績に繋がるとは限らない。


「理由はそれだけじゃない。天河はあまり意識したことがないかもしれないけど、うちのクラスの専門教科カリキュラムは、他のクラスとだいぶ違っているんだ」


「それが何か問題なのですか? カリキュラムが違っていたとしても、今回の実技試験で試験対象となった二つの術式は、どちらも授業で習っていましたよね」


「あぁ、実技の授業で習ったな――学年末試験の三か月くらい前に」


 聖奈の頭上に疑問符が浮かんでいるように見えたのは秋弥の見間違えではなかった。相変わらず「それが何か問題なのですか?」という表情を浮かべたままの聖奈に、秋弥はどう説明したものかと逡巡した。


「何て言えば良いんだろうな……。習うには習ったけど……あぁそうだ。天河は三か月前に食べた昼ご飯のことを覚えているか?」


「え、えっと……すみません。よく覚えていません」


「まあそれが普通だろうな。俺も覚えていない」


 ほぼ毎日学食を利用している二人だったが、さすがの優等生たちも三か月前のメニューを覚えてはいなかった。


「だけど、たとえば昨日や一昨日に食べたメニューなら覚えているだろ?」


「はい、昨日の主菜は豚肉のピカタで、一昨日は薬膳粥を選びました」


「ん、まぁ実際に食べたもののことは良いんだけど……」


 薬膳粥なんてメニューにあったかなと頭の片隅でメニュー表を思い浮かべながら、「それと同じことで」と前置きをした。


「俺たちは試験対象の術式を三か月も前に習った。だけどこの二つの術式――『土礫』と『水檻』を他のクラスが習ったのは試験の始まる二、三週間前だったはずだ」


 自治会役員としての雑務の最中、一年三組の専門教科の授業カリキュラムが他のクラスとどのくらい違うのか気になって調べてみたことがあったのだが、秋弥たちのクラス担任――袋環樹の組んだ授業カリキュラムは他のクラスのものと比べて、より実践向きの内容となっていたことがわかっていた。


「普通に考えて、三か月前に習ったことよりも一週間前に習ったことの方が良く覚えているものだろ?」


「それはそうかもしれませんが……」


「それにクラスを受け持っている封術教師の評価対象は研究成果だけがじゃないんだ。身になっているかはこの際さておいて、自分が担当しているクラスの学業成績を上げるために、こういう手段に出ることも少なくはないと思う」


 直接的に口には出さなくても、座学の授業で要点に下線を引いたり、頻繁に同じ公式を用いる問題が出たりしたならば、それは教師からの無言のメッセージなのだと受け取ってまず間違いない。そういうことに気づいて表面上だけ上手に立ち回ってきたクラスメイトたちがいることを秋弥は知っている。


「九槻さんの言うことはよくわかりました。ですが、昼食の話は別として、勉強に関して言えば結局のところ本人がきちんと復習をしているかどうかだと思います」


 そんな風に、折り目正しい優等生の聖奈は模範的な回答をした。


「はは、全くの正論だ。きっと天河は聖條女学院でも模範生だったんだろうな」


 聖奈が眼を丸くして気恥ずかしげに顔を伏せたのを見た秋弥は苦笑を漏らす。模範生だったという部分はおそらく正解なのだろう。ちらと眼を向けた聖奈に秋弥は肩を竦めてみせた。


「クラスのみんなが天河みたいな考え方を持っていたら、きっと全体的にも成績が上がるはずなんだ。だけど今回は実技一科目――『水檻』だけが不自然に高い」


「不自然、ですか」


「まあ不自然というのは穿ちすぎた見方かもしれないけどな。実技試験は不正の入る余地が一切ないから、やっぱりこれはクラスのみんなの実力なのかもしれない。だけど、どうにも腑に落ちない」


「腑に、落ちない」


「まったくのゼロではないからあり得ないとは断言できない。それでも一学年百五十人のうち上位三十人が全員、三組の学生になる可能性はいったいどれくらいなんだろうな――」


 最後の方は独り言のように呟いた秋弥がふと視線を動かした――そのとき、


「天河?」


 聖奈がぼんやりとした瞳で明後日の方向を見つめていた。

 焦点が定まっていないかのように何処か遠くを見つめる瞳からは生気がまるで感じられない。つい先ほどまで会話をしていた相手のただならぬ様子に秋弥が目を見張った、次の瞬間だった。


「きゃぁ――――――ッ!!」


 突然の叫び声が聞こえたのは、聖奈が視線を向けていたその先だった。

 何か問題が発生したらしい。


「天河、行くぞ」


 秋弥は条件反射的に駆け出しながら聖奈に声を掛けるが、その声がいまの彼女の耳に届いているかはわからない。しかし、それを確認するよりも現場に急行する方を優先すべきと判断した秋弥は構わずに叫び声が聞こえた方へと向かった。

 そこには既に人だかりができていた。

 秋弥は学生自治会役員であることを告げながら学生の間をかき分けて件の中心へと進んでいく。すると少し開けた床の一面に大量のガラス片が散らばっていた。そのすぐ傍では治安維持会メンバーを示す赤い腕章を付けた男子学生が三年の女子学生と向き合って話をしていた。


「鶴木。何があった?」


 秋弥よりも一足早く現場に駆けつけていた鶴木真がその声に反応して顔を向けた。どうやら治安維持会の巡回業務で現場の傍に居合わせたらしい。


「九槻か……。僕も直接見ていたわけじゃないから、いま状況を確認していたところだ――どうやら天井の電灯が突然落ちてきたらしい」


 その言葉に秋弥の視線が天井へと向いた。

 見上げた天井には、鶴木が言ったように電灯の灯っていない箇所があった。


「落下した電灯が誰にも当たらなかったのは幸いと言えるな。さすがにあの高さから落ちてきた電灯が当たっていたら、気絶程度じゃ済みそうにない」


 鶴木がそんな風に付け加えて肩をすくめると、ショックから醒めきっていない女子学生が途端に涙を流して嗚咽を漏らした。彼女の傍にいた友達と思しき同級生が優しく背中をさすったり声をかけたりしている様子を視界の隅に納めながら、秋弥は視線を鶴木へと戻した。


「誰かが封術を使ったというわけじゃないんだよな?」


「あぁ、僕も最初にその可能性を考えたけど、少なくとも封術の過剰光を見た学生はいなかった。スフィア会長は四、五年生と封術教師がいないこのときを狙って問題を起こす学生が少なからずいるとは言っていたが、これは偶然の事故と考えて良いと思う」


「偶然、ね……」


「なんだ、気がかりでもあるのか?」


「いいや、何でもない」


 さっきまで聖奈と話していたことが頭を過ぎったが、それはさすがに考えすぎだろう。

 不自然なことも、偶然も、起こるときには起こるものだと、このときの秋弥はそこで思考を止めてしまった。


「それはそうと九槻。お前、今日は珍しく一人なのか?」


「ん? あぁ、いや……」


 珍しくはないだろと思いながら秋弥は振り返ってみるが、そこに聖奈の姿はない。急ぎこちらに駆けつけてしまったが、おかしな様子を見せていた聖奈のことも心配ではあった。


「天河も一緒にいたんだが……」


 言いながら元来た道を引き返して聖奈を迎えに行こうと秋弥が身体の向きを変えたそのとき、ざわついている人垣を隔てていても鈴の音のように綺麗な声が聞こえた。


「すみません、通していただけますか」


 丁寧な断りを入れながら聖奈が人垣の中心へと入ってくる。人垣の割れ方が秋弥のときよりも大きかったのは気のせいではないだろう。触れてしまったらたちまち壊れてしまいそうな儚さを白の制服で包み込んだ聖奈が秋弥たちのいる人垣の内側に入って来たのを見て、秋弥は内心で胸を撫で下ろした。軽く呼吸を整え終えた聖奈が状況説明を求めてきたので、秋弥は簡単に説明をした。


「そうでしたか。大事に至らなくて幸いでしたね」


「そうだな。だけど、天井の照明は卒業式前に一度点検した方が良いのかもな」


「星条会長が戻られたら提案してみましょう」


 そんな事務的な会話をする聖奈からは先ほど感じた異質な様子は見られない。ただわずかばかり顔色が優れないように見えた。


「ひとまず、床に落ちたガラス片で二次被害が出る前に僕たちで片付けてしまおう。皆さん、ここは学生自治会と治安維持会の役員が引き取るので、解散してください」


 学園で起こる大小様々ないざこざの仲裁に慣れた鶴木がテキパキと周囲に指示を飛ばす。こうして見るとスフィアが鶴木を治安維持会のメンバーに加えたのは最良の判断だったと言えるのかもしれない。

 人垣が三々五々と散っていくと、鶴木が装具を召喚して『風』系統の封術式を発動させた。秋弥と聖奈も封術を用いて床に散らばったガラス片をまとめ取ると、封術による事象改変によってガラス片をガラス玉へと変えた。


(そのまま電灯に戻せれば楽なんだけどな)


 ガラスで覆われていた電灯の残骸を拾い上げながら秋弥は思う。製品レベルの物質を再構築するためには封術の技術だけでなく、その分野での知識や経験も必要だ。それに同じ物を大量に生産するのならばやはり生産機械を用いた方が遙かに効率的だ。


(封術は、万能じゃない)


 無能ではなく、有能であるが、万能ではない。


(だけど、再構成するのではなく、元に戻せるのだとしたら……?)


 秋弥はちらりと聖奈の様子を伺った。技術的に実現不可能と言われた完全治癒術に似た何らかの術式を使った彼女ならば、あるいはどうなのだろう。

 そんなことをふと思い出しながら、秋弥たちは手早く片付けを終えた。


「……どうした? 校内の巡回に戻らなくて良いのか?」


 片付けを終えても一向にその場を離れようとしない鶴木を怪訝に思っていると、鶴木が呆れたような眼で秋弥を見た。


「もうそろそろ一時限目の予鈴が鳴る時間だろ」


「ん、もうそんな時間か」


 思っていた以上に時間が経っていたようだ。


「らしくないな。学年末考査が終わったからって気が抜けてるわけじゃないだろうな」


「そのつもりはないんだけどな……」


「ふん、まあいいさ。九槻がその調子なら、進級したら追い抜くのは簡単そうだ」


「そうなったら天河がお前の壁になるだけだな」


「……相変わらず減らず口な奴だな」


「それはお互いさまだろ」


 四校統一大会以降、鶴木との間にあったわだかまりも多少は和らいだような気がする。

 やがて予鈴が鳴り、三人で教室へと戻る。

 この時期は封術教師も全員学園から出払っているため、授業はすべて一般教養科目となる。

 封術の訓練施設の使用も基本的には禁止となるので、封術学園の学生たちにとっては一時の休息を謳歌することになるのだった。



★☆★☆★



 ――そうは言ってもここは封術を学ぶための学園である。

 中学生までは一般教養科目のみを学んできた学生たちであっても、皆が一様に一般教養科目を得意かと言われれば決してそうではない。

 それに封術学園で学ぶ一般教養科目は「一般教養」という名前に反して、封術という特異な専門技術に特化した内容から優先的に教えていくのである。そのため、一年にして物理学や物理数学、化学(ばけがく)の基礎が大きなウェイトを占めており、この段階で苦戦を強いられる学生も大勢現れてくる。


「学年末考査も終わったってのに、毎日毎日何でこんなにハードなんだよ……」


 一限目の授業が終わった途端、沢村堅持が呻き声を上げた。朝から特殊な記号が踊る物理数学を九十分耐久で頭に叩き込まれたおかげだ。


「正直、こんなのがもう一日続くとか考えられないぜ」


「封術の授業が緩衝材になってたか?」


「あぁ、もしかしたらそうなのかもしれない」


「確かに中学の頃と比べると内容も難しくなってきてるよな」


「その割には涼しい顔しやがって。この学年主席」


「だけどここで置いて行かれると、この先取り返すのが厳しくなるぞ」


 秋弥がしみじみと言う。

 現在秋弥たちが習っている内容はあくまでも基礎中の基礎であって、第三学年からはこれらを基盤とした応用数学、応用物理学、応用化学が必修科目として加わってくる。脱落したくなければ今の苦労は買ってでもするべきだった。


「まあ全くわからないってわけじゃないから良いんだけどさ。数学やってるのに何語だよって思うときとかあるじゃん? 公式の名前が人の名前だったりさ。あぁいうのを覚えるのって苦手なんだよ」


 堅持はどちらかといえば直感で行動するタイプだ。封術の事象改変は物理法則や化学変化に則ったものだが、改変前後の結果が等価であれば仮定は問われない。

 もっとも、封術式の展開が早ければ早いほど、正確であればあるほど、改変後の干渉力が変わってくるのだが――。


「あたしも苦手。歴史の年表みたいに語呂合わせで覚えられないかなっ! ひとよひとよにひとみごろ、みたいなかわいい感じで」


 もう一人の直感タイプである牧瀬玲衣が二人の席までやってきた。まるでそこが自分の指定席であるかのように慣れた手つきで秋弥の隣の席から椅子を引き寄せて座る。


「シグマとかガンマが出てくる時点でもう無理だろ」


「だよねー。何で記号の上とか下に数字を付けたがるのかな。あれ、何かゴチャゴチャしてて意味不明なんだよね」


「でも、それこそひとつの模様だと思って見てみれば、解法のパターンも簡単に導き出せるようになると思うよ」


「ああ、なるほどね! さすが綾!」


「綾ちゃんは物理数学が得意だから良いよなぁ」


 朱鷺戸綾と星条奈緒、それに聖奈も秋弥たちの席の周りに集まった。休み時間は大抵このメンバーで過ごすことが多いので、今ではすっかり当たり前の光景となっていた。


「うん。物理数学はどちらかと言えば封魔術よりも調律術寄りだからかもしれないけど」


「あ、そっか。そう言われればあたしは物理より化学の方が得意かも。モルって単位は可愛いと思うし」


「いやそれは関係ないだろ」


 秋弥が即座に突っ込みを入れる。

 しかし綾の言うことには一理あって、封術を行使するための九つの原質のうち、六つは物理または化学に当てはめることができる。


「『虚空』と『波』が物理で、『火』と『水』と『風』と『地』が化学かな。奈緒はどっちの方が得意?」


「んー……どっちもどっちかな。学年末の成績も同じような点数だったし」


「ふぅん、そっか。だけど星条会長が何でも出来るんだから、奈緒も同じなのかもしれないねっ!」


「うん? ……うん、そうだったら嬉しいな」


「シュウ君と聖奈は今更って感じだもんね。苦手な科目がないのって羨ましいなぁ」


「そんなことはないぞ」


「えっ」


「苦手だからたくさん勉強してるだけだ」


「むむむ……」


 痛いところを突かれたというように玲衣が顔をしかめると、綾と奈緒が小さく笑った。


「あと一週間で後期のカリキュラムも終わるんだから、もう少しの辛抱だな」


「そうだねー……春休みになったら何しようかな」


「みんなでお花見でもする?」


「あ、それいいねっ! でもその時期に桜咲いてるかなぁ」


「それなら封術で成長促進とかできないのか?」


 堅持がふと思いついたことを提案する。

 封術で自然治癒力の促進ができるというのなら、植物の成長を促進させることだってできるはずだと考えたからだ


「は、あんた何言ってんの?」


 玲衣が冷めた眼を堅持に向ける。奈緒も少し困った顔で言った。


「たとえできたとしても、封術師見習いは校外で封術を使っちゃいけないんだよ、沢村くん」

「何言ってんだ、星条さん。俺たちには校外でも封術が使える友達が二人いるだろ」


 ニヤリと堅持の頬が釣り上がった。その瞳は秋弥の方を見ていた。


「秋弥と天河さんの二人が揃っていれば、校外でも封術を使うことができるんだろ」


「あっ……」


 そういえばと思い出した奈緒と玲衣も、視線を秋弥に向けた。確かに学生自治会の役員が二人以上集まっていれば、学園の外でも特例として封術を使用することができる。

 とはいえ、そんな風に私利私欲のために封術を使用することが認められているわけではないし、そうでなくても会長たちがそのことを知ったらどんな仕打ちを受けることになるか、考えるのもそら恐ろしい。

 もちろん堅持もそれが軽口の冗談だとわかっていて言っているのだろう。秋弥が曖昧な笑みを浮かべたのを見て満足した様子だった。


「まあさすがに封術を使うわけにはいかないけど、花見をするってのは良案だと思うぞ」


「シュウ君もそう思う? じゃあシュウ君はお花見に賛成ということだねっ!」


 春休みにどれくらい学生自治会の仕事があるかにもよるが、予定を空けることが全くできないこともないはずだ。


「ああ、前もって日程が決まっていれば大丈夫だ」


「やった! じゃあみんなの予定を聞いていっちゃおうかな」


 嬉々とした表情で玲衣が声を上げる。端末(デバイス)の画面にカレンダーを表示して順々に顔を見回した。


「私は今のところいつでも大丈夫だよ。もし遠くに行くなら家の車も出せると思う」


「俺も実家に帰る予定はないし、部活のない日だったらいつでも良いぜ」


「奈緒と堅持はいつでも大丈夫っと……綾は?」


 カレンダーとにらめっこをしながら玲衣が次を促す。

 こうやって率先してまとめ役を買って出るところが、彼女がクラスでも中心人物となり得た秘訣なのかもしれない。


「ごめんね玲衣ちゃん。私は終業式の翌日とその次の日の二日間は実家に帰っちゃうんだ……。でもその後だったら大丈夫だよ」


「はーい。じゃあ最後に聖……奈?」


 仮想ディスプレイ上に映し出されたカレンダーの日付を指ではじきながら顔を上げた玲衣が聖奈の方を見ながら言葉尻を疑問符に変えた。

 その様子に秋弥たちも怪訝に思って眼を向ける。普段からメンバーの輪の中にいても大人しい方だとはいえ、これまで一言も言葉を発していないのは妙だった。


「聖奈!? どうしたの!? 大丈夫!?」


 視線の向けた先では、聖奈が名工の彫刻を思わせる美しい顔立ちを苦悶に歪ませていた。思わず玲衣が大きな声を出したものだから、談笑に興じていたクラスメイトたちもすわ何事かと見開いた眼で聖奈に注目した。


「……すみません。ちょっと調子が悪いみたいです」


 聖奈が弱々しい声を漏らす。ただでさえ白磁のように白い肌をさらに青ざめさせて辛そうにしている様子は、「ちょっと調子が悪い」どころではないように思えてならない。


「ちょっとって……俺にはとてもそうは見えないんだけど」


 堅持がどうして良いかわからずに伸ばした手を中空に留めている。秋弥も椅子から腰を浮かせていた。


「俺も同感だ。天河、いますぐにでも保健室に行って先生に看てもらった方が良い」


 今朝の見回りを行っていたときにも聖奈の様子が普通ではないときがあった。思えばあのときにもう少し親身になっていれば良かったのかもしれないが、別の問題が発生したためにそれどころではなかった――というのは今更言い訳にもならないだろう。

 聖奈が何と答えたとしても保健室には連れて行った方が良いと判断した秋弥が再び口を開こうとしたそのとき、


――キーン。


 と、不意に鐘の音が鳴った。

 聖奈に注目していた全員の目が一瞬、教室に設置されているスピーカーへと向いた。「え、なんで……」「まだ時間じゃないよね?」「何かトラブルかな」といったクラスメイトの声が方々から聞こえる。

 だが、まだ予鈴の鐘が鳴る時間ではない。

 いましがた聴こえたチャイムは何だったのかと疑問符を浮かべたクラスメイトも大勢いたが、三組のクラスメイトに限っては、それよりも憂慮すべきは聖奈の体調の方だった。

 再び皆の視線が聖奈へと向いたとき、彼女の傍には顔色を伺うように覗きこんでいる綾の姿があった。


「……聖奈さんは私が保健室に連れて行くね。玲衣ちゃん、手を貸してもらえるかな」


「う、うん。もちろんだよ!」


 慌てて聖奈の傍まで駆け寄った玲衣を見て、聖奈は申し訳なさそうに瞳を伏せた。額にはうっすらと汗の玉が浮かんでいる。それを玲衣がハンカチで丁寧にぬぐいながら、三人は慎重な足取りで教室を出て行った。

 後に残された秋弥たち三組の学生はしばらくの間、時が止まってしまったかのように三人が出て行った教室の扉をじっと見つめていた。だがそれも時間の経過とともに氷が溶けるようにゆっくりと弛緩していき、やがて気を取り直したように注目していた視線が方々へと散っていった。


「聖奈ちゃん、大丈夫かな……」


 ただそれでも、心配の種がなくなったことにはならない。

 表情を曇らせた奈緒と眼が合った堅持は、どう答えたものかと眉をハの字にした。


「どうなんだろ。あんな天河さん初めて見たから……。秋弥、お前は朝も天河さんと一緒だったんだよな? そのときの天河さんの様子はどうだったんだ?」


 堅持も聖奈が見せたただならぬ様子に驚きを隠せないようで、奈緒の質問から逃げるように秋弥を見た。


「……そのときは確信がなかったけど、さっきの天河の様子をみたら、やっぱりそうなのかと思うようなことはあった」


 言葉にはし辛かったが、その兆候はあった。しかしその後の聖奈の様子から、とてもそうは思えなくなってしまったのだった。だから秋弥は気に留めてはいたもののそれ以上突っ込んで訪ねる真似をしなかったのだが、結果としてそれが裏目に出てしまったようだ。


「そうなんだ……。でも、聖奈ちゃんさっきまで元気そうだったし、私も全然気づかなかったよ」


「俺もだぜ。まあその辺のことは俺たちよりも朱鷺戸さんの方が詳しいと思うし、戻ってきたら聞いてみようぜ」


 本当は本人に聞いてみるのが一番なのだろうが、さっきの様子からして聖奈は当分教室に戻ってこないだろう。それにいま、彼女のそばには玲衣と綾も付いているし、これ以上心配していても自分たちにできることは何もない。

 二人もそれはわかっているのだろうが、一度重く沈んでしまった空気を再び元に戻すのはなかなか難しい。逸らすための話題を探すというのもそれはそれで不純な気もするが、何か別の話題はないものかと秋弥が思案していると、「そういえば」と堅持が言った。


「さっき、何か突然チャイムが鳴ったよな」


「うん、鳴ってたね」


 言いつつ、奈緒が首を傾げた。


「でも、いつもとメロディーも違っていたね。こう……キーンって、一回だけ鳴らして止めたような中途半端な感じ。それにまだ予鈴の時間になってないから変なタイミングだったし」


「そうなんだよな……。なあ秋弥、お前にも聴こえてただろ?」


「ああ」


 短い返事で応えながら、秋弥も不自然なタイミングで鳴り響いた鐘の音のことを考えてみることにした。人力ではなく機械で制御している鐘の音が時刻を誤ることがあるのだとしたら、誤作動以外にはあり得ないのだが。

 秋弥は時刻を確認する。

 気がつけば予鈴の鳴る時間に迫っていた。


「三……二……一…………」


「……鳴らないな」


 秋弥が予鈴の鳴る時間に合わせてカウントダウンをしたが、ある程度予想していたとおり、時間になっても予鈴の音は鳴らなかった。

 やはり何らかの理由で機械の時刻が前にズレてしまったのだろう。とするとこの後にはまた中途半端な時刻に本鈴を告げるはずの鐘の音が鳴る可能性が高い。

 そんなことを他人事のように思っていた秋弥であったが、それを正すのは学園運営の一部を任されている学生自治会の役員である自分たちの仕事だったことを思い出した。

 すると、ちょうど良く端末(デバイス)に一通のメールが届いた。

 送り主は秋弥と同じ学生自治会役員である鵜上亜子だった。会長の悠紀と副会長の朝倉が不在の自治会で、いまや唯一の良心とも言える彼女からのメールに秋弥は目を通した。


「……どうやらシステムトラブルがあったみたいだ。だけどもう自治会の先輩たちが元に戻したから、本鈴からは正常に動作するだろうってさ」


 メールの内容を堅持たちにも伝える。

 秋弥が行動を起こすまでもなく、上級生たちが迅速に対応してくれたようだ。


「お、さすがは学生自治会だな。会長たちがいなくても仕事が早いぜ」


「それは俺に対する皮肉か?」


 堅持がニヤニヤと笑っているのを見て、秋弥は苦い顔をした。

 もう後一か月も経てば自分たちは進級し、後輩もできる。学生自治会の一員として、今回のような突発的なトラブルにも今後はもっと慣れていかなければならないだろう。


「だけどそっか。そういうこともたまには起こるんだな……」


 と言った堅持の言葉は妙に歯切れが悪かった。

 まだ何か気がかりなことでもあるのだろうか。


「何か気になることでもあるのか」


「ん、いや、何て言って良いかわかんねぇんだけどさ……最近どうも、違和感みたいなもんを感じてるんだよな」


 モヤモヤとした思いが内心で渦を巻いていた堅持はそう吐露する。違和感と聞いて秋弥がすぐに思い浮かべたのは、今朝、講堂前で聖奈と話していたことだ。


「さっきのチャイムにしてもそうだ。疑問に持たなければそれだけのことで、そういうこともあるって片付けられるんだけど、やっぱり不自然だと思っちまうんだよ。なあ秋弥、お前も内心じゃ不自然だと感じてるんじゃないのか?」


 堅持の言葉に、秋弥は眉根を寄せた。

 たったそれだけで、秋弥も同じ思いを抱いていると読み取った堅持はさらに言葉を続けた。


「……やっぱりそうか。それならもう気づいてるかもしれないけど、今回の学年末試験の成績でも違和感を覚えるようなところがあったんだが、秋弥、わかるか?」


「ああ……。『水檻』の成績上位者のことだろ」


「さすがに気づいてたか。あれも、そう考えると不自然なんだよな」


 堅持が勘づいていたことには少々驚いたが、意外だとは思わなかった。中学からずっと運動部に所属していたからか、あるいは元来の素養なのか。堅持はがさつそうに見えて、実は誰よりも周囲の様子を良く見ているのだった。

 だからこそ、本来ならば見過ごしても良いような些細な変化――違和感にもこうして疑問を覚えたのだろう。


「え、どういうこと?」


 堅持と秋弥が二人だけで納得するのを見て、一人だけ蚊帳の外にいた奈緒が頬を膨らませる。学年末の成績が端末からでも見られるようになるのは、最上級生たちが論文発表会から戻ってきてからだ。まだ講堂に行って成績上位者の確認をしていない奈緒に、堅持が説明した。


「あとで実際に自分の眼で見てきた方が実感を持てるとは思うけど、今回の実技試験で『水檻』の成績上位者は俺たち三組の学生で埋まってたんだよ」


 それを聞いた奈緒は驚きに眼を白黒させながら、真偽を確認するように秋弥の顔を見た。


「ああ、間違いない。ただ……違和感は覚えるが、絶対にあり得ないとは言い切れないからな」


 難しい顔で秋弥が言う。

 奈緒も「そうだよ」と同意した。


「だって今回の『水檻』の封術は私もすごく頑張ったし、学年末の試験だったからみんなも頑張ったんだよ」


 四校統一大会を終えてからずっと、奈緒たちはこれまで以上に封術の技量を磨くようになった。それは術式の練習に付き合っている秋弥にも重々わかっていたことだ。

 それに、今回の実技試験までに奈緒は『水檻』の術式を完璧とは言えなくても十二分に使いこなせるようになっていた。その身体に『天壌』星条家の血が流れる彼女には、本人が気づいていなかったというだけで他の人よりも封術の才能があったことは確かだ。だがしかし、それを理由に彼女が努力した成果までを否定するつもりはないし、それは絶対にしてはならないことだ。

 とはいえ――。


「星条さんはそうかもしれないけど、俺は正直言って、今回の『水檻』は自信がなかった」


 堅持は首を横に振った。


「だってよ、お前らも見ていたから知ってると思うけど、俺は練習でも五回に一回くらいしか『水檻』をちゃんと制御できなかったんだぜ。それなのに実技試験で二回とも制御がうまくいくなんてことがあるか? まあ自分で言うのもなんだけど、俺は練習よりも本番に強い方だし、そういうこともあると思った。でも、こうして結果として表れてみると、何だかそれも出来すぎてる」


 出来すぎている。

 その言葉を、秋弥は内心で反芻した。

 堅持たちが感じている違和感の正体は、まさしくそれなのかもしれない。

 まるで――眼に見えない何者かが運命を操作しているような感覚。

 絶対にあり得ない。

 そう言い切れないだけに、モヤモヤとした違和感だけが胸の内にゆっくりと、しかし確実に堆積していった。





「マリアさまがみてる」は好きです。

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