報告書まとめ2
間章~第3章における隣神討滅、課外活動の報告書になります(あらすじ)
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『課外活動報告書』
■報告者
学籍番号********* 九槻秋弥
■報告日時
2053年08月21日 18時
■活動年月日
2053年08月21日
■概要
神来駅周辺で発生している『神隠し』の調査および隣神の仕業であった場合の討滅。
活動開始時点で7件の『神隠し』が発生しており、その名が示すとおり被害者は発見されていない。
失踪した被害者に共通点はなく、通常であれば刑事事件として扱われるべき案件であるが、『神隠し』に巻き込まれたとみられる被害者のうちの一人に封術師が含まれていたことから、封術教会を通じて調査依頼が下った。
■活動参加者
学籍番号********* 星条悠紀
学籍番号********* 九槻秋弥
■活動内容
課外活動を開始する直前に本学園の学生、天河聖奈(学籍番号*********)が本件に類似した事件に巻き込まれたという報告を受けたため、神来町駅前のショッピングモールへ移動して牧瀬玲衣(学籍番号*********)、朱鷺戸綾(学籍番号*********)と合流。二人から事情を伺った後、天河聖奈と最後に別れた場所と本事件の7件の発生現場から、天河聖奈が向かったと思われる場所を特定。現場の路地にて異層領域が地下の用水路にあることを突き止める。マンホールを利用して地下用水路に降り、そこで気を失って倒れている天河聖奈と、地下用水路に彼女を惹き入れた隣神を発見。隣神を討滅した後、天河聖奈を学園の寮まで送り届けて本課外活動を完了した。
■特記事項
牧瀬玲衣、朱鷺戸綾の両名には学生自治会が行っている課外活動を説明した。
討滅した隣神はかつてマンホールから落下して命を落とした男児が神格化した存在であった。
隣神の討滅報告書は別途。
以上。
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『課外活動報告書(秘)』
■報告者
学籍番号********* 星条悠紀
■報告日時
2053年10月**日 **時
■活動年月日
2053年10月**日
■概要
本報告は特殊条件下において隣神が顕現した場合の活動報告であり、以降に記す内容のとおりである。
■活動参加者
学籍番号********* 星条悠紀
学籍番号********* 朝倉瞬
学籍番号********* スフィア・智美・アンダルシア(治安維持会)
学籍番号********* 鵜上亜子
学籍番号********* 火浦千景(治安維持会)
学籍番号********* 九槻秋弥
学籍番号********* 天河聖奈
学籍番号********* 鶴木真(治安維持会)
■活動内容
四校統一大会の競技中に第一演習場の観戦席で人間に擬態した高位隣神『観察者』を九槻秋弥が発見。『観察者』を会場外まで誘導したところでクラス1th高位隣神『原罪の獄炎』(注1)の乱入により『観察者』が斃される。その後、他のメンバーが九槻秋弥と合流。『原罪の獄炎』は2体の高位隣神を顕現させて退却(注2)。新たに顕現した高位隣神を討滅して本活動を完了した。
■特記事項
自ら『観察者』と名乗った高位隣神の容貌は壮年の老紳士で、『観察者』本人と九槻秋弥の証言より、『観察者』は現層世界の存在に対する敵意や害意を持っていなかったと判断する。
『観察者』を斃した『原罪の獄炎』は、何者かの指示によって行動していたと考えられる。
注1:『原罪の獄炎』は過去に顕現が確認されており、今回の一件によりシンフレアという名が判明した。
注2:『原罪の獄炎』が退却した理由は定かではないが、2体の隣神を顕現させて退却する直前、『原罪の獄炎』は天河聖奈を見て『可能性の魔女』という言葉を残している。これが何を意味しているのかは天河聖奈本人にもわからないようだったが、その言葉には重要な意味が隠されているように思われる。
隣神討滅報告書は別途。
以上。
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『隣神討滅報告書(秘)』
■報告者
学籍番号********* 星条悠紀
■報告日時
2053年10月**日 **時
■討滅年月日
2053年10月**日
■概要
課外活動(報告書ID:**********)中に遭遇したクラス1th高位隣神が顕現させた隣神の討滅。
■討滅対象
蛇の頭を持つクラス3rd級の亜人型高位隣神(2体)。
炎の力による驚異的な肉体治癒能力を有する。
■顕現の原因
クラス1st高位隣神『原罪の獄炎』の顕現に伴う星の矛盾許容によって発生した良い層領域から顕現。
■顕現時の状況
クラス1st高位隣神『原罪の獄炎』が意図的に顕現させた。顕現した隣神は『原罪の獄炎』の眷属であると考えられる。
■隣神への対処
分担して2体の隣神の討滅にあたったが、高位隣神の有する高い戦闘能力と炎の治癒力を前に様々な系統の術式を用いて全員が善戦するも、ほとんど有効な攻撃を与えられずにいた。
最終的に、一方の隣神を斃し終えたクラス1st高位隣神リコリスの圧倒的な力によってもう一方の隣神も討滅した。
■事後処理
隣神の討滅後、『原罪の獄炎』が生み出した異層領域の調律を実施。
調律は九槻秋弥とリコリスの2名が担当し、調律後確認は星条悠紀とスフィア・智美・アンダルシアが担当した。
■被害報告
外傷はやけどやかすり傷、打撲などの軽傷のみだが、高位隣神との戦闘で全員が精神的に疲弊した状態となっていた。
■特記事項
学生たちへの被害が被害報告以上の大事に至らなかったのは高位隣神リコリスの助力によるところが非常に大きく、彼女の力がなければクラス3rd級の高位隣神2体を討滅することができなかった可能性が高い。
以上。
※以下、星条悠紀が鷹津宰治学園長宛に報告書を提出した際に加えた文章
また、ひとつ気がかりなことがありました。
それまでどれだけ攻撃を受けてもたちまちのうちに炎の力で癒やしていた隣神が、天河聖奈さんの行使した『水球』の術式によって再生困難なダメージを受けているように見えました。
『水』系統の術式は他の学生たちも行使していましたが、生半可な干渉力では隣神にダメージを与える前に炎の力で蒸発してしまっていたことから、彼女の『水球』に込められた干渉力が非常に高いものであったことは容易に想像できると思います。
天河聖奈さんの『水球』にはいったいどれほどの干渉力が内包されていたのか。そして彼女がそれを自覚して行使していたのか。
今後、注意しておく必要があるかもしれません。
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『調査経過報告書』
■報告者
封術師認可ID************* 鷹津宰治
■報告日時
2053年01月**日
■概要
第9回四校統一大会において、競技『神の不在証明』中に発生した封術事故に関する一次調査経過報告をまとめる。
■経過報告
封術事故が発生した原因を明確にすべく鷺宮封術学園生の榊瑪瑙のメンタル状態を解析したが、封術の暴走という精神的な負荷が榊瑪瑙の『意』に与えた影響は大きく、芳しい成果を得ることができなかった。
しかし、事故発生の前後に会場内のエリシオン光波長に不自然な揺らぎがあったことが、現場に居合わせた多くの封術師の証言により明らかとなっている。
故に我々は一つの仮説として、競技中の術師に対して外部からの介入があった可能性も疑わざるを得ない。
また、我々の誰もが対処に当たることのできなかった封術の暴走を最小限に留めた『矛盾螺旋』九槻月姫の容体に関してだが、一命は取り留めたものの榊瑪瑙と同様に『意』に受けた負荷は大きく、今後しばらくの間は装具の召喚および封術の行使はできないだろう。
精神的にも不安定な状態が続いているようだが、九槻月姫の持つ封術の才能は我々の想像を遙かに上回っており、ここで失うのは惜しい逸材である。加えて封術事故を未然に防げなかったことは我々の不手際でもあるため、特例処置として、その才能が再び目覚めるそのときまで、九槻月姫を無期限の休学扱いとすることを正式に決定した。
以上。
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『調査経過報告書』
■報告者
封術師認可ID************* 鷹津宰治
■報告日時
2053年10月**日
■概要
第9回四校統一大会において発生した封術事故に関する最終調査経過報告をここにまとめる。
■経過報告
第10回四校統一大会期間中に邂逅した『原罪の獄炎』により、第9回四校統一大会で発生した封術事故の原因が『原罪の獄炎』もしくは『原罪の獄炎』の眷属によるものであることが判明した。
また、『原罪の獄炎』と邂逅し、思念言語により会話をした鷹津封術学園生の九槻秋弥の証言により、『原罪の獄炎』の狙いが『矛盾螺旋』九槻月姫の殺害であったことが明らかとなっている。
しかしながら、クラス1st高位隣神である『原罪の獄炎』がなぜ他者の無意識領域に介入するというような回りくどい手段を取ったのか。そしてなぜ九槻月姫の命を狙ったのか。この封術事故に関しては未だに不明瞭な部分も数多く残されているが、当事者である『原罪の獄炎』が何者かの指示により行動している可能性も浮上しているため、今後の調査は『原罪の獄炎』の干渉波を追う方向に切り替えるとともに、これをもって封術事故の原因調査と調査経過報告を終了とする。
以上。