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封術学園  作者: 遊馬瀬りど
終章
109/111

第???話「世界を観察する者」

★☆★☆★





「ここにひとつの物語が終わり、ひとつの季節が終わる。


「"イレギュラー"九槻秋弥は『抑止力』のひとつと接触を果たした。


「現在を司る"可能性の魔女"の力――天河聖奈の心に干渉した。


「その結果が何をもたらすのか、それはまだわからない。


「そこから先は、未来に起こる出来事だ。


「そう――ひとつの物語が終わりが、人生の終わりではない。


「物語が終わっても、人生は続く。


「人生は――続いていく。


「九槻秋弥の人生も、天河聖奈の人生も、誰も彼も。


「もちろん、我々も(・・・)


「そして人生が続いていく限り、物語は終わらない。


「ひとつの物語の終わりは、新たな物語の始まりにすぎないのだから。


「だからこそ私は、全てを視て、全てを識ることを望む。


「それは『星』の意思であり、私自身の意思でもある。


「それこそが私――"観察者(ウォッチャー)"の存在証明なのだから。


「ほら、また新しい季節が始まろうとしている――」





■□■□■





 世界は巡る。

 季節も巡る。

 新しい季節の始まりは、新たな出会いの始まりでもあった。



「シュウに……じゃなかった。秋弥センパーイ!」


 浅間伊万里(あさま いまり)は努力の成果と元々の才能によって、平均よりも少し高い成績で封術学園に入学した。



「あぁ? てめぇに聞いてんじゃねぇよ」


 山野辺彼方(やまのべ かなた)は天性の封術センスと壊滅的な筆記成績で封術学園に入学した。



「わかったら、永遠に静かにしていてくれないかな」


 望月隼人もちづきはやとは学年トップの筆記成績と学年ビリの異層認識力(オラクル)で封術学園に入学した。


 これといった共通点のない三人が出会ったのは、一人の少女だった。



「みなさん、仲良くしましょう」


 神不知火詩遠(かみしらぬい しおん)――生まれつき両の眼の視力を失っていた少女を中心にして、『抑止力』のひとつ、過去を司る"不可逆の聖女"を巡る物語は展開されていく。




「伊万里はこんなところで何をしてるんだ?」



「あら、私はただ、秋弥君に会いに来ただけよ?」



「まだお前には勝てないようだな」



「つまり……どういうこと?」



「わたしの眼でも視えないですぅ」



「実はね、ずっと楽しみにしていたんだ。シュウヤと戦えることをね」



「秋弥なら何とかするだろ」



「いいねェ、戦いってのはこうじゃねぇとなァ!」



「それともまだ続ける? 智美お姉様?」



「後輩たちに手出しはさせませんよ」



「君は僕の敵だ」



「自治会のみなさんに比べたら大したことはできないと思いますが、私たちも秋弥さんと聖奈さんの力になりたいんです」



「お姉ちゃんは秋弥くんのことどう想ってるのかなって」



「……もしかしたら、わたしたちはずっと思い違いをしていたのかもしれません」




 彼らの選択は――いつも正しいことばかりではない。

 たとえその選択が誤りだったとしても、世界は構わずに先へと進んでいく。



「どうして怖がるの? "死"なんてものは"生"の延長でしかないというのに」


 そして"不可逆の聖女"は問う。


「それじゃあ君は死んだらどうなるか知っているの? 死んだことがあるの? 死んだ後の世界を見たことがあるの?」


 人間の生死を――。

 存在の生死の意味を――。



「"生"と"死"は、だから結局――」



 ――等価なんだ。







 封術学園2~二律背反のコンチェルト~





※公開時期未定

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