①-sequel その日の天宮家 登場人物紹介②
後日談及び一章でのキャラクター紹介です。
side:Lemyi
イライライライライラ。
今の私は相当ムカついている。
それはもうものすごくわかりやすいほどに。
漫画で表記されるなら確実に私の背後の文字はイライラで埋め尽くされるほどに。
というのも原因はただ一つ。
「…………」
「アンタいつまでボケてるのよ!!!」
聖人が帰ってくるなりずっとこんな調子だからだ。
「………」
「あ~もうイライラするわねアンタ! いつもムカつくけど今日はいつもの三割増しでムカつくわ!!」
さぁツッコミなさいいつものように!
きっとこれを繰り返せば元に戻っていくはず…。
「…っていつもそんなに腹立ててたのかよー……ハァ」
あーもう! なんなのこれ! なんなのよこれは!
しかもツッコむ所もおかしいしそもそも気力ゼロだし!
ていうかそもそも神の御遣いであるこの私がなんでコイツのために気を使わないといけないの!
そりゃあ世話になってるし結局今回もなんだかんだで私が帰った後に愛奈ちゃんの『満足』を得ることができて"上"に送れたしついでにバスケ部の人からもいくらか取れて大収穫だったから文句ないのだけど。
でもあれよね。
『満足』回収できたのはいいけど、あれ回収しちゃうと本人の『満足』を回収する前後に大きく関わった人との記憶が若干曖昧になるらしいんだけどそこらへん愛奈ちゃんとかどうなのかしら。
にしてもあの気の抜けよう。
そして私が去ってからの愛奈ちゃんの『満足』の流出。
もうこれは―――。
「アンタ、愛奈ちゃんと何かあったわね?」
「ぶふぅ!!!」
あ、やっぱり。
もはや動揺することを誤魔化すことなく堂々とみせてくれたわ。
「べ、別に何もねーよ」
「もう言い方が駄目ね、それじゃあったって言ってるようなものじゃない」
「別に関係ねーだろ。それにお前のいう…『満足』だっけ?」
「そうよ。正式名は『satisfaction Energy』通称S・Eよ」
「まんまだな」
「名前はどうでもいーの。要は集まればいいんだから」
「随分適当だな」
「そういう苦情は上にお伝えください」
「はぁ…まぁいいや、お前と話して落ち着いた。それに俺との記憶もなくなるもんな」
「あら、知ってたの?」
「お前が教えたんだろ」
そうだったかしら?
あの時は
『お前よかったなあの天宮に当選したぞ! これでお前の成果が出るのは至極当然! 期待しているからな!』
『はい! ありがとうございます!』
あっちの"セカイ"にはこっちの"セカイ"の私たちの手助けをできるの可能性がある者の情報が入ってくるのだけれど、今思えば結構いい加減なシステムだったわ。
映像や画像といった本人を確認できるモノは一切なし、本人の詳細な性格についての情報もなし。
唯一ほぼ正確なのが、一般人を基準とした上での本人の持つ身体的、精神的な能力の詳細。
私は最初目を疑ったわ。
ここまで一人の人間に偏って才能が集まるものかというほどに、聖人のステータスは高かった。
それこそ今まで見たことがないほどに。
研修時代にあまり優秀な成績を上げられなかった私にとっては彼と組むのが"守護長"の枠に入る一番の近道と思い、私はすぐに彼に"応募"した。
結果は成功。
私は彼の元につけるチャンスを貰った。
猶予は一週間。
その間になんとかして私の存在を気づかせること。
とった手段がたまたま見つけた彼のブログ。
私は内容も一切読まずに画像を送ってそして成功した。
そして私は落ち込んだ。
「まさかこんな駄目人間だとはねぇ」
「レミィさんや、そういうのは本人の聞こえないところで言うんだよ」
「いいのよ聞かせるつもりで言ったんだから」
「んだとこのブスエセクサレシスタ…肋に確実なダメージがぁ!!」
ちょっとウザいから見事にボディブローを決めてやったら変な言葉を発して沈んでいったわ。
ていうか聖人はもしかして私をシスターと勘違いしてるのかしら?
まぁ確かに登場したときはシスターの格好してたしまぁ"向こう"にいたときも基本そんな格好だったしいつも十字架のネックレス下げてるし、でもこれは最低限の"向こう"の力を使うのに必要な触媒だからしょうがないし…つまり私が言いたいのは…。
「私は天使よ!!」
「悪魔の間違いだろ」
失礼な聖人には再びボディを決めたからほっといて。
さっきから黙ったまままるで動かないけど大丈夫よね?
べ、別に、好きで殴ったわけじゃないんだからね!
さて、私の正体をどうやって伝えよう。
確かに私は天使だけどどっちかといえばまだ見習いで今は天使見習いだからまだ天使とはいえないし…でもシスターはもう卒業だから微妙な立場なのよね今。
元研修生?
って言ってもわからないわよね。
天使見習い?
ん、これが妥当ね。
あ~でも聖人のことだからもっとそれなりのこと言わないと信じてもらえないかも。
そもそもマトモに取り合ってくれるかもわかんないし。
あ~もう!!
「どうすればいいのよぉ!!」
「……俺を介抱すればいいと思う」
「あら、生きてたの?」
「死に掛けたわ!! なんか変な川があるかと思ったら死んだはずの爺さんいたし! あれ絶対の三途の川だっただろ!」
「私が見たわけじゃないし知らないわ」
「恐ろしいほど無関心!!」
「心配しないで。私がちゃんと天使になった暁にはちゃんと天国に運んであげるわ!」
「…」
「…」
「天使ってなんだよ」
し、しまったわ!
うっかり口がっ!!
一瞬焦ったけど聖人だしボケで流されるとばかり思ってたのに!
はぁ…しょうがない。
丁度いい機会だしこの際説明しておこう。
「説明すると長くなるわよ?」
「え~」
「え~じゃない! もう聞くの決定!」
「なんかおかしくね?」
「二人とも~ご飯よ~!」
下から玲子おば様の声がした。
「だってよ。話は飯の後な」
「う~。いい? 晩御飯食べたらすぐだからねっ」
「はいはい」
聖人はのそのそと下に降りていく。
全く人の気も知らないで…。
でも、聖人ならなんだかんだで受け入れてくれそうな気がする。
そう思うと少しだけ気が楽になった。
私は駆け足で聖人に追いついた。
「さぁ聖人! しっかり食べて明日も人助けするわよー!」
「マジかっ!?」
「マジもマジよ!」
「か、勘弁してくれーーー!!」
とりあえず、私は今のままで大丈夫っ。
《wish1の登場人物紹介》
●芹沢愛奈
6月15日生まれ。
元々はバスケットをしていたが自他共に認める運動オンチで高校からはマネージャーに転職。
真面目で物事にも集中しやすい性格で、部内では働き者と評判。
だが、空回りするのが玉にキズ。
それでも愛くるしいルックスと健気な態度は確実に男子バスケ部の癒しとなっている。
願望実現委員会最初の相談者。
●キャプテン
10月10日生まれ。
蓮城学園バスケ部主将で3年生。
誕生日が体育の日だったせいか小学生からバスケを始める。
身体能力は高いが少々不器用な面も見られる。
2年よりキャプテンとしてチームを引っ張っていただけあり精神的にもチームの柱となって支えている。
真面目な性格だが決して堅苦しいわけではなくこれもチームを思ってのことだ。
外見は結構な強面だが、その趣味が動物を愛でる事だということは聖人と彼との唯一の秘密だ。
ちなみに本名は木戸毅。
作中には結局最後まで登場することがなかった。
●赤岸
8月9日生まれ。
一年三人組の一人で一番の長身。
184cmと恵まれた体格をしているが175cmの聖人に容赦なく叩きのめされたがその後はリバウンドも成長し、今ではチーム一のリバウンド数を誇るとか。
最近の口癖は『リバウンドを制するものはゲームを制す』という某赤髪坊主を彷彿とさせる発言だがダンクは未だ成功なし。
聖人が去った後でも若干の記憶を頼りにして聖人に再び遭遇、以来トレーニングを習いにいってるだとか。
ちなみに聖人は面倒なので無茶なメニューばかり押し付けるらしい。
●原
1月18日生まれ。
自称インテリと豪語する原だがそれを示唆する描写が一度もなくさらには顔面肘打ちの餌食にされたりと結構残念な男。
ちなみにインテリという設定が跡付けなのは私との秘密だ。
パスが得意だったが聖人にコテンパンにされ以来自らも動ける選手になったとか。
ちなみに愛奈が3人が聖人の悪口を聞いて更衣室に入ってきた際に唯一下着姿で見られたのも原である。
●坂江
4月25日生まれ。
チーム一俊足の持ち主でチーム一女に振られた男。
ルックスこそ悪くないが結構お調子乗りの性格なためたびたび告白しては撃沈するとのこと。
しかし状況に応じて冷静に周りが見れ、三回戦で赤岸が相手の胸ぐらを掴んだ際に最初に止めに入ったのも坂江だった。
普段からもっと落ち着いていればいいのにとは、クラスメイト大半の意見だ。
ちなみに聖人がまだバスケ部にいるときに一度100m走で対戦したがあまりに大差だったためにストップウォッチを撃破、自身はキャプテンからキツい拳骨と説教をいただいたらしい。
●応塚工業三人組
公式戦や練習試合で度々問題になるチーム。
元々学校自体素行が悪く、今回の三回戦のようなゲームも行われるらしい。
しかし聖人との対戦の際にいくら当たっても全く動じない空中で止めようにも遥か上から押し込まれるドリブルしてて気がついたらいつも間にかボールが奪われてるというか殴ろうとしたら交わされて逆に自分が死角になって容赦ないボディブローが入るてかコイツ人間じゃなくね?などといったことがあり以来少し丸くなったらしい。
●怪我をした先輩
聖人がバスケ部に呼ばれた原因。
今回は出番がなかったが次回はまさかの…登場しません。
複線役として名前どころか一度も喋ることのないままこの作品でも一生を終えました。
機会があればいつか呼んであげるからね。
思ったより長くなりました…。
てかもうこれは後日談というよりも辻褄合わせの場になりつつありますがそこはお気になさらずに。
もう後日談では本編では出せない設定とかも書いていくのでこれからも是非この後日談も読んでください。
キャラクター紹介もありますし。
退屈な内容にはならないよう頑張ります。
さて、次回から新章突入、もちろん新キャラ出すんで楽しみにしていただけたら幸いです。
それでは。