『 午後の庭で 』
「すいませんラギさん、明後日あたり賑やかになりそうです」
手の中にある手紙をたたんで、封筒に直した後に
そう言って私に頭を下げるセツナ。どうやら彼の友人や知人がここを尋ねてくるらしい。
私は自室で過ごすことにするから、気にせず楽しんで欲しいということを伝えると
セツナは驚いたような目で私を見て、即座に首を振った。
「よろしければ、ラギさんに紹介したい人達なので参加してください」
アルトの大切なぬいぐるみの首と胴を繋げた後
私とセツナは酒を飲みながら話をしていた。私の最近の楽しみになりつつある
彼との会話は、私の傭兵時代を思い出させることも度々あった。
年寄りの説教くさい話を、彼は嫌がることなく真剣に聞く。
私の話など聞いても面白くないだろうと尋ねると
知らない話を聞いたり、ラギさんの体験談を聞くのはとても楽しいと真顔で言うのだから
話しているこちらは、面映くなったりすることもあった。
セツナはとても変わった人間だ。心根が優しい人間に見られやすい優柔不断さもなく。
確固たる自分の意思を持って生きているだろう事が伺える。とても強かな人間だ。
日を追うごとに彼は、私に心を許していってくれているのが分かった。
彼と酒を飲み、話をしていくうちにセツナの事を理解していった。
昔の私なら……人間を理解しようなどとは思わなかっただろう。
セツナを理解し彼の表情を、読み取ることが出来るようになった時
今まで気がつかなかったことにも、気がつくようになった。
私と話している合間に見せる、彼の笑顔の中に寂しさが混じっていることも。
セツナが語る言葉の隅の方に、彼の孤独が垣間見えることもあった。
それらは本当に注意深く見ていなければ、気がつかないほどのものなのだが。
人当たりのいい口調と笑顔で
相手がセツナに、頼りたくなる空気を作ってしまう。
セツナの笑顔の裏にある感情を読ませることをしないのだ。
彼のために心を割いてくれる、存在がいればいいのだが。
今日彼が私に言った言葉が、私を不安にさせた。
『僕は貴方に、何かあったのではないかと思いましたから』
セツナは本気で私を心配し、その瞳は不安に揺れていた。
もしかしたら、私の死はアルトよりもこの青年を
深く傷つけることになるかもしれないと思うと胸が苦しくなった。
先ほどのことを、つらつらと考えていたせいで
セツナとの会話がおろそかになってしまっていた。
セツナが私の名前を呼び、少し心配そうな表情を作る。
「ラギさん?」
確か、明後日セツナの友人が集まるんだったな……。
「獣人の私が居てもいいのかな?」
「ここはラギさんの家ですよ」
そう言って笑うセツナ。私はその笑みに苦笑を返す。
私は、この国に来て……結構な年数がたっている。
この国は獣人にとっては、住みやすいといえる国だ。
クットと同じように、獣人の権利が認められている。
獣人は大体、老後をサガーナで過ごす者が多い。
サガーナに居づらい者たちは、南の大陸にある同盟国のバートルか
リシアそしてこの国リペイドを終の住処に選ぶことが多い。
リペイドで暮らして、結構な年数がたっているとはいえ
私には、人間の友人は1人も居なかった。
獣人の友人は何人か居たが、サガーナに帰ったり、帰らぬ旅に出たりと
年をとっていくごとに寂しくなっていく。
若い獣人は沢山居るようだが、ここで生活するようになってからは
新しく関係を構築しようとも思わなかったから
横のつながりも、縦のつながりもない。
私の傭兵仲間たちも、私よりも早く眠りについた。
私を訪ねてくる人はもう居なくなって久しいのだ……。
だから、ギルドへ依頼した……寂しさゆえに……。
「昼前に来るように話したので、食事を用意しようと思ったんですが……。
ちょっと人数が多くなりそうなので、庭でお肉でも焼こうかと思うんです」
「庭で肉を……焼く……?」
「ええ、野営したときみたいな感じの食事かな?
材料は少し豪華にした感じで……。台所で作って食器を沢山汚すと
片付けが面倒ですからね」
「……」
家に台所があるのに、庭で食事の用意……。セツナの頭の中が不思議でならない。
いったい何処からそういう考えが浮かんでくるのか……。
「だから、ラギさんも参加してお肉を食べてくださいね。
他の人たちにも、何か持ってきてくれるように頼んできますから」
さすがに人数が多いですし……適当に持ち寄って食事会という形にしたほうが
みんな気兼ねなく楽しめると思いますからと、話すセツナに私は目を細めた。
次の日セツナは、それぞれの知人に連絡を取るために出かけ
帰りに明日使うであろう食材やらを買い込んで帰ってきた。
その後、セツナは庭に肉を焼くための場所を作るといって、何かを作っていたようだった。
私はアルトに獣人の料理を教えながら、明日のための仕込みを一緒に行ない1日が終わった。
朝から、ぱたぱたと忙しそうに準備をするセツナを横目に
私はアルトと料理の仕上げに取り掛かっていた。
料理を作りながらさまざまな思いが胸を交差する。
セツナの知り合いとはいえ、本当に私が同席してもいいのだろうか……。
私の人間に対する考え方は、セツナと暮らすようになってから少し変わってきてはいたが
人間のほうが私を厭うのではないだろうか……。
私が居ることで、セツナやアルトが楽しい時間を過ごすことが
出来なくなることが怖かった。
人間が私を見て怯えたときの反応が脳裏をよぎる。
私が少しため息を落とすと、アルトが首を傾げて私を見ていた。
「どうしたんだい? アルト」
「じいちゃん、だいじょうぶ。
ししょうのしりあいは、やさしいひとばかり」
私は、アルトの言葉に驚かされる。
この子は私が何を考え、何を思っているのかを正確に感じ取っていたのだ。
私がセツナの感情を、読めるようになったように
アルトも私の感情を、読めるようになったのだろう。
それだけ私を気にかけてくれているということか……。
嬉しくもあり、悲しくもあった。
まだ私の気持ちを、覗くかのような瞳で見上げているアルトに笑いかける。
アルトがそういうのなら
私が居ることでセツナやアルトが、嫌な想いをすることはないのかもしれない。
「アルトがそういうのなら大丈夫なんだろうな」
「うん、ただ……」
アルトが少し表情を曇らせる。
そして何かを思い出したのか不機嫌な表情になった。
「ただ?」
「じいちゃん、サイラスさんにはきをつけて!
ひとのごはんを、とろうとするんだ!」
顔にありありと食べ物の恨みを滲ませて、私に忠告するアルトに思わず笑ってしまう。
「何かとられたのかの?」
「うん、おれのさかなとられた……。
さいごにたべようと、おもっていたのに……」
「そうか、其れは悔しいの……」
本当に悔しそうにしているアルトを見て、ふと脳裏にあることがよぎる。
今思いついたことをアルトに耳打ちすると、目を丸くし……そして楽しそうに笑った。
私とアルトが、色々相談しながら作業を進めていると、セツナが私たちの様子を見に来る。
その時の、アルトの挙動が不振だったので、セツナがアルトに何をするつもりなのかと問い詰め
アルトはしぶしぶといった感じで答えていた。
セツナは私のほうをチラリと見る。発案は貴方ですねというような
目で問いかけるセツナに、私は笑みで答えを返す。
「ししょう、おれのさかなとった
サイラスさんがわるいんだ」
アルトが必死に言い募り、セツナはアルトの態度に笑いそうになっている。
「サイラス以外の人にしないようにね」
セツナはそれだけ言うと、自分の準備に戻っていった。
私もアルトも駄目だと言われると思っていたのが、あっさりと許可が下りてしまった。
アルトはセツナから許可をもらえたので、先ほどよりも気合を入れて準備をし
私も其れを手伝い、傭兵仲間にも同じようなことをしたことを思い出し
少し懐かしい気持ちになったのだった……。
午後間近になり、庭で机の準備などをしていると
馬が駆けてくる音が聞こえる。その音の方向を見ると……。
4頭の馬が猛スピードで、こちらのほうへ走ってくるのが見えた。
セツナも気がついたのか……馬が走ってくる方向へ視線をやり目を細め見ている。
その表情はとても冷たいものだ。
「……しばらく走っていてもらいましょうか。
元気が有り余っているようですし……」
そういったかと思うと、魔法を詠唱し何かの魔法をかけたようだった。
「セツナさん、何の魔法をかけたのかの?」
「結界を張っただけですよ、馬の速度を落とさないと近づけないように」
「落とさないと、どうなるのかね?」
「ずっと走ってますね。
あのままの速度で走ってこられると危険ですから」
そう言って冷たい感じで笑うセツナ。
後ろのほうからもう1頭、馬がのんびりとした様子で
こちらに向かってきており、セツナは出迎えるために門のほうへ移動していた。
セツナは、思ったより容赦ないがないんだの……。
4頭の馬とは違い、門のほうへたどり着いた1頭の馬には、男性と女性が乗っていた。
この馬がゆっくりと歩いてきていた理由は、女性を乗せていたからだろう。
セツナが馬上の男性のほうへ挨拶をする。
「ジョルジュさん、こんにちは。
よくいらしてくださいました」
「ああ……セツナ、いきなりすまないな」
「いえいえ、楽しみにしていました」
男性のほうが先に馬から降り、その後優しく女性を馬から降ろしていた。
馬から下ろされた女性は、興味深そうにセツナを見ている。
その視線に気がついたのか、セツナから女性に声をかけた。
「はじめまして、ソフィアさん。
貴方のお話はジョルジュさんから良く聞いていましたよ」
優しく笑い挨拶するセツナに
ソフィアと呼ばれた女性の顔は一気に赤くなった。
「は……はじめまして」
彼女が赤くなった様子を目の当たりにした男性は少し顔をしかめた。
「セツナ……私の婚約者を誘惑しないでくれ」
ジョルジュと呼ばれた青年は、苦々しい表情でセツナに言う。
その言葉に驚いたのは少女のほうで、慌てて青年に言葉をかける。
「ジョルジュ様!! 私は誘惑されていません!」
そんな2人の様子を見て、セツナは笑う。
セツナの笑みを見た2人は顔を赤くし、男性のほうが姿勢をただす。
女性が男性をみて、男性が1つ頷いた。
頷いたのを確認すると女性が口を開いた。
「セツナ様、先日はありがとうございました。
先にお帰りになられたと聞いて、とても残念に思っていましたの。
今日お会いできて、とても嬉しいです」
「申し訳ありません。途中で席を外してしまったこと
許していただけると嬉しいのですが」
セツナは、花びらをぶつけた後
色々詮索されるのを避けるために、早めに帰宅したと話していた。
「理由は、ジョルジュ様から聞いておりますから。
お気になさらないでくださいね」
「ありがとうございます」
セツナは、私とアルトの方へ視線をやり
私たちを2人に紹介し、2人にも私たちを紹介してくれる。
ジョルジュとソフィアと呼ばれる人間は、私の姿を見ても驚くことなく。
ソフィアは反対に目を輝かせて私とアルトを見ていた……。
照れたように私に笑みを向ける女性に、笑みを返すとアルトの方へ歩いていき
耳を触っていいかと聞き。アルトは緊張した面持ちで頷いている。
アルトと目線を合わせるために少しかがみ、恐る恐るアルトの耳に触るソフィア。
触った瞬間にとても幸せそうな表情を作る。
そして最後にアルトをぎゅぅっと抱きしめていた。
「ジョルジュ様から、アルト君の話を聞いて
会うのを楽しみにしていたの!」
その行動に、アルトは固まり私は吃驚してしまう。
セツナとジョルジュはその様子を微笑ましそうに眺めていた。
ジョルジュが、困惑を顔ににじませながらセツナに話をしていた。
「セツナ……あの子は男の子だったのか?」
「ええ、色々偽装するために女の子の格好をしてもらっていたんです」
「そうか……」
セツナがこの国に来たいきさつなどは簡単に聞いていたので
彼らの話が、城での話しだろうということは分かった。
私は彼らの話を耳で捉えながら、ソフィアとアルトを眺めていた。
その不思議な空気に少し戸惑いを覚えながら。
ソフィアはまだアルトに話しかけており
少し緊張を解いたアルトは楽しそうに話をしていた。
「ところでセツナ、サイラス達は何処に居る」
ジョルジュは、周りを見渡し自分たちよりも先に到着しているはずの人間を探す。
ジョルジュの言葉にソフィアもアルトから視線をはずして首をかしげていた。
「ああ、あそこに居ますよ」
セツナが視線を向けた先には
こちらからは止まったまま、動かないように見える4人が居る。
「……なぜ止まっている?」
「元気が有り余っているようなので、結界の中に閉じ込めたんですよ」
「……」
「……」
ジョルジュとソフィアは声もなく、4人をじっと眺めていた。
「あのまま走ってこられると、危険ですし迷惑ですからね。
それに食事に土埃が、かかってしまいますし」
「あそこから出ることは出来るのか?」
「馬の速度を落とせば、でれますよ」
「……帰りは馬がつぶれているのだな……」
ジョルジュの言葉に、セツナは少し考える仕草をする。
「ああ……馬が可哀想ですね……。
僕が後で回復魔法をかけることにしましょうか」
「……サイラスたちにはかけてやらないのか?」
「かける必要が何処に?」
先ほどまでの穏やかな笑みとは違い、うっすらと黒いものが混じる笑みに
ジョルジュは、それ以上何もいえないようだった。
ソフィアがこっそりとジョルジュに
セツナさんって、怒らせると怖そうだねっと囁いていた。
しばらくして……疲れたように結界から出てきた4人は
門の前に来て馬を降りると、ぐったりと座り込んでしまった。
セツナは先ほどの言葉通り、馬には回復魔法をかけ
座り込んでいる4人のうちの1人、フレッドという青年にだけ回復魔法をかけた。
宰相付の騎士が、宰相から離れるわけにはいかないから
走るしかなかったのだという理由を聞いたからである。
ぐったりとした3人と、回復魔法をかけてもらった1人を紹介してもらう。
その顔ぶれに、今度は衝撃を受けた……。
第一王子に、宰相に、第一騎士……。
こんな場所に居ていい顔ぶれではない。
今は髪の色と、瞳の色を変えているようで噂になっている容姿とは違っている。
「大人数で押しかけてしまって申し訳ない……」
ぐったりした様子のユージンが私に挨拶をしてくれるが
私の第一声は大丈夫かの? という言葉だった。
まさか自分が、人間の国の王子と話す機会があるとは夢にも思わなかったが……。
この3人を見ていると、なにやら少し残念な感じがする。
「……大丈夫……です」
ユージンとキース、サイラスとフレッドと挨拶を順に受け
今はアルトとソフィアが、4人に水を配っていた。
この4人も、私を見ても表情を変えることもなく。
セツナに話しかける態度と同じように私と接していた。
受け取った水を飲み干し、やっと一息つけたのか
ぐったりしている3人が話し出す。
「あー……やられた……セツナ容赦ねぇ」
「お前が、くだらないことを言わなければ
こんなに疲れるようなことはなかったんだ……」
サイラスがそう呟くと、キースがサイラスに愚痴を言う。
「お前だって、賭けに乗っただろう……」
「……」
ぐったりしている3人を冷ややかに見下ろしているセツナ。
「セツナ……私にも回復魔法を……かけてくれないか」
ユージンがセツナにそう頼んでいたが、セツナはかけませんと言うと
ここに居ると邪魔なので、向こうへ移動してくださいと言った……。
肩を落とし、3人は疲れた体を引きずるように移動していく。
門の側に残ったのは、私とセツナだけだった。
「セツナさん……第一王子の頼みを断ってもいいのかの?」
心配になって聞く私に、とても清々しい笑みを返す。
「変装して来るなら
身分を考慮しないと、伝えておきましたので大丈夫ですよ」
「……そうか」
「ええ、僕と同じように接してあげてください」
私は少し思案するようにセツナに尋ねる。
「こんな所に来て、大丈夫かの?」
「本人達が来たいと言ったのですから、いいんじゃないでしょうか。
まぁ、遊びに来ただけではないようなので
国王様からも許可をもらっているのでしょう」
「遊びに来ただけではない?」
不思議に思い聞くと、セツナ少し苦笑し
「僕が時の使い手だと、国王様に伝わったんでしょうね。
サイラスはともかく、ユージンさんとキースさんは遊び半分
仕事半分だと思います」
「……それは、セツナと繋がりを強めるためかの?」
「そうだと思います。僕が今、何処の国にも仕えるつもりがないことは
分かっていても、それとは別に繋がりを深めておきたいと言う所でしょう」
「セツナは、それでいいのかい……?」
「僕が力を持っているのは事実で、これは変えようがありませんし
向こうの思惑がどうであれ……僕は僕が思う通りにしか生きるつもりはありません。
国を導く立場なら、国王様のしている事は正しいことですから。
そのことを責めることはできませんしね」
「しかし……」
「それに、彼等もその思惑だけで僕に近づいているわけじゃない事も
ちゃんと分かっていますから。僕を利用しようとする為だけに近づくのなら
僕も容赦しませんが……」
「そうか……。彼等は彼等で大変なのだの」
「そうですね、彼等は自分の感情よりも先に
国に心を傾けなければいけませんから……。
だからと言って、僕は懐柔されるつもりはありませんけどね」
セツナのこの思考には驚かされた。
相手の立場を理解しながら、自分の意思を通す。
受け入れるところは受け入れ、拒絶するところは拒絶する。
それはとても難しい生き方だ……人とは情に流されやすい生き物だから。
「セツナは、割り切った考え方をするんだの……」
「……そうでないと、僕の……」
セツナが何かを言おうとしたとき、馬車が門の側に止まった。
最後のお客が到着したようだ。
セツナが何を言おうとしていたのか、気になるがセツナは
もう話す気はないようだ。
私とセツナは到着した人物の側へ行き、先ほどと同じく紹介を受ける。
女性はエリー、男性はノリスと言っていた。
ノリスのほうは、私を見て顔を青くし……ひたすら謝っていた。
この時は、私が怖くて混乱しているのかと思ったのだが……。
同様に、他の6人にも顔を青くして謝っていたので関係ないようだ。
しかし……ノリスが招待客の顔ぶれを見たときの、顔色は青から白になっていたし。
エリーは気の毒なほど緊張していた。
エリーの緊張を解いたのは、ソフィアで今は椅子に座りながら話に花を咲かせている。
私は少し離れた場所に座り、話に耳を傾けていた。
「私も今日の朝
ユージン様達が同行すると聞いて緊張していたのだけど……」
そう言って始まった話は、4頭の馬を全力で疾走させていた理由だった。
その話に、私は思わず笑ってしまう。
私の声に少し驚いたように、こちらを見る少女達。
「申し訳ない……話が聞こえてしまっての」
謝罪する私に2人は顔を見合わせ、それぞれのお茶の入ったカップを手に持ち
私の側に座り直す。そのことに私は内心驚きを覚える。
ソフィアは、私に新しくお茶を入れてくれる。
そして、1度目を伏せ思い切ったように紡ぐ言葉に私は唖然とする。
「ラギ様、セツナ様のことを少しお聞きしてもよろしですか?」
「私も、セツナ君のこと聞きたいです」
そういって、真剣な様子で話しかけてくる少女達の気迫に押され
私はセツナとアルトの話しをすることになったのだった。
読んでいただきありがとうございます。
次で、トルコギキョウの章が終われるといいな……。