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刹那の風景 第一章  作者: 緑青・薄浅黄
『 ブータンマツリ : いたずら心 』
89/126

『 12本の薔薇と12の言葉 』

『 感謝 : 12本の薔薇 1/12』


私は、彼女の家の扉の前で1度深呼吸をし扉を叩いた。

しばらくして、扉を開けて出てきたのは、彼女自身だった。


私の姿を見ると少し照れたような微笑を向けてくれる。

彼女も少し緊張しているようだった。


「こんばんは、ソフィア……」


「こんばんは、ジョルジュ様」


「……」


「……」


こんなとき女性慣れしているサイラスならば気の聞いた言葉の一つでもかけるのだろうが……。

あいにく私にそんな器用な事は出来ない。


「……今日から12日間よろしく頼む」


「わ……私こそ……よろしくお願いします」


スカートのすそを握りながら、恥ずかしそうに返事をしている姿が愛らしい。

私はそんなソフィアの姿に思わず口元がほころぶ。


「ソフィア……」


「はいっ」


緊張している彼女の青色(アクアマリン)の瞳を見つめて

私の気持ちを託した真紅の薔薇(シンディローズ)を彼女に差し出す。


ソフィアの瞳が目の前の薔薇に釘付けになり

私が差し出した薔薇にそっと指を伸ばし私の指に触れないように優しく薔薇を受け取った。


ソフィアは薔薇の蕾を見つめ、薔薇に魅せられたような表情を私に見せた。

しばらくして我に返り、あわてて私に決められているセリフを口にする。


「ジョルジュ様、ありがとうございます。

 明日もお待ちしております……」


この申し込みの儀に当たって注意しなければいけないことがある。

相手の体に触れてはいけない事、相手の家に入ってはいけない事

そして、女性は必ず2つのうち1つの返事を返さねばいけないことだ。


明日もお待ちしておりますという言葉が返って来たのなら心変わりしていないということ。

今宵はお茶でもいかがですかという言葉が返って来たらこの話は無かった事にしてほしいという事だ。


ソフィアは私に明日も待っていると告げてくれた。

内心ほっとしている自分を隠し、頬を染め私を見つめるソフィアに頷き1日目が終わった。


この日私がリボンに綴った文字は "感謝 "だった。


" 感謝 君と婚約できたことを、君と君の家族に感謝する。 ジョルジュ"


ソフィアの家を後にし、自分の家に戻る途中セツナから聞いた話を思い出す。


『12本の薔薇にそれぞれの意味があり、その意味になぞって自分の気持ちを伝えます

 そして12本全部がそろう事によってそこに綴られた言葉を "誓う "という形になります』


セツナから話を聞いたときは正直恥ずかしいと思った。

自分の柄では無いと……。


しかし私は口下手だから彼女に自分の気持ちを伝える機会はそう多くは無いだろう。

それならば、薔薇の力を借りてリボンに自分の気持ちを綴る事で

少しでもソフィアに伝える事が出来るならと思い直したのだ。


-……彼女は私に何時も一途な想いをぶつけてくれていたから。


私の妻となる少女に、告げるべきことは告げておかなくては。


初めて聞く、このような手法をセツナが考えたのかと聞くと

前に住んでいた国でそういうことが行われていたのだと話していた。


冒険者だけあって色々な国に行き、様々な知識を吸収しているんだろう。

とりあえず1日目が終わり私も少し楽になった気がした。


残り後11日……。



『 尊敬 : 12本の薔薇 2/12』


私が城につくと、待ち構えていたように声をかけてきた人物がいた。


「おはようジョルジュ、ソフィアは昨日からずっと薔薇の蕾を見つめているよ」


そう……私の親友であり、ソフィアの兄だ。


「そうか……」


彼の言葉に、気恥ずかしさを覚えながら返事を返した。


「よくあれだけ見事な薔薇を見つけてきたな?」


「……そうだな」


「昨日はどうなる事かと思ったけど、この調子なら大丈夫そうだ」


安心したという感じで笑いながら去っていく親友の後姿を見送り。

私も持ち場に向かうのだった。


2日目ともなると、ソフィアの緊張もだいぶとほぐれたのか

昨日よりも自然な笑顔で迎えてくれる。


2本目の薔薇に少し驚きながらも嬉しそうに受け取ってくれた。


「明日もお待ちしております……」


恥ずかしそうに俯きながらそう言ってくれる彼女にお休みとつげ

私は2日目を終えたのだった。


"尊敬 君の優しさに私は敬服する。 ジョルジュ"


誰にでも優しい笑みを向けるソフィア……私には出来ない事を自然にしてしまう彼女。

それを目の当たりにするたびに、私に欠けた物を君がくれるような気がしていた。



残り後10日……。



『 誠実 : 12本の薔薇 3/12』


"誠実 私は君に誠実である事を約束する。 ジョルジュ"


真紅の薔薇が3本、私の目の前に飾られている。

長年思い続けてきた人からの特別な贈り物……。


その薔薇には、とても短いけれど……彼らしい言葉と彼の名前が綴られていた。

まるで、薔薇に彼の気持ちを託して私に届けるかのような贈り物……。


この薔薇と、彼の文字を見るたびに私は泣きたいほど幸せな気分になってしまう。

明日はどんな言葉が届くんだろう……。


彼は無口な人だから……彼の気持ちを聞けたのは本当に最近だった。

彼が私を選んでくれた事で周りの騎士から色々言われている事は兄から聞いていた。


申し訳ないと思いながらも……私はこれ以上待つ事など出来なかったから。

私と彼の年齢差は26歳、どれだけ大人になる事を待ちわびたか……。


何時彼が私の知らない人と結ばれるかわからない不安に何度泣いた事だろう……。

私は彼の妻になる……。そう心に決めたのは……12歳の春……。


残り後9日……。



『 栄光 : 12本の薔薇 4/12』


ジョルジュさんが、リボンとにらめっこしている。

何時もは、心に浮かんだ事を綴っているようだったけど今日は苦戦しているようだ。


僕とノリスさんはそんなジョルジュさんを眺めながらお茶を飲んでいた。

花屋の片付けは終わり、残るお客さんはジョルジュさんだけなのだ。


「すまない……」


僕達が帰れない事を気にして謝るジョルジュさん。


「気にしないでください、僕は楽しんでますから」


そう言って笑う僕にノリスさんも頷く。

ジョルジュさんは、少し眉間にしわを寄せながらまたリボンに視線を落とす。


「……栄光とは難しい言葉だな」


なるほど、栄光という言葉に対する気持ちが定まらないのか……。

確かに難しいかもしれない。


「ジョルジュさん、栄光の類義語で書くといいかもしれませんね」


「類義語?」


「ええ……例えば、輝けるとか……。ばら色の~とか」


「ふむ……」


「栄光という文字に縛られる事はないと思います」


僕のアドバイスが少しでも参考になればと思った……。

ジョルジュさんがリボンに何を綴ったのかはわからないけれど。

きっと、彼の言葉は彼女に届く事だろう。


僕とノリスさんは彼の真剣な様子を何時もすぐそばで見ていたのだった。


"栄光 君の想いは私に光輝をもたらしてくれた。ありがとう。 ジョルジュ"


残り後8日



『 努力 : 12本の薔薇 5/12』


私の手元に薔薇の花が5本に増えた。

1つの薔薇に、1つの言葉……そしてその横に彼からの一言。


普段の彼からは想像もできない言葉の数々がこのリボンに籠められている。

いったい彼はどんな気持ちでこの言葉を私にくれるのだろう?


どんな表情で……リボンに文字を書いているのだろう。

薔薇が増えるたびに、彼に対する気持ちも増していく……。


新しい薔薇の言葉をみて私はクスリと笑ってしまう。

彼はまだ覚えていたのだと……。


私と彼の年の差だと、色々と価値観が違う事が多い。

私は新しい事に挑戦するのがすきなのだけど

彼はあまりそういうことに興味はないようだ。


私が幼いときに、彼に我侭を言いたいていの事は優しく聞いてくれた彼。

だけど、新しい何かに挑戦するという事はあまりしてくれなかった。


その事で1度大泣きした私を、彼は必死になって宥めてくれたのだった。

人には向き不向きがあるというのに……。


余りにも幼かった私は、そういうことがまだ理解できなかったのだ。

彼がまだあの時のことを気に病んでいたのかと思うと少し胸が痛くなった。


だけどそれと同時に、そんな些細な事まで覚えていてくれたのだと

喜ぶ気持ちも私の心に同居していた。


そしてリボンに書かれた、たまには(・・・・)かもしれない(・・・・・・)にまた笑いがこみ上げた。


幸せな気分で過ごしていた午後に私の親友がいきなり訪ねてきた。

そして彼から贈られた薔薇を見るなり眉間にしわを寄せる。


「毎日、毎日同じ花ばかり……フィア本当にこの人でいいの?

 確かに、花はとても素晴らしいものだけど……。

 花にリボンをつければいいというものではないわ?

 今ならまだ破棄出来るのだから、今日も花ならお茶をどうぞって言ったら?」


私を想っての言葉でも、彼女の言葉は私の気分を害するものだった。


「私はこの贈り物がいいの!」


彼女にはわからないのだろうか?

高価なものも、毎日違う贈り物も確かに素晴らしいのかもしれない。

だけど、これだけ彼の気持ちが見える贈り物など他には無いというのに……。


彼が……1文字1文字丁寧にリボンに気持ちを書いてくれる。

その心こそが最高の贈り物だというのに……。


あぁ……神様、彼女が私の大切な人に余計な事を言いませんように……。


"努力 私は君と新しい事をたまには挑戦してみてもいいかもしれない……。 ジョルジュ"


残り後7日……。



『 信頼 : 12本の薔薇 6/12』


私は頭にきていたのだ。私の親友が婚約したと聞いて驚き……。

フィアにずっと想っていた人がいたということも私は知らなかった……。


だから、少しフィアの婚約者に嫉妬していた事も関係していたのかもしれない。

フィアの婚約者が26歳も年上の人だと知ったとき……私は驚きを通り越して殺意を覚えた。


-……ロリコン死ねっとも思ったけれど…… 口には出さなかった。


私がフィアの婚約者を暗殺しなかったのは、フィアから好きになったと聞いたからだ。

だから、もし……その婚約者がフィアを泣かすよう事があれば私はそいつを殺すと決めていた。


数日振りにフィアの家を訪ねたら、フィアが幸せそうな顔で薔薇を見つめていた。

蕾だというのに1度見たら目を離せないぐらいの素晴らしい薔薇……。


私もこの薔薇は素晴らしいと断言できる。

断言できるけど……5日も・6日もずっと同じ薔薇というのはどういうことなのかしら?


薔薇に結び付けられているリボンの言葉は毎日違うようだけれど

咲いてもいない花を、贈り続けるその男の神経が私には理解できなかった。


やっぱり年の差が26歳もあったら私達の望むものを用意できないのかもしれない。

それでも、オルゴールなりぬいぐるみなり……宝石なりを用意することは出来たはずだ。


花の中では値が張るのかもしれないけれど……12日後の披露のときに

笑われるフィアを見るのはどうしても我慢が出来なかったのだ……。


何度か婚約の儀に参加させてもらった事はあるけれど

子供のときですら、その贈り物の素晴らしさに目を見開いて見ていた記憶があるのだから。


それなのに……大切な親友のフィアの贈り物が……花だけなんて。

ギリギリと歯を食いしばりながら私はフィアの婚約者に会いに行ったのだった。


フィアの彼は精悍な顔つきをしていた、話しに聞いていた通り無口で

私が何を言っても頷くことしかしない……。


その彼の態度に更にイライラが募ったとき……。


彼がただ一言こういったのだ。


「ソフィアは私を待っていてくれている」


「……」


彼の言葉に私は何も言い返せなかった……。

そう……その言葉はフィアは彼を受け入れているという事だ……。

遠まわしに、2人の事に口を出すなと言われたのだ……。


悔しいと思った……私の言葉に心揺らすことなく、ただフィアを信じている彼

彼からの贈り物を純粋に喜んでいるフィア……。


ああ……この2人は強い信頼で結ばれているのだと……思い知らされたのだった。

それに比べて……親友の婚約を喜べない私……。すごすごと家に戻り……少し泣いた。


寂しさもあるし、嫉妬もある。

披露のときの心配もある……様々な想いが私の胸の中を渦巻いてた。


"信頼 私は君が最も信頼できる人になるよう心がけよう。 ジョルジュ"


残り後6日……。



『 情熱 : 12本の薔薇 7/12』


「ジョルジュ、披露には俺とキースとユージンもいくからな」


そう俺が声をかけると、ジョルジュは一瞬固まっていた。


「なぜだ……なぜそんな話になっている」


「それはお前……お前が婚約者に贈っている薔薇がみんな気になっているからだろう?」


「……」


そう、今城の中で話題になっている話はジョルジュが彼女に贈っている薔薇についてだ。

それは素晴らしい薔薇だと噂になっている。


誰が聞いても、ジョルジュは何処で購入しているのか絶対に吐かない。


同時に、毎日同じ花しか贈れないジョルジュを哂っている奴もいる……。

キースとユージンは、披露の日にジョルジュと彼女が嫌な思いをするのではないかと

心配していたが……俺はそう心配はしていなかった。


「お前が隠すのが悪い」


そう言ってからかう俺に、ジョルジュは苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「お前はお止めしなかったのか……」


「なぜ止めなければならない?」


ニヤニヤと笑う俺に、ジョルジュの眉間のしわはますます深くなる。


ジョルジュは俺の数少ない友人の1人だ。


ユージンやキースと懇意にしている俺は嫉妬にかられた視線で見られる事も多ければ

取り入ろうとする奴も多かった。俺の生まれも関係していたのだが……。


ジョルジュは、初めて会ったときから俺に対する態度は変わらなかった。

竜の加護を受けた今でさえ前と少しも代わることなく俺と付き合ってくれる。


竜の加護を貰ってから少なからず

俺に対する周りの態度は前とは違うものになっているというのに。


実直すぎる男……そんな生き方でしんどくないのかと心配になるほどだ。

そんな男が婚約したと聞いたそれも……26歳年下の少女と。


思わず犯罪だろう……?っと言ってしまったのは仕方がないことだと思う。

もちろん冗談で言ったのだが……ジョルジュはとても険しい目を俺に向けた……。


こいつから言い寄ったのではないと断言できるほどこいつの性格は知っていたから

こいつを独占したいと思ったのは女の方なんだろうということも予想できた。

正直その女を褒めてやりたい気分だった。


無口で、表情を出す奴ではないが……その胸のうちには人一倍熱いものがある事を

俺は知っている……。


『私は、影で支える方が得意なのだ。

 サイラスは表で支えてくれ2人で分担してユージン様を守ればいい……』


でしゃばらず、かげひなたなく働く男……。

そんなジョルジュをユージンもキースも気に入っていた。


そんな男の晴れの日を見逃すほど俺達は甘くない。

大いに楽しんでやろうじゃないか。こんな機会はめったに無いのだ。


「あー楽しみだな、お前がどんな言葉を彼女に捧げるのか」


ニヤっと笑いながらジョルジュを見ると同時に、俺の腹に重い一撃が加えられた。

身体が強化されているから、そんなにダメージはないのだが。


いきなり殴られると吃驚する。


「くそっ! あの時やはり絞め殺しておけばよかった!」


珍しく荒れた言葉をはくジョルジュをみて俺は腹を抱えて笑うのだった。


"情熱 私は君を支えるだから君は君の思う通りに生きるといい。 ジョルジュ"


残り後5日……。



『 幸福 : 12本の薔薇 8/12』


"幸福 私の幸せは君が笑っていてくれることだ。 ジョルジュ"


8本目の薔薇をソフィアに渡した。

ソフィアは、毎日嬉しそうに私の贈り物を受け取ってくれる。


毎日彼女と少しの時間だが会話を交わし……私の気持ちを籠めた薔薇を贈る。


そして、とても幸せそうな顔で「明日もお待ちしております……」っと

8日目になっても、照れながら告げてくれる彼女がとても可愛い。


あぁ……きっとこういう時間が幸せというのだろう。

少し後ろ髪を引かれながら歩き出す。


私は1度振り返ってみる。彼女はまだ私を見つめていた。

薔薇を胸に抱いて……寂しげな表情で……。


私は少し驚いた……。


彼女は毎日私と別れた後あのような表情をしていたのだろうか……。

私が振り返った事に気がつくと、あわててふんわりとした笑顔を浮かべて

私に手を振るのだった……。


その笑い方と、気持ちの隠し方に私ははじめて彼女の中に女を見た。


-……私は何処まで愚かなんだろうか。


この日から、私の彼女に対する認識が変わる。

少女から女性へと……私の妻となる女性……。


そう、彼女はもう一人の女性なのだ……。

理解していたつもりで理解していなかった自分を腹立たしく思った。


残り後4日……。



『 希望 : 12本の薔薇 9/12』


"希望 どのような苦境に立たされようとも、私は君という希望を離す事はしない。 ジョルジュ"


9本目の薔薇をジョルジュ様からもらった。


嬉しいのに……今日は、彼の前で泣いてしまった。

なぜ泣いてしまったのだろう……。


彼に「明日もお待ちしております……」っと昨日と同じようにつげたあと。

ちゃんと笑って見送るつもりだったのに。


昨日まではちゃんと……出来ていたのに。


無性に彼と離れるのが嫌だったのだ。

明日また会えるというのに……。


次から次へとあふれてくる涙を、彼は拭おうと指を伸ばす……。

だけどその指が私に触れる事は無かった。


途中で止まった手をぎゅうっと握り下に下ろす彼……。


深く溜息を吐く。


-……困らせた? もう大人なのに……彼を困らせてしまった。


そう思うと、彼の顔が見れなくなってしまった。


「ソフィア……」


彼が私を呼ぶ声に私は身をすくませる……。


「ソフィア……泣かないでくれ」


そういわれるのに私の涙は止まらなかった。


「泣かれると抱きしめたくなる……」


「え……」


彼の言葉に思わず顔を上げる。

困ったような、曖昧な笑みを私に向けて


「私も君と離れるのは寂しい……。

 明日会えるのだとしても……」


彼の言葉がストンっと胸に落ちる。


そうか……寂しいんだ。彼が愛しいから。

毎日毎日彼の想いがこもった薔薇に囲まれて幸せなのに……。

彼が私のそばにいないことが……寂しいんだ……。


そう思うとまた涙があふれる。そんな私を見て彼は少し笑った。

そして彼が私と同じ気持ちでいてくれたことが嬉しかった。


彼は私の涙が止まるまで、そばに居てくれた。


「もう大丈夫、ジョルジュ様ごめんなさい……」


「謝る事はない、もっと甘えてくれて構わない。

 ソフィアは我慢しすぎる傾向にあるからな……」


「……」


「お休みソフィア……」


私に優しくそうつげると……彼は1度も振り返らずに歩いていった。

その背中を見ているとまた……涙があふれてくるのだった。


残り後3日……。







読んでいただきありがとうございます。

中途半端なところで終わって申し訳ありません。


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僕達の小説を読んでいただき、また応援いただきありがとうございます。
2025年3月5日にドラゴンノベルス様より
『刹那の風景6 : 暁 』が刊行されした。
活動報告
詳しくは上記の活動報告を見ていただけると嬉しいです。



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『緑青・薄浅黄 X』
よろしくお願いいたします。
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