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刹那の風景 第一章  作者: 緑青・薄浅黄
『 ミヤコワスレ : しばしの憩い 』
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 『 幕間 : アルトの小さな決意 』

 ベッドにはいったけれどねむれない……。

ししょうとであってからはじめて、べつべつのへやでねることになった。


-……さびしい……。


ジャッキーっといっしょに、ベッドからでて

ししょうのへやのまえまでいく。


-……ししょう、おきてるかな……。


ししょうのへやのとびらを、あけるかあけないかでなやんでいたら

ゆっくりとびらがひらく。


ししょうがめのまえにたっていて、おれをじっとみていた。


「どうしたのアルト?」


いつものやさしいこえで、おれにきいてくれるししょう。


なんていおうか?

おひるにいっしょにねたいっていったら、だめっていわれたし。


おれは、なんていっていいのかわからなくてうつむいてしまう。

じっとうごかないおれに、ししょうはこまったようなためいきをついた。


ししょうのためいきになきたくなる。

ジャッキーをぎゅぅってだきしめてなかないようにがんばっていると。


「アルト」


ししょうがおれをよんだ。

おれは、おそるおそるかおをあげてししょうをみると。


ししょうはわらっていた。


「おいでアルト」


そういってへやにいれてくれる。

ししょうがさきにべっどにはいって

ししょうのよこのいちを、ぽんぽんっとたたく。


ジャッキーといっしょに、ししょうのべっどにはいろうとすると


「アルト……悪いけど

 ジャッキーはそこの椅子で寝てもらって? ベッド狭いからね……」


すこしこまったようにおれにいう。


おれはジャッキーをいすにすわらせてから

ししょうのとなりにいってあやまった。


「ごめんなさい……」


「どうして謝るの?」


「ひとりでねれなかった」


「そうだね……」


ししょうのことばに、むねがすこしいたくなった。


「今日はここで寝て、明日は1人で寝ようね

 明後日はまたここで寝てもいいから」


おれはししょうのはなしてるいみがわからなくて

くびをかしげると


「1日だけなら頑張れるよね?

 そうやってゆっくり慣れていけばいいと思うから

 1日頑張ったら、1日お休みという風にすればいいと思うよ」


-……いちにちならがんばれる……。


おれはうなずいてししょうをみると

ししょうはおれのあたまをなでてくれた。


「ゆっくり慣れていけばいいんだよ

 焦らなくていいから、アルトのペースで歩いていけばいい」


ししょうのやさしいてが、おれのあたまをなでてくれる。


「だけどね、最初から出来ないと決め付けないで

 1度やってみて無理なら、また後でやってみればいいのだから」


-……ああ、そうか……だからおひるはだめっていった……。


おれは、うとうととしはじめたあたまで

きょうのおひるのことをおもいだしていた。


「ししょ……う」


「うん?」


「おれ……あし……た……がんばる」


もう、めもあけていられないほどねむいけど

それだけはししょうにいいたかった。


-……あしたから、おれ、がんばるから……。


おれのあたまのうえで、ししょうがわらうこえがきこえた。


「うん、おやすみアルト」


もう、ねむたくてくちがうごかなかった。

こころのなかでしか、こたえることができなかった。


-……おやすみなさい……。



読んでいただきありがとうございます。

アルト視点で読みにくくて申し訳ありません。



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僕達の小説を読んでいただき、また応援いただきありがとうございます。
2025年3月5日にドラゴンノベルス様より
『刹那の風景6 : 暁 』が刊行されした。
活動報告
詳しくは上記の活動報告を見ていただけると嬉しいです。



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