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『 プロローグ 』
書籍はWebの内容を再構築して物語を綴っており、書籍は足りない部分をかなり補っております、書籍とは異なる部分があると思いますのでご注意下さい。
暗闇の中で独り。
それが、自分の罪を贖うものだとしても
怖かったし、寂しかった。
誰の声もせず。
誰の気配も感じず。
何も見えない……。
そして、未来にあるものは
確実に自分の死。
二度と両親にも会えないだろうし。
兄にも会えない。
1000年の幽閉の後に、罰から解放されるとしても。
一族から追放され、名前を剥奪された私には
生きていくすべなど何もなかった。
罪の意識と恐怖に押しつぶされそうになりながら
緩慢に生きている私の前に、現れたのは……。
菫色の瞳を持った、不思議な人だった。