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刹那の風景 第一章  作者: 緑青・薄浅黄
『 アメジストセージ : 家族愛 』
103/126

『 鳴かない鳥 』

* 残酷描写あります。

* ジョルジュ視点

「えげつない……」


私の隣に立っているフレッドがそう呟いた。

私は、フレッドの言葉に頷くことしかできなかった。


サイラスが叩きつけるように、落とした鳥は声を上げることなく床に落ちた。

声はなくとも苦しそうに羽をパタパタと動かし、鳥の中央から徐々に赤色に変色していく。


完全に赤色になるまで羽は止まることなく動き続け、それが作り物なのに

まるで無抵抗の鳥を一方的に殺しているかのような罪悪感が胸にわく。


しかし……一番の衝撃は、自分の頭の中に無理やり入ってきた映像だろう……。

この場にいる全員が、いやセツナ以外の全員の目が驚愕に見開き

誰一人として動くことができなかった。


サイラスも例外ではなく、鳥を落とした瞬間に頭の中に入ってきた映像と

目の前で苦しそうにもがく鳥を、凝視して固まっていた。


ユージン様とキース様がサイラスに近づくために動く。

その動きに反応して、魔道具のそばで飛んでいた鳥が2人に襲いかかる。


2人は、難なくその鳥を叩き切るがまたしても映像が頭に入ってくる。

そして今度はその映像に声もついていた……王妃の声が……頭に響く。


"私だって、今が忙しいのはわかっているわ……"


"だけど、建国祭に王様が少し顔を出すだけで国民たちは安心することができるし

 というのは……私の建前だけど……本当は……"


やわらかく微笑む王妃の映像と声……。

それとは反対に、サイラス達の足元で鳴く事もせずに

もがいて赤く変色していく鳥に、私達は言葉を失う……。


余りの出来事に動けなくなっているサイラス達に、仲間意識があるのだろうか

魔道具の周りを飛んでいた鳥が、一気にサイラス達に向かって飛ぶ。


落とすとどうなるかわかっていても、自分の急所に的確に向かってくる鳥を

反射的に落としていく。落とすたびに声が頭の中に響く。


"沢山の人が死んだの……。私達の仲間も。大臣達の親も兄弟も……。

 だけど王様が一番、沢山のものを失ったわ

 自分の手で家族を……父親を兄弟を、殺さなければいけなかったのだもの

 彼は血の涙を流しながら……この国を守ったのよ"


ユージン様の目を潰しに飛んできた鳥を斬る。

赤色に変色していくと同時に、ねじ込まれるように映像と音声が頭の中に入ってくる。


"建国祭はね? 私達の……王様や将軍……大臣達のお祭りなの。

 失う事しかなかったあの戦いで……。

 貴方たちが……歯を食いしばって戦ったから……。

 涙を落としながら……血を流しながら戦ったから……。

 こんなに沢山の笑顔が今はあふれてるって、知って欲しかったから作ったの"


キース様が、ユージン様の背中に襲いかかろうとしていた鳥を落とす。


"彼等が自分達を責めていても

 私達や国民はこんなに感謝していると知って欲しかった"


王妃様の顔が、言葉が頭の中に入ってくるたびに3人の顔が苦痛にゆがむ。

将軍や大臣達は酒を持つ手が震えていた……。何度も聞いた話だった。

親から、将軍から……先輩から。何度も……何度も。

どうして忘れていたんだろ

私達の国の建国祭がとても深い意味がある祭りだと言うことを

私達は何時から忘れていたんだろうか。


"建国祭は、私達の死んだ仲間を

 王様の心の痛みを忘れないための日……。

 一緒に戦って亡くなった仲間を思う日

 私達には、奪った命を悲しむ権利など無いから

 悲しいことも、辛いことも全部飲み込んで

 こんなに平和になりましたって、笑う日なの"


頭に入ってきた王妃様の顔は、とても寂しそうに笑っていた。

王妃様のこんな笑い方は……見たことがなかったから、私は胸が詰まる想いがした。

サイラス達も同じかもしれない……。


"大切な人を守れる国であるように……。私達は今日、ここから歩き始めましょう。

 あの時戦った全員で王様を支えながら歩こうって決めたの。

 私達は、王様を支えてこの国を守るとこの言葉に誓ったから

 この国の未来のために、この国をよくしていくために。

 帝国に狙われてからも、この心だけは全員変わることは無かった"


映像の王妃様はとても真剣で強い眼差しをしていた。

サイラス達の剣の動きは鈍っていく。それでも鳥たちは容赦なく攻撃してくる。

頭の中に入ってくる、王妃様の映像が少し変る。セツナと会っている日が違うのか

王妃様の表情は少し疲れがにじみ出ている。

城にいる時の王妃様からは想像できない表情だった。


"セナ君、私は王様が一番大事なの……。

 王様の命を守るためなら……私はこの命を賭けてもいい……"


サイラス達の、動きが鈍ったせいで一撃で死ぬことがなかった鳥が

地面で体勢を立て直し、ユージン様に攻撃しようとしている。

それを分かっていながら、ユージン様は止めを刺すことができない。

そのことに気がついたサイラスが、叫びながら鳥に剣を突き刺す。


「くそったれがぁっ!」


"責任はこの私が……。私のこの判断で国民の笑顔がなくなることになってしまったら

 私は私の命で償いましょう……"


頭の中で凛と響く……王妃の言葉。

何時もの王妃様からは、想像がつかないほどの気高い気配。

思わずひざを突きたくなる衝動を抑える。


キース様の剣を持っている腕が下がる。ユージン様も戦意を喪失していた。

かろうじてサイラスだけが、肩で息をしながらも剣を構えていた……。

激しい戦いではないものの、精神にかかる負荷が大きいのだ。


やり場のない思いが、渦巻いているような表情を見せる3人。

頭に血が上っていた分だけ、鳥から与えられる情報に

気がつこうとしなかった真実に、打ちのめされているようだった。


セツナはただ、3人の様子を表情も変えずに静かに眺めている。

そんなセツナを見て、フレッドが声を上げた。


「セツナ君は! これをみて何も思わないのかっ!」


私は少し驚きながら隣に立つフレッドを見た。

彼がここまで声を荒げるのは珍しい……。

キース様たちの姿を見ていられなくなったのだろう。


「君の頭の中には、王妃様の姿も声も流れていないのか!?」


セツナはフレッドのほうを向き、淡々と答える。


「同じ光景が見えているし、同じ声が聞こえていますよ。

 僕が作ったものなんですから」


「じゃぁ、どうしてそう冷静に見ていられる!」


「反対に聞きますが、どうして冷静でいられないのですか?」


彼の言葉に唖然とする、フレッド。


「どうしてって……」


「何時も、冷静に見ていたんでしょう?」


「なにを……」


「この鳥たちは、王妃の心。王妃の言葉。王妃の気持ちです。

 サイラス達が、日々王妃に対してとっていた行動を視覚化したにすぎない」


「そんな行動をとった覚えはない……」


キース様が搾り出すように声を出す。


「目に見えないから、気がつかなかっただけでしょう?

 王妃様が建国祭の話をしようと話しかけても、時間がない、忙しいといって

 聞く耳を持たなかったのでしょう? 王妃の気持ちを遊びだと断言し

 理解することなく切り捨てたのでしょう? 忙しいと言う言葉で

 足元に散らばっている鳥たちのように……」


セツナの言葉に、全員の目が赤く染まった鳥に注がれる。


「僕は、見えないものを見えるようにしただけだ」


「……」


「見えなければ平気で、見えると駄目ってどういうことなんだろうね?」


セツナのセリフに誰も返す言葉が出てこなかった。


「僕は、王妃様の話を聞いて依頼を受けた。

 王妃様の覚悟を、想いを受けたんだ。

 その僕がどうしてその鳥たちを見て、罪悪感を抱かなければいけないのかな?」


「……」


「確かに……王妃様の想いが叩き落されるのは

 見ていると不快にはなるけどね……」


「……」


セツナは軽く腕を組み、サイラス達を真直ぐ見つめる。


「それに、どちらの想いが上か比べようと言ったのはサイラス達だ。

 魔道具の結界まだ消えてないよ? 鳥たちを落とさないの?

 さっきまでの威勢はどうしたの? 殺気も消えているよ?」


ユージン様が無意識だろう、一歩後ろに下がった。

セツナは更に追い討ちをかけていく。


「王妃様は……何時も笑っているから気がつきにくい。

 でも、少し考えれば分かることでしょう?

 何時も笑っていられる人間が、本当にいると思う?

 何時も楽しいと思う人間がいると思う?

 皆が大変な思いをしていると分かっているのに、心を痛めないとでも?

 1人で寂しく食事を取り、それでも笑う人間の気持ちを考えたことが?」


サイラスは、セツナと視線を合わすことができずに俯いてる。


「君達が選んだんでしょう? 僕と戦うことを……。

 それなら最後まで戦いなよ……。僕は許すつもりはない」


そういうと、今まで空中で止まっていた鳥達が動き始める。

3人のほうへ突撃するように向かっていくが、サイラスは剣をおろし

キース様もユージン様も剣を構えることはしなかった。


セツナの合図で鳥が

3人の体にぶつかる、ぎりぎりのところで止まる。


「どうして剣を構えないの? どうして戦わないの?

 これじゃぁ、僕がいじめているみたいじゃないか……」


そう言ってため息を1つ落とし

セツナが右腕をさっと横に振ると鳥達が一斉に消えた。

1匹だけ、セツナの肩に乗っている。


「僕の依頼は足止めすることだしね。王妃様が30分早く呼び出してくれたから。

 30分早く終わってもいいだろうし………」


気がつくと時間が12時近くになっていた。


「終わろう……。もう戦う気はないようだし」


そういうと、セツナが剣を抜き、歩きながらゆっくりと剣を上げる。

3人が顔色を変え、一斉に走り出した。


魔道具に向かって剣を振り下ろそうとしたとき

ユージン様が、魔道具を守るように胸に抱え背中を向け

キース様が、ユージン様の背中をかばうように両手を広げ立ちはだかる。


そのキース様の前に、サイラスが立ち

セツナが魔道具を切るために下ろした剣を、自分の剣で受けとめた。

剣と剣がぶつかる音が部屋に響く。


セツナの視線とサイラスの視線がぶつかる。


「今更……?」


「これからは、間違わない……」


「君達は、この国の歩みを知っていたはずだ。

 建国祭の本当の意味も、王妃様から聞いてたよね?」


「ああ……知っていた。そして忘れていた」


「気がつく機会は沢山あったはずだけど?」


「……ああ」


「この戦いを始める前にも、僕は本当に戦うのか聞いた

 何故力で解決しようとしたの?」


「……」


「君は選択肢など無いと言った。

 将軍と大臣達が僕と戦わないことを選んだのに、何故疑問に思わない?」


セツナの力が強いのか、サイラスの口から声が上がる。

セツナは力を緩めない。


「力に溺れてるよ……サイラス」


その言葉を言ったセツナの声音に、私は言いようの無い恐怖を感じた。

サイラスの顔色は悪い……。しかし、サイラスは言い訳することなく

セツナから視線を外さずに答える。


「……悪い……。殺されても文句は言えない……。

 だが、ここで引いたらキースたちを巻き込む、俺は今は引けない」


ギリギリとサイラスの剣とセツナの剣が重なっているところから音が鳴る。

どちらも引かないその様子を、私達は固唾を飲んで見守ることしかできなかった。


その時、扉が開き声がかかる。


「セナ君!」


その声に反応し、セツナが剣を引き優雅に剣を鞘にしまう。

サイラス達から離れ、声の主に視線を向けた。

サイラス達は緊張が解けたのか床に座り込んでいる。

王妃を視界に入れたとたん、何時もの調子で王妃に声をかけた。


「僕はセツナですよ、王妃様。もういいんですか?」


「うん……ありがとう」


花がほころんだような笑顔をセツナに返す王妃様。


「そうですか」


その言葉で納得したのか、セツナは国王様のほうを向き礼をする。


「お久しぶりです。国王様」


「世話をかけたね」


国王様の言葉に少し間をおき、返事するセツナ。


「王妃様に感謝してくださいね。

 そのまま放置していたら、1週間後には寝込んでいましたよ」


国王様は少し目を見張ってセツナを見た。

それは、私もサイラス達も同様で

驚かなかったのは将軍と大臣達、そして国王様の騎士だけだった。

そういえば、国王様の騎士はセツナと剣を交えようとはしなかった……。

将軍と言葉を交わしていたことから、戦わないことを選択したのだろう。


私達はまだまだ未熟だな……。

そう痛感する。サイラス達のほうを見るとサイラスも気がついたようだ。

苦々しい表情を見せていた。


「毒の影響で、体力が落ちていたにもかかわらず、

 食事も睡眠もろくにとらず、微熱が続いているのに薬も飲まず

 王妃様や大臣達の言葉にも耳を貸さない……。

 自殺行為としか思えないですね」


国王様に対して辛らつなセリフを浴びせるセツナに

周りがぎょっとする。国王様は苦笑を落とし


「今日は手厳しいな……セツナからもらった薬が良く効いている。

 薬代だけでも支払おうと思うのだが」


「……薬の代金を支払ってもらえるんですか?」


「支払うのが当たり前だろう?」


「……1時間おきに1本で3回飲んでもらった薬と

 今日の夜寝る前に飲む分が1本で金貨100枚いただきます」


「……」


-……金貨100枚……?


全員がセツナのほうを見る。一番先に我に返ったのは国王様で

セツナに何かを言う前に、王妃様の両肩に手を乗せ、王妃様を自分のほうへ向けて問う。


「リリアっ! 何を対価に依頼を頼んだ!」


国王様の表情はとても厳しい。何かに気がついたようだ。

人前では王妃様の名前を呼ばない国王様が、王妃様の名前を呼んだことに

王妃様は少し驚き、そして俯く。


「リリア、答えなさい」


王妃様は黙って首を横に振った。

将軍が国王様の剣幕に少し驚き王妃様を横目で見ながら

セツナに少し呆れたように聞いた。


「セツナ殿……その薬の代金はいささか高いと思うのだが」


「これでも安いと思いますが……。

 依頼された薬が、病気が一日で治って、明日から働けて

 副作用が無いようになんですから」


将軍の顔が少し引きつっていた。どう考えても無理な注文だ。


「そのような薬があるのか?」


「あります。だから高いんです。

 竜の血を混ぜて作ったんですから」


「……」


「気力も、体力も、魔力も充実しているはずです。

 熱が下がったのなら病気も治っているし。

 普通ならその病気は完治するのに2ヶ月はかかる

 それをすぐに治そうと思えば、万能薬に近いと言われる竜の血を使うしかない」


竜の心臓はどのような病気も治す最高の薬。

竜の血は、ある程度の病気ならすぐに治してしまえるほどの力があるといわれている。


竜の血一滴で、莫大な富を築くことができるほどのものだ。

そもそも……竜の血など手に入るものではないのだ……。


無茶な薬を注文する王妃様も王妃様だが

それを作ってしまうセツナもどうかと思う。

セツナに薬の説明を聞いた将軍も大臣達も顔色が白くなっている。


この薬が、何の対価もなしに与えられたものだとは誰も思わない……。

いや思えない。


「リリア!」


薬の内容を聞いて、王妃様が一番驚いていた。名前を呼んでも答えない王妃様に

国王様は、埒が明かないと思ったのかセツナに同じ質問をする。


「セツナ、君に対する依頼の対価は何だ」


あせる様に言う国王様に、セツナはサラリと質問に答えた。


「王妃様は経験がある人ですから

 色々教えてもらおうと思いまして、僕のお相手をお願いしたんです」


「……」


私も、そして周りも息を呑んだ。

ユージン様の手が剣の柄にかかる、それをキース様が抑える。

国王様は、セツナを睨むように見つめていた。


「あわわわ、セナ君!

  その言い方はとても危ない方面のはなしに聞こえるわ!」


顔を赤くしながら、セツナに抗議している王妃様。


「王妃様……。僕の名前は、セツナだと何度言ったら覚えてくれるんですか

 セツナと呼んで下さい」


少し切なげな視線を王妃様に送るセツナに、周りの空気は冷ややかになる一方だ。

将軍達も剣呑な空気をまとってきている。


「セツナ君!」


王妃様の慌てように、セツナが笑う。


「仕返しですよ、9時と言ったのに…… 30分も早く呼んだでしょう?

 僕は着替えの最中で、上半身裸でここに呼び出されたんですよ?」


王妃様はばつが悪そうに、セツナから視線をそらす。


「うー……ごめんなさい」


セツナは国王様に向き直り、うそです申し訳ありませんと謝った。

将軍や大臣達が一斉に詰めていた息を吐く。


セツナは少し考えた後、何かを呟く。すると国王様と王妃様の声が聞こえなくなり

セツナの声も聞こえなくなった。


「……」


「…………?」


どうやら、音を遮断したらしい。

ユージン様とキース様が面白くなさそうに、その様子を見ている。


国王様の表情を見ると、セツナの先ほどの言葉が本気ではなかったことが分かったのか

眉間のしわが無くなっていくかわりに、今度は真剣な表情でセツナに頷いている。

しばらくして、結界をといたのか国王様たちの声が戻ってきた。


「……なるほど」


何を話していたのかは分からないが、国王様と王妃様の顔には

少しセツナを心配するような表情が浮かんでいる。


「まだ、はっきりとしたことは言えませんが……」


「分かった。その時は、必ず力になると約束しよう」


「お願いします」


王妃様がチラチラと上目遣いでセツナを見る。


「セツナ君……薬代だけど……」


その様子にセツナが笑う。


「薬代はいりませんよ。

 もともと……国王様の病気は途中で分かったことですからね」


「いいの……?」


「いいですよ。

 ただし、僕はもう王妃様からの依頼は受けません」


「……」


「覚えておいてくださいね」


セツナがそう、王妃様に釘を刺していた。

きっと、ずるずると甘えられるのを回避するためだろう。


国王様が、少し落ち込んでいる王妃様を横目で見ながら

セツナに皆と同様の質問をしていた。


「セツナ、どうして王妃の依頼を受けた」


深く静かな声音でセツナに聞く国王様に、セツナはやわらかく笑い

セツナの肩の上に乗ったままの鳥を指に乗せる。


「国王様に、この鳥を贈りましょう」


セツナの言葉と同時に、鳥が国王様のそばにゆっくりと飛んで行き

胸の辺りにぶつかって消えた。


「僕は、王妃様と3度打ち合わせをしたのですが

 理由のひとつは、王妃様が寂しそうだったからです。

 だけど、決め手になったのは国王様が病気だと分かったときの

 王妃様のその言葉です」


鳥が消えたと同時に、国王様が手のひらを顔に当てうなだれる。

王妃様は国王様の隣で真っ赤になっていた。


私達には聞こえなかった、国王様と王妃様にだけ聞こえたのだろう。


「リリア……」


王妃様の名前を呼び、真っ赤になった王妃様の顔を見つめて国王様が優しく笑った。

その国王様の笑みに、王妃様はとても艶やかな笑みで答えたのが印象的だった。




読んでいただきありがとうございます。

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僕達の小説を読んでいただき、また応援いただきありがとうございます。
2025年3月5日にドラゴンノベルス様より
『刹那の風景6 : 暁 』が刊行されした。
活動報告
詳しくは上記の活動報告を見ていただけると嬉しいです。



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