クラブ 遊ぼ!!
カノンとパンフレットを見ながら、クラブ「遊ぼ」を探す。待ち合わせ場所から10分の距離とはいうものの同じような店が立ち並び、洋々な服装をした若者とすれ違うたびに二人して興奮を隠せない。「ねぇ、今の男の人スカートはいてたよね」
「今の人、ミニスカートというには短すぎない?」
「きわどいよねー」美的感覚が刺激される。ちぐはぐな人や、そのアンバランスさがよかったり。終始、人間観察をしながらやっと目の前に(遊ぼ)の看板を見つける。結局、通り過ぎてまた戻って探した手間も含めて20分ぐらいはかかった。数段の階段を登ると、黒い板チョコのような扉がある。
私たちの少し前にも金髪の男たちが入っていく。そのたびにカノンと私は、興奮を隠せない。
扉を開けると、薄暗い店内とつんざくような大音量の洋楽が流れていて無数のスポットライトが、クルクル回っている。その色とりどりの明かりが部屋を駆け巡っていく。目が慣れていくと、テーブル席席が壁にそってあり部屋の中心の所ではたくさんの男女が踊っている。
「まず、席を確保しなくちゃあね」と、八雲からレクチャーを受けたカノンが、ぼっーと圧倒されて突っ立っている私を誘導してくれる。
「席を確保したら、飲み物と食べ物ね。それと割引券もらってきたからと、鞄から取り出しヒラヒラさせる」
「ごめんね。全部任せて」申し訳そうに言うと「いいってことよ」といつもの笑顔で、踊っている人達をよけながら離れたカウンターまで行く。
それを、少し目で追いながら周りを改めて見回す。
すると、ふいに視界を遮って声がかかる。
「今、来たところ?ここは、初めて?」その声に反応すると、目の前に若い男二人が立っていた。うち一人は、地味な普通の若者という感じ。もう一人は金髪で色白で着ているものも白一色一見すると、綺麗な女の人だ。
(こ、これってナンパ?ど、どうしよう。早く、カノン来てくれないかな)
ぎこちなさが、伝わったのかとても優しく自己紹介をはじめる。俺達、W大学の学生
俺が、城之内 空。こいつが、安良 レン太。
せっかく大学生になったんだから遊びの幅を広げてんの。と地味だと思った彼がずっと喋り続けている。
途中人混みをよけながら慎重に体のバランスをとりながら、飲み物と食べ物を持ってきてくれたカノンも交えて4人で少しずつ盛り上がある。途中で、踊ろうよと、カノンと空さんが立ち上がる。無口な、レン太と二人きりだ。気まづい空気。何か、喋べらなきゃあ。