2月7日
今日は土曜日ということもあって、親友のカノンとウインドショッピングをする予定だったはずが、カノンがクラブの割引チケットをもらったことで初めてのクラブ体験に変更になった。
昨日の林二の「ナンパされるなよ」の言葉が林二の顔とともに、蘇るがすぐにかき消す。
駅前の待ち合わせ場所についたが、まだカノンの姿は見えない。クラブなんて行ったこともないし、踊れないし服装も何をきたらいいのかわからないということで、昨日お気に入りの服を全部出しカノンとチケットをくれたカノンの姉、芽雲と写メを送りあいながら、ああでもないこうでもないと決めたコーディネート。
八雲は、某地下アイドルの全身コディネーターという力強い肩書の持ち主。
くれぐれも、高校生ってばれたらだめだからね。あと、門限は22時までよ。その時間に車で迎えにいくからね。店からは出ちゃダメだよ。誘惑も多いだろうから。お酒も飲み過ぎないようにという、数あるダメ出しの束の中での初ライブ体験である。
カノンは、10分ほど遅れてきた。
「遅れてごめんねーお待たせ」
聴きなれた声に振り返ると、昨日お互いに決めていたコーディネートとはいうものの実際化粧や髪型が加わると数倍も印象がちがう。
「うわっ、カノンかわいい」
「化けたなっていいたいんでしょー」
「うん。でも流石ねえ、名雲さんってすごい!も、もちろんモデルがいいからだけど」って、後からとってつけたような言葉も耳に入っていない様子。
「岬も、かなりいいよ。かわいい。今日の初クラブも楽しみだね」
その言葉にちらっとまた林二の顔が浮かぶが、別に気兼ねする仲じゃないしね。