日常に落とされた変化
最近、急に冷え込んできたような気がしてきて、岬は今日も学校の帰宅そうそうベットになだれ込む。ああーあったかい。瞼を閉じると、徐々に意識が遠のく。
充分に寝て階下のリビングへ降りると「あんた、最近よく寝るわねー」と母は呆れたようにいいつつ、食卓をみると夕食の用意がしてある。
「私の好きなチキンの竜田あげだあー、最高」
もうお父さんも弟も先に食事をしている。
そして家族で大好きなお笑いを見ながら、岬はチキンにかぶりつく。
「あのさあ岬、林二君のことで話があるんだけど」母はとても、いいづらそうにしながら喋りだす。
その内容は、隣の秋田家の両親が離婚をすること。
そして最近、家を売りに出していて売れたら母親の実家に林二君と引っ越すこと等を私の表情を見ながら言葉を選びつつ話す。
「えっ、うそでしょう?! 離婚?あの仲のいいおじさんとおばさんがあ?信じられない!!」秋田家夫婦の姿を思い浮かべた。
「私も、お父さんもびっくりよお」ねえ。お父さんと相づちをとりながら、とにかく引っ越しが決まるまでは言うのは止めようと思っていたけれど‥あんた達、長いこと一緒にいたでしょう。その、いろいろ後悔してほしくないから。
「いろいろって何よ。そりゃ、家族ぐるみのつきあいだったし、すごくショックだけど‥」
「林二兄ちゃんと会えなくなるのは、俺だって嫌だよ」弟の武人とも、仲が良かったのでとても寂しそうだ。
岬は夕食を終えてから、自分の部屋で落ち着きなく何度も携帯を見ていた。
林二からはメールも来ていないし着信履歴もなし。
どうしよう。こっちから何か言うべきかなあ。あんなに仲が良かった家族なのに。四季のイベントには必ず二家族で祝ったりして楽しんだ。
初詣にいったり、ホームパーティをお互いの家で開いたり海に行ったり、クリスマスを祝ったりと思い出は子供の年ほどいっぱいある。それなのに、とても信じられない。しかも、原因が父親の浮気だなんてありえない。その話を聞いてから、やさしいおじさんの顔が急にいやらしく感じられてリアルに思い出す。