表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鷹司家戦国奮闘記  作者: 若竹
87/406

西国水軍会議 その2

 外交を一手に引き受けていた大内さんも知らなかったパパンの貿易政策。明や朝鮮だけで無く、南方の国とも貿易したいらしい。


「うむ。今までは細川が邪魔だったからの。秘中の秘としておったのじゃ」

「む。そうでしたか」


 立ち上がっていた大内さんだけど、細川の名前が出たら少し大人しくなったよ。


「日明の貿易では細川がかなり口出ししておったからの。下手に漏れると残党どもが、またぞろ口出しをしかねなかったのじゃ」


 言い訳して大内さんを宥めているパパン。


「堺も随分と困窮しておる様での。やっとワシの話を聞いてくれる様になったのじゃ」


 堺さん?誰だか知らないが、パパンの毒牙にかかった犠牲者がいる様だ。周りの人達もちょっと引いている。


「それに、大内殿に作ってもらっておる船。あの船を使えば天竺へも行けると申したのはそなたではないか」

「あ!確かに申しましたが、あの船については……」


 急に慌てる大内さん。周りをキョロキョロ見渡している。秘密の船を作っていたらしい。


「ははは。人の口に戸は立てられぬ。海からは丸見えじゃし。あの船は他の水軍衆達も噂しておるぞ。のう?」


 自分達の噂話を把握されてると聞いてギョっとしている水軍衆。


「まあ、そう言う訳での。これからの瀬戸内はこれまで以上に沢山の荷が行き交う事になる。瀬戸内で小競り合いなどやっておる暇も無くなるでの。明日からの会議はその為の会議じゃ。皆もよろしく頼むぞよ?」


 パパンに威圧されているのか、声もない水軍衆。中には顔が真っ白になっているオッサンもいるな。


「どうしたかの?河野殿?顔色が悪いようじゃ?」


 更に圧をかけて行くパパン。こういうトコ、こいつドSなんだよな。河野と呼ばれたオッサンは元々が八の字眉毛で迫力が無い。パパンに圧をかけられて凍りついている。


「チャイ!」


 オレはパパンの手を叩いて、河野のオッサンへ身を乗り出す。


「お?お?どうした、若竹?」

「ダーダー!」


 オレはジタバタしてパパンから逃げ出すと、河野のオッサンの膝からスルスルとよじ登った。肩に座るとオッサンのオデコをペチペチしてやる。


「おや?若竹は河野殿を気に入った様子。ふむ……。すまぬがしばらく相手をしてもらえるかの?」


 そう言って上座へ帰って行った。オレがシッシッとやっていたので様子を見る事にしたらしい。

 いきなり赤ん坊を預けられて、固まる河野のオッサン。

 オレはオッサンの耳を引っ張って、庭に行きたいと身振りで主張する。


「アーアー!」

「アタタ。若竹丸様。そこは痛うございます。そうそう。そこなら掴まれても大丈夫」

「ウーウー!」


 オレとオッサンがジタバタしているのを見て周りがニヤニヤしている。水軍衆の緊張も解けた様だ。パパンが上座から声を掛けてくる。


「河野殿、誠にすまぬのう。若竹の気の済む様にしてやってくれぬか?」

「は、はい。それでは、しばらく失礼いたします」

「アー!」

「はははい。アチラですな?若竹丸様?」

「アー!」

「はいはい。行きます。行きます」


 お供を連れて庭に出て行く河野さんを水軍衆が同情した目で見送っていた。






「面白かった!」「先が気になる!」と思ってくださった方は、お気に入りの登録と、下の☆☆☆☆☆で評価してくれると、作者のモチベがアップいたします!よろしくお願い申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ