【閑話】[貧乏貴族]兵衛くんの嫁取り合戦 その14
なんかお御輿で遊んでいたら、話がまとまっていた兵衛です……。すいません!ちょっとだけ調子に乗ってました!
え?あれで良かったの?良かった!
ええと、武甕槌様の旗を貰った兵衛だぜ!なんだかよく分からないけど、無事、大和国は朝廷の支配下に収まったそうだ。
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そう、筒井は間に合わなかったんだよね。俺たちの動きを察知してすぐに動いたけど、そもそもその時は半日遅れ。
藤原京から春日大社までは徒歩で半日あれば着く。
筒井城から筒井達が飛び出した頃に、俺たちは春日大社つまり、興福寺に着いていたんだ。
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興福寺の発表を受けて、しばらくは武士たちの右往左往があったけど、上役が変わるだけで今までとそう変わらないと理解されると、自然と静かになって行った。
楠木殿や松永殿が大和の武士を束ねる事になったらしい。紀伊の畠山が怪しい動きをしているので、大和国と合わせ、三好家の河内と北畠様の伊勢でそれに備えるのだ。
筒井家は筒井城の周りは安堵された。ただし、以前の様な権勢を振るう事はもう出来ないだろう。
柳生家は松永殿の客将となった。平田党みたいに近衛家直属になる武家もいたが、大和南部は楠木家に属す事になった。甚四郎殿とはすっかり仲良くなった。もちろん、松井殿ともね。
「楠木家はもう大名で御座るな。次に会う時は平伏せねば!」
「ハッハッハ。武甕槌様の化身が何を申すか。だが、某も家格に合った作法を覚えねばならぬ。しばらくは松井殿に教授してもらう事になり申した。」
「あれ?では、松井殿はしばらくは吉野へ?」
「うむ。幸い、吉野なら馬を使えば一日で京へ行け申す。しばらくは吉野と京を行き来する事になりますな」
「そうじゃ。馬を走らせれば一日じゃ。何かあればすぐに駆けつけて来るからの!」
俺と甚四郎はがっしりと手を組んだ。
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さて、俺自身の名はこれで結構広まったようだけど、肝心なのは立身出世。林家の家格を上げないといけない。
「安心しなさい。兵衛の活躍の場はもう決まってます」
げ!勘解由小路様!
「これで武士として名を上げました。次は武家として名を上げてもらいますよ」
「武家として?」
「ええ、まずは棒給の増額です。そこから家臣に支払ってくださいね」
「え?家臣?」
そこでがっしりと肩を掴まれた。アレ?部下役をやってくれた検非違使の諸先輩方?どうしたのかな?
「おう、我らがお殿さまよぅ。しっかりと棒給のお話をしようかぃ?」
アーレー!
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「やれやれ。少しは成長したかと思ったのですがね」
「ふふふ。布施は林家の家老です。まだまだ、面倒を見て上げてくださいね」
「部下の嫁取りを見守るつもりが、とんだ事になりましたなあ」
「見返りは充分与えている筈ですが?」
「ええ。面白いお仕事になりましたよ」
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