左京は混乱中
昨日は左京大夫の土岐さんが来ていたけど、今日は検非違使大尉の斯波さんが来ている。少尉の織田って人も来ているって言うから顔を見に来たのに、信長じゃないんだってさ。
広間に続いている部屋から覗いていたんだけど、パパンに見つかっちゃった。
「おう!せっかくだから紹介しよう。これが若竹じゃ。若竹、そこに控えてあるのが斯波武衛殿じゃ」
「これは若様、御尊顔排し奉ります。検非違使大尉、斯波にござります」
「ダゥー!」
片手を上げて挨拶する。
「おお!これは、これは。岩竜丸を思い出しますな」
武衛さんはパパンよりちょっとだけ若い感じ。小さな男の子がいるそうで、オレの事を見てニコニコしている。
武衛さんはゆったりと構えているが、その後ろに控えているオッサンが異様に緊張している。さっきから平伏しながらガクガク震えているし、汗がビッチョリだ。
「そこに控えあるのは、彦五郎か。息災であったか?」
「ヒ!あ!いえ!お陰さまにて」
「同じ藤原じゃ。楽にせよ」
「いえいえ!いえいえ!我らは傍流も傍流。鷹司様と並ぶのもおこがましい。こちらに控えてある方が楽でございますれば」
「そうか。それならば、好きにせよ」
織田の彦五郎さんは隅で小さくなっている。守護代って聞いたんだけど、そんなに偉くないのかな?
「それで、大尉。昨日、左京大夫がこちらに来ての……」
「ヒイイ!申し訳ございませぬ!」
パパンが話しだすと彦五郎さんが謝り出した。
「これでは話も出来ぬのう。これはいかがした事なのじゃ?」
パパンも困って武衛さんに聞いている。
「ははは。我らは三条が担当。関白様の若かりし頃を聞きましての。何でも生血を啜る悪童とか」
「まさか、清洲織田の大和守がそんな噂でこの有様か?もっと肝の太き男と聞いておったぞ」
「流石は遠耳の鷹司様ですな。尾張の噂もご存知とは」
「いや何。一色の次は土岐か斯波かと噂になっておったからの」
「これは汗顔のいたり。知らぬは当人ばかりでしたな」
「その、肝太き男がこの有様。いかがした?」
「関白様に隠し事は出来ませぬな。実は……」
武衛さんの話をまとめると、彦五郎さん、河原者と聞いて対応を誤ってしまったんだって。地元の桜党って組織と対立しちゃったらしい。
かなりの騒動になりかかっていて、今日はそのお叱りだと思ったらしい。そして、パパンの昔話で脅されて来たって訳だ。六角のオッサンも「最恐の鬼稚児」とか言ってたしな。どんな事やってたんだ?
次回に続きます!
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