晩秋の鷹司家
ウチは結構モフモフ率が高いのだが、やっと抜け毛が収まってきたようだ。その抜け毛を集めてフェルト人形とか作るのが流行ってる。
この時代、犬猫を飼って毛を梳いてあげるなんて、よほど余裕が無いと出来ないからね。ウチはパパン達が頑張ったお陰で今はかなり余裕が出来たんだって。
「ほほほ、阿茶のは可愛らしいのう。ちと、太り気味だがの」
「もう!内侍さま!…確かに欲張り過ぎましたかね?」
「「「ほほほ」」」
「愛は器用じゃの。ユキそっくりじゃ」
「実は、ユキの毛だけを集めておりました」
「なるほどのう!」
マンマ達がお互いの作品を見せ合っている。
「あー。宮さまのは……なんというか……」
「ええと、宮さま……」
マンマのは、何というか、にょろんとしていて、微妙にバランスが取れていない。
「まぁ、これはこれで、味があると言うか……」
「…………」
「さあさあ、お茶にでもしましょうか」
内侍が、何事も無かったようにお茶を勧める。
「おお!ちょうど良い。ワシらにも茶を入れてくれぬか?」
そこに、パパン達が入ってきた。
「ん?なんじゃコレは?画伯の書いたニョロニョロ?」
マンマのフェルト人形を持ち上げて首を傾げるパパン。マンマの肩が震えてる。
あー!パパン逃げてー!
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皆さん、お元気ですか?鼻水が詰まって口で息してる若竹です。
「はい、若竹様、チーン!しましょうね」
「プン!」
赤ん坊は肺活量が小さいからな。鼻をかむのも苦労する。
「どれ、バァバが吸って差し上げましょうぞ」
「ヤー!」
横で見ていた、内侍がムチュー!って迫って来たので、全力で拒否しておく。バァバのキス顔なんて誰得意なんだよ!
「ハッハッハ!こんな事になっておるのではないかと思っておりましたぞ」
出たな?在富!アレ?何持ってるの?
「これで鼻水を吸い出しなされ」
「おや?これは?」
在富、痰や鼻水を吸い出すチューブを持ってきてたよ。間に壺がついてて、そこに痰や鼻水が落ちる仕組みの奴。
「ほう。これは良いのう」
内侍も手に取って見ている。
「これなら、ようございますか?」
「ン」
バァバのチューじゃなければ、なんでもいいよ。あー、スッキリした!
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「オッオッ!」
「ウッウー!」
千熊と阿子がご機嫌だ。食事する時の為に、赤ちゃん用の椅子を用意したらしい。
千熊が本格的に離乳食を始めたので、椅子に座らせる事にしたらしい。オレと阿子はまだ首が座ってないので椅子と言っても半分寝ているような椅子だ。ちょっと起こした布団とも言える。
それでも阿子は嬉しいらしく、さっきから盛んにおしゃべりしてる。何言ってるかは知らん。
「はぁい。昼のおばんです。皆さんで、いただきましょうなぁ」
三人並んだ所で、昼ご飯だ。千熊はお粥。阿子は麦茶を薄めた物だな。
「はい。若竹は水飴を溶かして入れてます」
オレは大人の思考力を持っている為か、普通よりカロリー消費が高いのだ。普通の食事では体重が減るので、特別製のドリンクを用意してもらってる。
赤ん坊はガリガリ成長するから、始めは気が付かず、実は結構危なかったらしいんだよ。本人も分からなかったしな!
赤ちゃんの観察、大事!
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