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鷹司家戦国奮闘記  作者: 若竹
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狩人

 在富(ありとみ)は、観測手として宇喜多太八郎を、護衛兼荷物持ちとして大江少輔次郎(しょうのじろう)を連れて狩りに出掛ける様になった。


 いや、それハンターじゃなくて、スナイパーのメンバー構成だろう?


 まぁ、オレの弾を使った戦果でもオレにポイントが入るから、人を撃ったら分かる。時代が時代だからな。覚悟はしておこう。


「ハッハッハ!若竹様!今夜は焼肉パーティーですぞ!」


 それ、乳児のオレは食べれないけどな。


「ウッウー!」

「行ってらっしゃいでち」


 --------------------


 在富が帰って来ると、狩りの獲物をお裾分けしてくれた。

 太八郎と少輔次郎がぐったりしてる。獲物が多すぎて運ぶのが大変だったらしい。


「おー!在富、凄いではないか!ワシもハンティングやりたいのう」

忠冬(ただふゆ)様の銃がございませぬ故、若竹様の成長をお待ち下され」


 パパン、期待した目でコッチ見んな!


 夜、みんなで猪鍋を食べる事にしたよ。オレら三連星も鍋なら汁を貰えるからな!


「ホホホ、コレは旨し。そう言えば、(いにしえ)は鷹を使って狩りをしたそうな」

「ふむ。兎を捕まえて喰ろうてた頃を思い出すのう。あの頃は弓で鳥を落としたものじゃ」

「麿はフナ釣りが得意でしてな……」

「………」


 今晩は乳母の旦那さん達のも来ているよ。

 フナ釣りを自慢していたのが、万里小路(までのこうじ)さん。三好(みよし)さんは、ひたすら食べている。


 皆んなの視線に気がついたのか、三好さんが顔をあげる。


「いや、すみませぬ。食べれる時に食べておけと、幼少より教えられておりもして」

「いやいや、武家ならそれも頼もしき事。気になさらず。ホレ、肉ばかりではなく、ワシが育てた菜も食べなされ」


 ウチのジィジが野菜を押し付けているぞ。


「戦場での食事はともかく、この様な先でこれほど温かな膳は初めてでござる」

「鍋なら皆で同じものを食べる故、毒味はいりませぬからな」

「あ!いえ、そんな事を気にした訳では!」

「アッハッハ!同じ鍋を食す!旨し!それだけで良いのじゃ」

「誠に、そうでありますな。旨し!」


 千熊や阿子は、ジビエは初めてか?


「オイチ!オイチ!」

「チー!」


 そうかそうか、たんとお上がり。


 タロ達は一家で生肉を貰ってる。口が生臭くなるから、歯磨きは念入りにして貰おう。


 --------------------


「ふふふ、狩りはいい。獲物だけではない。自然との戦い。人もまた動物であると思い出させてくれる……」


 あ、在富?なんか、危ない雰囲気になっているが大丈夫か?仕事のストレスが物凄く溜まってそうだしな。


「撃つ時に、色々な方のお名前を呟くのさえ、やめていただけたら」


 少輔次郎が言うには良い気散じになってるそうだが、オレの護衛の二人がメンタルやられていないか?


 太八郎はなんでオレの顔を見ないのかな?


「いえ、誰が、と言う訳ではなく。いえ、本当に」


 ……。まぁ、在富のストレス発散になってるなら良いっか。





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