パイレーツ vs ファイターズ 前半
貴賓席は、三階建ての観客席の2階部分にある。三階はちゃんとした階ってより、屋上に段をつけてあるって感じ。観客は持ってきたゴザを引いたりしてる。
二週間で作ったって聞いてビックリしたけど、砦を築くより楽です。と、言われたよ。前世でも、野外フェスの舞台とかあっという間に作っているものね。
オレと八郎がキョロキョロと建物を見ていたら、「鷹司は一夜城で有名でございますからな!」って新右衛門さんが言ってた。
隣の貴賓席は将軍家だったんだよ。義藤くん達が見学に来ている。義藤、ヤッホー!
「アッウ!」
「義藤さま、千歳丸さま、こんにちはでち」
「おう、八郎。若竹丸さまも、ご機嫌ですな」
義藤くんは、元服が決まってから大人びた口調になって来たな。
オレ達がワチャワチャやっていると、勘解由小路在富の実況、朝倉宗滴の解説が聞こえてきた。
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大内パイレーツの大将は、大江家の長男、少輔太郎。室町ファイターズの大将は、曾我又次郎です。
試合を見ながら、細かいルールの説明もしていきましょう。
試合には、たんぽ鎗や、袋竹刀を使います。小麦粉をまぶしてあり、白い粉がついたら、討伐です。一点。討たれた者は本陣に帰還します!宗滴学校の講師陣が監視しており、討たれたのに戦場に居残ると五点の罰点が取られます。
「討たれたのに、戦場に残っているのは怨霊じゃ。祓わねばならぬ。ウチは剣豪が多いので、無理に逆らわない方が良いぞ」
室町ファイターズが籠車を進めていきます。以外とゆっくり進んでいます。出発地点辺りは見通しもよく、襲撃なさそうですが。
「初めから勢いをつけると、難所に入った時に余裕を無くしやすい。それを嫌ったのじゃろう。又次郎らしい老錬さを感じさせるのう」
臆病かと思ったら、先を見据えた指揮だった!曾我家は代々将軍にお仕えしています。さすが、将軍の側近です。
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「うむ!よいぞ!又次郎!頑張れ!」
「若様!危のうございます!」
義藤くんが身を乗り出して応援してる。慌てて新右衛門さんが抑えているぞ。
「むむむ!兄上!頑張れー!」
「頑張れー!」
ウチも、護衛の大江少輔次郎が叫んでる。友達の宇喜多太八郎も応援してるぞ。
試合内容も、応援もなかなか白熱しているな!
「ウッウ、ウー!」
「どっちも頑張れ!でち!」
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さて、右京スタジアムの戦場は宗滴さんの設計ですね。山あり谷あり木立あり、なかなか複雑な戦場となっています。
「うむ。なかなか守りにくいコースになっておるが、観客席からは見通しよい設計にしておる」
おっと!パイレーツの襲撃です!ファイターズ、パイレーツの猛攻に堪らず出発地点に戻りました。
しかし、四分の一の旗は確保してます。旗を取っていれば出発地点に戻っても5点になります。
籠車が出発地点まで戻って来たので、退場していた選手が両軍とも復帰します。ここら辺も思案処です。ファイターズは、ワザと戻ったようにも見えます。
「ここまでは、曾我の指揮が上回っているの。大江は若さゆえか勢いはあるが、深みを感じられんのう。もしかすると大江は奥の奥、一手後に何か策を隠しておるのかもしれぬな」
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後半に続く!
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