厚着
ますます寒さが増して来て、冬の到来も間近に感じる今日この頃です。皆さま、いかがお過ごしですか?重ね着に埋もれている若竹です。
日本家屋って寒いって前にも言ったじゃない?流石の在富も、お屋敷全部に使うガラスサッシは出来なかった様で、宮中や近衛家や九条家など本当に一部にしか使われていない。鷹司邸は、未だに障子なんだよ。
つまり、ウチは寒い。各部屋に火鉢が常備されているから、これでも他の屋敷よりはマシらしいけどな。んで、寒さを凌ぐには?
厚着ですよ。重ね着。マンマ達はちゃっかりダウンのコートを着ているけどな!
でも、重ね着って、動きにくいし、重いんだよな。うぎぎ。うごご。手足をバタバタさせるが上手く動けん。
むう……。
むむむ!産まれてから筋トレを欠かした事がない若竹様を舐めるなよ!
うごごごご!手足だけでなく、身体ごと動き回る!
「ムキャー!」
すぽーん!ゴロゴロ。
おっと、産衣が脱げちゃった。しかもオムツごとだ。
よう!小若竹、略して小若が、こんにちわしているぜ!
「コワァ。コンチャ!」
はい。皆さんにもご挨拶!ピローン。
「あらあら、若さん、そないな所をいじって。はい。ナイナイしましょう?」
マンマが捕まえにくるが、折角得た自由だ。タロ!ジロ!逃げるぞ!ダバダバ(ハイハイの音)!
「あれ、若さんが!」
「若竹丸様がお逃げになられましたぞ〜!」
サーキットが閉まったってなぁ!走り屋は止められねーぜ!
コーナーか!アクセル全開が四駆の基本だ!ダバダバ!
ととっ!手足がもつれちゃった!ゴロゴロ!ドシン!
「フフフフフフ、若竹丸様もソロソロ躾が必要なようでございますなぁ」
書き損じた書類を手に、立ちはだかる在富。これは不味い。本気で怒っているぞ。
キョロキョロと逃げ場を探るオレ。
コレだ!
タロとジロの背中を掴んで、緊急脱出だ!犬の速力は時速50キロ!人間の足では追いつけないのだ!赤ん坊ならではの策だ!
「こら待てー!」
「お待ちくだされぇ」
ワハハ。在富や侍女達が追いかけて来るが、追いつけない。それどころか、引き離してやったぜ!
よし!次のコーナーを曲がれば!
「はーい。ゴールでち」
八郎に捕まってしまった。
「タロジロはこの家を一周するクセがついているでち。ココで待っていれば、戻ってくるでち」
そうだった!
「はーい。若さん、諦めてオシメ付けましょ。でないと怖ーい顔してる在富に渡しちゃいますよ?」
「グブゥー」
自由への脱出はお預けなのだ。
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