新右衛門尉さん
50話記念!あの人が登場です!ってあんまり有名でもないかな?
今日は、幕府の政所から、伊勢貞孝さんが挨拶に来ているよ。なんでも北陸での仕事が忙しくて、ウチに来る時間も取れなくなりそうなんだって。
前から幕府の負担を減らそうとウチで相談してたものね。そこで、連絡役として新しい人を連れてきたんだ。
ウチはジィジやマンマも同席している。マンマは皇室との取次役だしジィジも朝廷の調整役だからな。
「それでは、紹介いたします。蜷川!面を上げよ!」
「ははぁ!」
「それでは顔が見えぬ。もっと上げよ!」
平伏していたお侍さんが、顔を上げた途端、パパンと在富がテンションマックスになっている。
「あれ?新右エ門さん!新右エ門さんじゃないですか!」
「え?おお!新右エ門さん!久しぶりじゃのう!」
「まったく、お前らは。蜷川殿。久しぶりじゃのう。先代は元気にしておるか?」
「シンエモン『サン』でちか?」
八郎が首を傾げている。無理も無い。関白殿下が「さん」付けで人を呼ぶなどそう無いからね。
「おお、八郎。紹介しよう。蜷川殿は代々新右衛門を名乗っておいででな、先代の新右衛門にも大いにお世話になったのです」
おい!在富!平成生まれが新右エ門さんを語るんじゃねぇ!こちとら昭和の生まれだぞ!もちろんリアルタイムで見ているんだ!
「ホォォォ!チンエモンシャン!」
オレも感動して思わず、蜷川さんに抱きついてしまったよ。
「チンエモンシャン!」
「チーエモーシャー!」
千熊丸や阿子丸も、オレのマネをして蜷川さんにぶら下がっている。
「はははは。これなら某の紹介はいりませぬな」
赤ん坊まみれになっている蜷川さんに伊勢さんも引き気味だ。
「いやあ、すまぬの。つい、興奮してしまった。蜷川殿は当家が困窮していた頃にお世話になっての。伊勢殿を紹介してくれたのも、蜷川殿なのじゃ。伊勢殿と知り合えた頃から我が家の家運は向上しての。言わば蜷川殿は、当家の吉兆なのじゃ」
八郎へ向かって説明するテイで言い訳しているパパン。いつもより早口になっているから、焦っているのが丸わかりだぞ。
まあ、ある意味、信長や秀吉なんかよりレアなキャラだからな。興奮するのも分かる。オレも抱きついちゃっているしな。
「幼な子にも好かれる様子。お人柄がよう分かりますな」
マンマも好印象みたい。
「アハハハ。これから、よろしく、お願いいたします」
赤ん坊まみれになりながら、挨拶する新右エ門さん。
「よし!!鷹司は新右エ門さんに閉ざす門は無い!これを鷹司の家訓とするのじゃ!」
「チュル、ジャー!」
「「ジャー!」」
天を指して宣言するパパンとハイハイ三連星をマンマが呆れた顔をして見ていたよ。
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