[貧乏貴族]兵衛くんの嫁取り合戦 その1
「つきましては、関白様にお許しをいただきたく!」
庭で平伏している青年は、オレの護衛で古参の一人。林兵衛と言う。従八位のほとんど庶民なんだけど、鷹司家の護衛として長く勤めているんだって。
「某からも重ねて、お願い致します!」
その横で、一緒に平伏しているのは、その上司の布施左兵衛尉さん。
以前から、何となく付き合ってはいたんだって。こないだ護衛ゲームしたじゃない?あの時、侍女達がモテモテだったので、焦ったらしい。
そう、兵衛くんは、オレの侍女の一人と結婚したいとお願いしているんだ。
正式に言うと、鷹司家に働きに来ている公家の娘さんなんだけど。オレらの感覚で言えば両者合意の上で有れば婚姻を認めちゃうけど、この時代は違うらしいね。前世知識でうっすらとしか知らんけど。
まあ、いろいろ面倒くさそう。パパンが処理するんだろうけどね。一応、侍女はオレ付きって事なので、マンマと一緒に同席してます。
「それで、桂はどうなんだ?」
もちろん、彼女も同席。こっくり頷いている。耳まで真っ赤だ。よく頑張ったな!ハイハイで近寄って、膝をポンポンしてやる。
「ダゥー!」
しかし、パパンは難しい顔をしている。
「二人が共に好き会っているなら、是非もない」
部屋の中が、わっと、華やぐが、パパンがそれを制する。
「是非もないが、問題がある」
それを聞くと若い二人がしょんぼりしてしまう。
「皆も分かっているようだな。そう、家格が合わん」
おおっと、ここで貴族っぽい事言い出したよ。
「近衛家や九条家なら適当な家に兵衛の猶子を願えるんだが、当家は皆承知の通り。累計が無い。鷹司家で猶子を引き受ける訳にもいかんしな」
まあ、結婚祝いに摂関家の子にってのはないよね。
「桂殿のお家では、当家でも家格が足りませぬし」
布施のオッサンも困り顔だ。いつもならジィジ達がいて良い知恵を出してくれるのだろうけど、今回に限っていないんだよね。
「そこで、相談なんだが、兵衛には手柄を立てて、立身出世をしてもらおうと思う」
「「「は?」」」
「もちろん。布施も付き合ってもらうぞ」
「え?」
布施のオッサン、兵衛くん、桂ちゃん、三人の目が丸くなっているぞ。
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つまり、今は戦国時代。下克上の時代だ。戦で手柄を立てて出世して来いって事。
「もちろん鷹司家が全面的に応援する。兵衛が郡の領主ぐらいになれば公家の嫁を貰える。良かったな!」
ブラックじゃ!ブラック様が出たぞー!パパンが悪い笑顔している!
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