武士は虚実を見極めよ
水飴ウメー!実りの秋ですなぁ。
「実りの秋でちね」
ガラガラ、ゴロゴロ。今日の乳母車隊は邸内の畑を散歩しております。さっき、一休みしてた時に、水飴貰ったんだ。麦から作った飴なんだってさ。
「今年の麦もよう出来てはる」
「これなら、ビールも期待出来ますね!」
マンマと乳母達が呑兵衛の顔をしてるぞ。つーか、忠冬らビールも作ってたんか。
「びいる?」
新参の朝倉家達は首を傾げている。遠慮を知らない小次郎が古参の武士に聞いている。
「『びいる』とは、なんでござるか?」
「うむ。見た目は馬の小便でござるな」
「「馬の…しょ…」」
朝倉勢が目を丸くしている。
「味はとても苦ごうござる」
「「とても苦い」」
「それをこう、グっと飲むのでござる」
「「グっと」」
「喉を切り裂きながら胃の腑に落ちて行く」
「「喉を切り裂く」」
「飲んだ後には髭が真っ白になりもうす」
「「髭が真っ白」」
朝倉勢は明らかに引いているな。
「あっはっは!心配せずともよい!早くても来年の夏までお預けじゃ!」
「は、はぁ。いや某は、ご遠慮いた……」
「そうか、そうか。では、お主達は?」
次ぎ次ぎに辞退を申し出る朝倉勢。
「では、朝倉家中は『びいる』を辞退と「待ったぁ!」」
大音声に振り向くと、宗滴ジイが仁王立ちしていた。
「お主、かなり、いけるクチと見た」
「むぅ?」
鋭い眼光で古参の武士を睨みつける。
「お主ほどの豪の者が策を巡らす……」
「うぬぬ……」
宗滴が一歩進むと、一歩下がる古参。
「よほどの酒と見た!」
「ぐぅ!流石は宗滴殿!」
宗滴に喝破され、膝を突く古参。
「朝倉に宗滴様あり!じゃあ!」
小次郎達が喜んでるけどね?お前ら、分かってる?宗滴がくるりと回ると朝倉勢を叱りつける。
「お主ら!宮様が喜んでおったのを、聞いておったよな?」
「あ!えぇーと」
「そんな面妖な物を、宮様が喜ぶと思うたか?」
「あ、いえ、そのー」
「観察が足りぬからそうなる。お主ら全て策にかかっておったな?武士は虚実を見極めねばならぬ!戦なら全滅じゃぞ!」
宗滴がコチラを見るので、親指で首を切り、地面を刺してやった。
「ぎるていじゃ。大人しく縛につけ」
ワラワラと宗滴学校の生徒達が出てくる。お前ら何処に隠れていたんだ?
「鷹司邸、3周の罪に処す。引っ立てい!」
「お許し下されー」とか言いながら連れて行かれる小次郎たち。ノリがいいねえ。
でも、東京ドームの周り3周は結構キツいぞ。後で巫女さん謹製のブドウジュースを差し入れてやろう。
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