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鷹司家戦国奮闘記  作者: 若竹
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収穫の秋

 今日はいつもの庭じゃなく、平安宮の広場にやって来ました。ハイハイ三連星です!大きな牛車の中なんですけどね。今日は沢山の人が集まるから、車から出ちゃダメなんだって。


「ダァダァダァ!」

「「ダァダァダァ!」」


 今日も三連星は絶好調だぜ!決められた位置に車を停めると牛を離してあげる。


「モーモー、バイバイ!」

「「モーモ、バー!」」


 牛車って車輪が大きいので、乗っていると視線も高くなる。赤ん坊は視線が低いからな。高い視線は気持ちいいぜ!


 広場にはブドウが山と積まれ、その前に大きな桶がいくつか並んでる。


「ドゥー!ドゥー!」


 そうだね。阿子丸。ブドウだよ!それ以上やると、とある芸人さんみたいになるから止めようね。


 今日は、京中から巫女さんが集まって、この広場でワイン用のブドウ踏みをするんだって!これも忠冬(アイツ)らの仕業だな。


 小次郎たちは、巫女さんが袴をたくし上げて生脚を披露しているのを、ニヤついて見ている。


 隣に停まった牛車の中では、ジィジ達がニヤついているけど、小次郎たちとは理由が違うみたい。


 広場の向こうでお坊さん達が集まって騒いでたけど、検非違使達に追い払われていたんだよ。


「グフフ。坊主どもが悔しがっているのう」

「なんの。不飲酒戒(ふおんじゅかい)。飲めもしない酒を作っておるのが、奇怪(おか)しいのじゃ」

「神社は酒を禁じてはおらぬからのう」


 また悪代官ゴッコをやっている。在富(ありとみ)が、悪ふざけに加担する。


「お二人とも、酒とは米から作るものでは?」

「おっと、これは酒ではなかったのう」

「そうそう、これは『和韻(わいん)』作りであった!」

「坊主に、口出しされる(いわ)れもなかったのう!」

「「「アッハッハ!」」」


 ご機嫌なのは二人の手元にあるガラスの茶碗にも原因がある。


「この芋酒も中々良い!」


 そう、焼酎を飲んでいるんだ。既にかなり呑んでいるな?明日、頭が痛くなっても知らないぞ?


 さて、やっとオレ達のお楽しみだ。


 巫女さんが大きな柄杓を捧げ持ってくる。一番絞りを持って来てくれたんだ。もちろん、毒味済み。慎重に毒味する為に1時間も待ったんだぜ?


 侍女が盃を差し出すと、巫女さんが注いでくれる。あ!氷が入っているじゃん!


 早くオレの番にならないかなぁ?って、一番最後なんだよね。一番身分が高い赤ん坊だからね。仕方ないね。


「ングー!ンマー!」


 千熊が喜んでる。


「!!マー!マー!」


 阿子は初めてか?二人とも手足をバタバタして喜んでるぞ。さて、オレの番だな!


「「あっ」」「え?」


 巫女さんと侍女が小さく声をあげたの、聞き逃さなかったぞ?まさか、ここで無くなるなんて、お約束じゃ無いよね?泣いちゃうよ?


「だ、大丈夫。問題ないですよ〜」

「そうそう、こう言うのは、量じゃありませんからね〜」


 コレ、飲むってより舐めるって量だろう。泣。





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