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鷹司家戦国奮闘記  作者: 若竹
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ウチの庭には学校があります

 ガラガラ、ゴロゴロ。オレと八郎の乳母車の散歩は、鷹司家ではお馴染みの光景だ。大体は、いつもの庭を回るのだが、たまに他の庭を散歩する事がある。


 八郎は彼方此方を走り回っているが、オレはまだ動き回れないので、貴重な体験だ。タロとジロも普段はオレに付きっきりだから嬉しそうに駆け回っている。


「ンバッバ!」

「はーい。かしこまりでち」


 今日は、いつもの庭の先にある、宗滴(そうてき)学校まで連れてきてもらった。学校って言っても、正式な学校でも無くて、家庭教師が周りの子達も教えてるって感じかな?ちょっとだけ規模が大きいけど。


 そういえば、うちの敷地って広いよな?どれぐらいあるか知ってる?って八郎に聞いたら、大体1万8千坪だって。東京ドーム一個分ぐらいだって。広れー!個人住宅の広さじゃないよ。そりゃ畑やらなんやらある訳だ。


 そんな広い敷地の端っこに、学校の学舎が建てられているんだ。


 --------------------


 ガラガラ、ゴロゴロ。今日は学校はお休み。なので生徒はいない。静かな学校ってちょっとドキドキするね。


「ンバー」


 学舎と言っても現代のような大きな建物ではない。それでも二階建てで一つの階に教室が四つもある立派な建物だ。今はまだ三つしか使われてないが。


 板張りだが、ゴザとか座布団を敷いて座っているそうな。一つだけ畳敷の部屋があって、そこが悪童組の教室。


 隣りに同じ外観の建物が建っており、渡り廊下で繋がっている。道場と教師達の宿舎で、一階に道場が並んでいて、二階には教師陣の部屋が並んでいる。一部屋四畳ぐらいの寝るだけの部屋らしいけど。


「あ!それがしのふんどしが干しっぱなしでござる!」


 慌てて駆け出す佐々木小次郎。コイツ、やっぱり同姓同名の別人なんじゃないかなあ?


 一階は体術の道場、剣術の道場、弓術の道場と並んでいる。槍術などの長物は二つの建物の間にある庭で授業だ。


「しもうた!」


 小次郎のふんどしが風に流されていく。何やっているんだアイツは?


 タロジロがふんどしを追いかけていくぞ。バッチイから放っておきなさい。


「ここで、エイヤットウッてするんでちよ」


 八郎が説明してくれているが、正直、頭に入ってこない。後ろでタロジロと小次郎の追いかけっこが繰り広げられているからだ。


「タロ様ー!ジロ様ー!それがしのふんどし、お返しくだされー!」


 タロジロは官位持ち。小次郎よりも偉いので、乱暴も出来ない。上手く逃げ回っている。


 侍女達にもクスクス笑われているし、小次郎が可哀想になって来たな。後でオレのオシメを下賜してあげよう。



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