エボシって食べ物だと思ってたよ
「「「「いたーーー!」」」
パパンが連れて来たオッサンはキョトンとしてる。いや、目はだけは素早く動いているぞ。
「なるほど、北畠がおったか!」
訳、分からないものね。キョドるのもわかる。喜び騒ぐジィジたちをマンマが宥めて落ち着かせた。
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「なるほど、菊幢丸様の烏帽子親ですか」
お茶を飲んで一息入れた後、パパンが連れて来たオッサン、すなわち、伊勢国司の北畠晴具に一通り説明したのだった。天祐ってのは晴具さんの別名なんだってさ。
「うむ、天祐。たしかお主の晴具の晴は、将軍の義晴から貰った名じゃろう?」
「はぁ、確かに」
「そうでした。なれば、個人的に将軍家と近しいと言えますな」
「ほほう。伊勢国司でもあるし、参議でもある。朝廷との繋がりを匂わせる事もできるのう」
目の前にいる本人を置き去りにして、近衛と鷹司のジィジ二人と政所執事の伊勢のオッサンで話を進めている。
「ここに現れたのも天佑じゃな!」
「「「アッハッハ」」」
本人は目を白黒させてるよ。
「あー、いや……」
何か言おうとしても、
「あ゛?断らしまへんよなぁ?御所さまよぅ?」
ジィジ達がパワハラしとる。
「ア、ハイ。烏帽子親はお引き受けいたします」
「そうじゃろう。そうじゃろう。名誉なことじゃ」
途端に恵比寿顔になるジィジ達。ブラック様じゃ!ブラック様が出たぞ!
「ただ、困った事がございましてな」
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北畠さんの困り事は領国の事。伊勢国司と言っても、実際に治めているのは、伊勢国の南半分。北半分は色々な勢力がいて北畠さんに従っていない。その北伊勢にいる長野って大名が北畠さんの領地に侵攻して来そうなんだって。
「長野工藤か。どうなっとるのかのぅ?伊勢?」
「「はあ」」
伊勢の長野を幕府の伊勢に訴える伊勢国司。なんだか混乱するなぁ。近衛ジィジの「伊勢」の問い掛けに、二人とも返事してる。
なんでも北畠と長野は南北朝時代から争っているんだって。長い因縁があるので、両者ともに引けないらしい。
「なんじゃ、そんな事か。任せておけ」
あっさりした態度で言いのける鷹司のジィジ兼輔。
「おお!さすがは摂関家!」
「いやいや、それ程でもないわい。まぁワシらは太閤じゃ。なんでも相談せい」
おお!ジィジ達が頼もしい。太閤っていうのは元関白の事なんだって。
「おーい、忠冬。在富を呼べい!」
ズコー!ジィジ達も在富頼りかい!
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人知れずオレがズッコケていると、宗滴ジイたちが訓練から帰って来た。もちろん、菊幢丸くんもいる。
近衛ジィジが呼びかけている。
「おーい、菊幢丸!お主の元服が決まったぞ!」
宗滴ジイからも「菊幢丸様なら、今すぐ元服しても問題ござらん」と太鼓判を押されているぞ。
みんなの祝福を受ける菊幢丸くん。嬉しそうだね!
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