鷹司家のご嫡男
赤ん坊のお仕事は、寝て乳飲んで漏らして丸洗いされてオシメ替えてもらう、てな感じ。結構忙しいのよ。あっという間に一日が過ぎました。
ん?恥ずかしくないのかって?転生前、オタク第一世代だったオレには全てご褒美です。正直なトコロ、身体に影響されているのか、性欲も無いしな。
どうやら鷹司家では、実母と乳母2人、他に侍女が数人いる模様。バタバタしているのでよく分からんが。けっこうな家柄らしい。
実母は寝たままで授乳。出産直後だし仕方ないね。それでも初乳を飲ませたかったらしい。
乳飲んでいる時は本能が優っているのか、周りの事など気にしていられないし、周りも新生児が話に反応するとも思っていないだろう。実母以外にも二人に乳を飲まされた。世話をしてくれる侍女達は「若さん」呼びだが、どうやらオレの名前は「ワカタケ」もしくは「ワカタケマル」らしい。
さて、今日も東屋でお勉強会です。
「そういえば、お主の名前であるが、若竹という。皆からは若竹丸と呼ばれることとなる」
「昨日はそれどころでなかったので、お伝え出来ませんでしたが、産まれる前から男の子であれば若竹丸と決まっていたのです」
「まぁ、赤子であるから、周りの話に反応出来ずともよいのでな。後回しにさせてもらった。決して忘れていた訳ではないぞ」
はいはい。忘れてたのね。今更な事を言ってるがスルーしてやる。
「…………」
「オホン!さて、今日は転生者の能力についてご説明いたします」
「本来、赤子は何も知らぬもの。一般常識などは成長するに従って覚えてもらえばよい。それよりも、転生者である事が重要なのじゃ。そちのような赤子が大人と同じ理解をしているなど軽いホラーじゃからな」
まあ、確かに。
「しばらくは、赤子のフリの練習じゃな。我らのしゃべり方も同じくこの時代に溶け込むためのものと理解してくれ」
「これでも、現代の喋り方に合わせているのです」
それは気にしてない。ニパーっと笑ってあげる。
「キャッキャ!」
「おぉ!分かってもらえたようじゃな。さて、本題じゃ。昨日、在富は魔法を使えないと言ったな?あれは嘘じゃ」
お前はメイトリックス大佐か?
「うむ。ネタが通じた気がするのう。それはさておき、在富は式神を使役したり、結界を張る事も出来る。さらには、神界とも話す事も出来るのじゃ」
「神界との通信は条件があって、いつでも出来る訳ではありませんけどね」
「それが在富の転生者としての能力なのじゃ」
ほへー。その能力でオレの事を知ったと。
「そしてワシの能力は、脳内図書館。生まれながらにして、いろいろな辞書や辞典を記憶しておる。現代の辞典だけでなく、孫子とか老子などの古文書も記憶しておるのじゃ」
「この能力のお陰で忠冬様は、博覧強記の関白様と呼ばれております」
「この能力は大いに助かっておるのじゃが、細かい企業秘密などは分からぬので、実際には試行錯誤が必要じゃ。それと、どこで知ったのかを誤魔化すのが難しいのじゃ」
知識チートも苦労があるんだな。
「さて、これが我らの能力じゃ。お主も転生特典で能力を持っておるそうな」
「天界のゴタゴタでどんな能力かは聞けていないのですけどね」
ふーむ。オレにもチート能力が!
「今すぐにその能力を使わんでもよい。むしろ、他にバレないようにして欲しいのじゃ」
確かにバレたら、騒動になりそうだ。どんな能力かは分からんが、後で慎重に調べてみよう。
【今回のやらかし】
忠冬達がやらかした事案をここで解説します。
この時代、嫡子を実家で育てる事は余りありません。
その為、実母が子育てするなどほとんど無かったと思われます。
その他、妊娠や出産について現代知識を持ち込んでかなり改変しています。、