ジィジ襲来 その3
陛下に拝謁の日がやって来ましたよ。ガラガラと牛車に乗って移動してます。こう言う時、何故かドナドナが頭をよぎるよね。
宮城内って事と、ウチウチって事で、大した行列もなく移動しました。宮城ってのは昔の大内裏って土地を水堀と塀で囲っただけで、建物は使いやすく配置しているんだけど、内裏だけは大昔の内裏を再現したんだって。
何しろ、大内裏ってのは広すぎで使いにくかったってのが廃れた一因なんだってさ。牛車の中でオバチャンがマンマに説明してた。
んで、内裏の正門は南側にあるんだけど、ウチウチの訪問である我々は、西にある門から内裏に入って行った。そちらが私的なお屋敷なんだって。
入ってすぐのお屋敷に牛車を横付けし、マンマに抱かれてお屋敷に入って行く。マンマにとっては里帰りなんだけど、元々住んでいたのはここじゃ無いんだよね。「帰り」じゃないのに里帰り。
なんて、どうでもいい事を考えながら、案内されて奥の部屋に進む。オレは運ばれているだけだが。
降嫁したとは言え、今回は身内としての参内なので、御簾越しではないとの事。
ただし、いわゆる後宮なので、奥まで入れる人員は限られている。元内侍のオバチャンは、ただのお付きとしては身分が高くてダメなんだそうだ。入口の待合室で待っているって。むしろ身分の低い侍女達がついて来てる。ここら辺のルールもよく分からんな。
案内された部屋に入ると、ズラりと女性が並んでいた。挨拶の会話から推測するに残念ながらマンマのお母さんは既に亡くなっているようで、ここにいるのは他の奥さん達だとか。
それでも仲は悪くないようで、懐かしそうに挨拶を交わしていた。そこでやっと知ったのだが、ウチのマンマは、第二皇女だったんだと。
第一皇女は赤ちゃんの時に亡くなっているので、皇太子を除けば一番年上なんだって。今回、皇太子は今の内裏に残っているので、手紙を書いてくれたそうだ。
マンマが懐かしそうに手紙を読んでいる間、オレはオバチャン達のオモチャになっていた。オレはタロジロと一緒の籠に入れられているのだが、オバチャン達の迫力にタロジロもタジタジだ。お前たちオレの下に潜ろうとするんじゃない!
「ホホホ、いとけなきこと!」
「アウアウ、アー!」
仕方なく、愛想を振りまくオレ。マンマは他のオバチャンとのおしゃべりに夢中になっている。救援の望みはなさそうだ。
オレが絶望に苛まれそうになった時、屋敷の奥から足跡が響いて来た。助けが来たか?いや、なんだか嫌な予感がする。
「どれどれ、若竹はどこじゃ?コレか!ジィジじゃぞ!ベロベロ、バァー!」
【今回のやらかし】
大内裏だけで当時の上京と同じぐらいの広さがありました。
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