近衛尚通の陰謀
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はぁ。この部屋はマンマの寝室なんだがな。
あれから、近衛のジィジと鷹司のジィジが毎日、訪れてくる。まぁ、それはいいよ。隠居でヒマなんだろうし、お土産もどっさり持って来るからな。九条とか一条とか他の貴族達を連れて来て、孫自慢をするのもいいだろう。
だが、そのまま怪しい話し合いを始めるのはやめなさい。この前に話していた内裏の引越しの件、実はかなり面倒な話らしい。朝廷内のパワーバランスとか、幕府との関係とか、色々な綱引きがあるんだと。
今、オレ達が住んでいる屋敷は大昔の平安京で朝廷があった場所で、今の内裏は避難場所だったんだと。んで、朝廷が困窮して焼けた建物の再建が出来なくなり、今に至る。
今、住んでいるお屋敷も手入れはしているが、何せ古い建物。パパン達の技術を使った建物に比べると、色々と時代遅れになって来た。
なので、こちらに引越しさせたいが、近衛家や鷹司家から言い出すと、近衛と鷹司の功績が大きくなり過ぎる。どうにか両家の手柄にならない形で、引越しを済ませたいと。
そんな生臭い話をここでされても。と、思ったんだが、まずは、政治とは無縁な理由で集まれる場所はそう無い事。それとマンマのお世話をしているオバチャン。
彼女も実は凄い人だったそうで、今でも後宮にかなり影響力を持っているのだ。二条家のオッサンが来た時に、かなり驚いていたよ。
そう言う訳で、すっかり密議の集会所になっているのだ。
今日は、近衛のジィジが男の子を連れて来ている。歳の頃は十前後。頭の良さそうな子だ。
「内侍には、初めてかの?孫の晴嗣じゃ」
「あら?亀王丸さんから名前をもろた子?この春には権中納言も、任されたってなぁ?」
「いやいや、タロとジロには叶わんて。ホレ、晴嗣、この子が若竹じゃ。仲良うしてやりなさい」
オレを除き込んでいる晴嗣くん、すでに正三位なんだって。タロジロの従三位より、一つ上だな。ジィジ達、官位をホイホイ与えすぎだろう。誅殺された方がいいのかも知れん。
それはさておき、内裏の引越しなのだが、お上が孫に会いに来て、たまたま泊まった宿舎が気に入った。となれば、お上が自分の意思で決めた事になり、誰の手柄でもなく、文句も言えない。八方丸く収まるのだそうで。
「前にも言ったが、宮城に入ってしまえば、こっちのもの。たとえお上が帰ろうとしても女房達が居座るからの!」
自信満々の近衛のジィジ。
「ですが、お爺さま、どうして女房達が居座るのでしょう?」
さすが晴嗣くん、グッジョブ!オレもそれを知りたい。
「なぁに、簡単な仕掛けじゃ」
悪どい顔をする近衛のジィジ。ゴクリ。緊張した面持ちの晴嗣くんに顔を寄せると策の秘密を明かす。
「『うおしゅれっと』じゃよ」
パパン達、何、作っているの〜⁉︎
【今回のやらかし】
シャワートイレ:アレ、ビデからの発展だそうですが、角度を決めるのに物凄い苦労があったそうです。
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