ジィジ襲来 その2
おっぱい飲んで、ねんねして〜。生まれてから十五日目。マンマもオレをダッコしながら屋敷の中を歩くようになった。まぁ、ほとんど寝室と隣りの板の間、縁側ぐらいだが。
「アー!」
「はーい。おたたさんですよ〜」
「アンア!」
「うーん、お、た、た!」
「アンア!」
オレのノドもかなり発達して、なんとな〜く言葉っぽいモノが喋れるようになってきたのだ。ちなみにマンマが言っている「おたたさん」てのは「おかあさん」のコトらしいな。そして、
「はーい。パパですよ〜」
「ブー!」
「なんで、『ブー!』なんだよ!」
忠冬のヤローが顔を出している。こいつは三日に一度この部屋に顔を出せばいい方だ。どこで何をやっているのやら。マンマも甘やかさない方がいいぞ!
「おやおや、鷹司の若さんは、ずいぶんと言葉が早い」
さらにお客さんが来ている。
「ほりゃ、本家のジィジじゃぞー!ベロベロ、バァー!」
なんか、同じような事が記憶にあるぞ。ウチのジィジよりもさらに年上の爺さんなんだが。貴族の爺さんはベロベロバァーをするのが決まりなんだろうか?
「これは近衛の、おおごっさん!」
周りが驚いているのを見るとかなりの大物らしいけどな。オレが生まれて半月も経ったので、そろそろマンマの実家に顔を見せに来ないか?と言われているらしい。それでこの御隠居さんがオレの様子の確認とか時期の調整とか諸々の話し合いに来たんだと。
「昔の鷹司の屋敷であればそれほど内裏と離れておらんかったからの。苦労はなかったのじゃが」
ウチがちょっと遠くに引越したらしいな。
「おおごっさん、それを言っては……」
「まぁまぁ、わかっておる。お上を宮城に移すのにも、よい機会ではある。お上が移ってしまえば、うるさい奴らも文句も言えんからな」
何か近衛のジィジが企んでいるらしい。パパンが驚いている。
「なんじゃ?赤子を宮城の外に連れ出すよりは、お上に宮城へ来てもらう方が安全じゃろう?」
「そこは、まぁ、確かに……」
近衛のジィジ、悪い顔になっているぞ?それより、オレ、天皇陛下の孫なの?聞いてないよ!まぁ、マンマ降嫁で既に皇籍を離れているから、オレには皇室の継承権は無い筈。ドキドキしちゃったオレをよそに話は進んでいる。
「宮城に入ってしまえば、こっちのもの。紫宸殿はともかく、清涼殿から奥の御殿は万端整えてある。このワシが隅々まで差配したからの。たとえお上が帰ろうとしても女房達が居座るわ!」
なんだかマンマの実家に行くって言うのに、モノ凄い大事になっているみたいだぞ?
「確かに、この機に宮城へ朝廷ごと移ってもらうのが、良いかもしれませぬな」
お?パパンもキリっとした顔になっているぞ?
「どうも細川の一党が動いている様子。高国と晴元が手を組んだとの噂もありました」
「石山や叡山も何やら、きな臭い。関白殿は忙しくなりそうじゃな」
「あぁ〜ん!もう、面倒臭い!まとめて焼き討ちしちゃおっかなー?」
パパン⁉︎
「これ!そのような話、ここでするものでは、ございません!」
オレ達を置いて盛り上がってるパパンたちをオバチャンが叱りつける。
「それよりも、うちうちとは言ってもタロとジロが昇殿できるかで御座います!」
オバチャンもソレ?
「ホッホッホ。それなら心配無用じゃ。すでに従三位をもろうておる」
「さすがは、近衛のおおごっさん!手抜かりありませんな!」
なんか凄い位をワンコにあげているんだけど⁉︎
【今回のやらかし】
忠冬達がやらかした事案をここで解説します。
ベロベロバーは在富が流行らせました。
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