照れるサーシャにチョロインの影が・・でも、その先は地獄絵図なんです
アクセスありがとうございます。
街の外から迫る脅威から守るために高く積み上げられた外壁を飛び越え外に出て広がる景色は、遠く離れた馬車で横へと広がり囲む帝国兵たちの姿で覆い尽くされていた。
「王国は、ここまで帝国に攻め込まれていたんだな・・」
「カイ、この先どこに向かっても帝国兵ばかりで退路は無いわ・・誘い込むように一つだけ守りが薄い場所を準備していることが腹立たしいわ」
「街の全方位をか・・・・戦力のほとんどをこの街に集結して来たって感じだな」
「外壁に背中を預け足を止め話しを止めたサーシャが目を瞑り、気配探知に集中している姿を黙って眺めていると数歩だけ離れた場所でシュタッと何かが着地する音が聞こえ顔を向けると、ネコ姿のシマチの緑色の瞳と目が合いなぜか一度肩に乗られてから離れ少女姿へと戻る。
「帝国は、一つの門からしか入ってなかったにゃ」
シマチの言葉にサーシャは気配探知を終わらせ帰って来たシマチを出迎える。
「お疲れさま、シマチ。帝国は何か策があって、あえて侵攻を一つに絞ったのかもしれないわ」
「そうにゃ。それと、あの黒髪勇者と一緒にミユキの姿も見つけたにゃ」
「そう、あの子もいたのは残念だわ・・カイ、ミユキはもう帝国側の人間なのよ」
「あぁ、わかってる。対峙した時は・・・・」
ミユキは元々帝国に召喚された異世界人で、当然ながら王国と争う敵側の人間だ。この事実だけは、認めないといけない。
この明るい時間帯で突破口を開くのは無駄に疲れると4人娘が口を揃えたため、この場所で夜になるまで過ごし離れることを決め数時間経過した頃に、警戒で起きていたサーシャとユキナが反応し街の中が騒がしくなってから呟いた。
「あら・・王国が反撃を始めたようね」
「うむ。帝国兵が少しづつ街の外へと後退させられているようなのだ」
「んにゃ? それなら様子を見て来るにゃ」
「シマチ、待ちなさい」
「にゃにゃ?」
「ここは、全員で行くわよ」
最近の流れはサーシャの意志決定で皆が動いているよなと思いつつ、怒らせると大変なため何も言わず俺は先に走る4人娘の背中を離されないよう必死に追いかけた。
付かず離れずの距離を保ったまま4人娘の背中を眺め街の外壁沿いを移動する中で、ふと彼女らより狭いけど気配探知も自分も使えることを思い出し発動すると、街の外へと後退する多勢の気配の中でそれを追撃するため飛び出して行く気配が妙に気になった。
「あそこか・・」
防御しつつ街の外へと後退していく帝国兵達の姿が見える門が見える場所まで来たところで、帝国兵達が追いかけて来た何かを取り囲むような陣形となると、門から1人の騎士が罠に自ら嵌まるかのように飛び出し立ち止まるも、囲み全方位から襲い掛かる帝国兵を次々に斬り倒していく姿に、元騎士の俺も見入ってしまった。
「うむ、なかなか男である騎士なのじゃ」
「でも、あのままじゃ疲れて終わりにゃ」
「あっ主よ・・我もアレに飛び込んでも?」
「バカ狼、その口からこぼれ落ちそうな涎を拭いて落ち着きなさい」
「ユキナ、とりあえず落ち着こうな?」
「わふっ・・」
銀色の瞳を輝かせ今にも飛び出そうなユキナの背中を撫でながら、一人果敢に完全武装で兜を被り戦う騎士の姿を見守るも、時間が経つにつれて動きは鈍くなり一太刀で倒せなくなり焦りが垣間見える単調な動きへと陥っていく。
「・・やっぱりにゃ。背中が隙だらけにゃ」
王国騎士は積み上げた帝国兵騎士の屍を障害に利用するも、正面の帝国兵のみ斬り伏せ背後の敵は牽制するだけになり、騎士の命の終わりが近づいて来たようだ。
「はぁ・・仕方ないわね」
戦いを静観しているだけと思っていたサーシャは、愚痴をこぼすように呟くと危機的状況の騎士の死角から狙う帝国兵に左手を向けると手元に弓を出現させ素早く矢を放ち、放てれた矢は弧を描かず水平に最短距離で飛びそのまま帝国兵の背中を貫き絶命させた。
突然倒れた仲間の姿に近くにいた帝国兵は振り返り、俺達の存在に気付きその情報を伝達したようで指揮官らしき帝国兵が何か大声を発した後に数十人の兵を率いて王国騎士を放置し、こちらに向かって来てしまった。
「サーシャのせいで、たくさんやって来てるにゃよ!」
「ちっ・・これも作戦のうちよ! スミハ、貴方のブレスで気持ち良く焼き払いなさい!」
「サーシャよ、この妾に尻拭いをしろと言うのじゃな?」
「違うわよ! スミハの出番を、この私が作ってあげたのだから感謝しなさいってことよ!?」
「・・・・カイよ、これは妾が悪いんじゃろか?」
「スミハは悪くないよ・・・・だから、サーシャがんばれ!」
誰が迫り来る帝国兵を迎撃するか揉めているうちに、何も抵抗しない俺達に向かい罵声を浴びせ続けるているが、この場というか彼女らに緊張という言葉は存在していないようだ。
「はぁ? 私のせいなの??」
3人に自分が悪いと言われるサーシャだが、プライドが高い性格のため認めずにいるためこのまま時間だけが過ぎ去り、帝国兵達の間合いに入ってしまう前に俺はサーシャを煽てることに決めた。
「サーシャ・・サーシャの華麗な弓矢の連射が見たいなぁ〜しばらく見てないから、また見せてくれないかな〜?」
「・・・・」
なんとも安っぽい言葉にサーシャに怒らないかと、内心ドキドキしていた俺だけど意外にも彼女の顔が少し赤くなった反応にチョロいなと思った後にトドメの口撃を告げた瞬間にクルッと身体を翻し返事をする。
「そっ・・そんなに見たいなら仕方ないわね・・見せてあげるわよ! またその瞳に焼き付けなさい!!」
サーシャはそれ以上言葉を発することなく、身体に纏う魔力で周辺に流れていた風を自身に集め背後に旋風を巻き起こすと、放つ矢に風を纏わせバシュッと空気を斬り裂く音を鳴らし連射されていく矢は、迫る帝国兵達の胸を貫き血飛沫を巻き上げながら先頭の指揮官から次々と地面に倒れ動かなくなっていく。
「んにゃー! サーシャがゴミ虫のように葬っているにゃ」
「シマチよ、妾のブレスの方が鮮やかに紅く燃え何も残らず葬れるのじゃぞ?」
「んにゃ? スミハのブレスは、み〜んな真っ黒だから綺麗じゃないにゃ。サーシャのは、紅い花が咲き誇ってるにゃ」
「うむ・・それなら我がサクッと凍らし氷像として葬った方が綺麗だと思うのだが?」
「ユキナのは、溶けた後が見た目も匂いも悲惨にゃ・・・・」
「そっ・・そんなことは・・・・」
可愛い顔の少女達がとんでもなく怖い話しをしている先で、長い金髪をなびかせながら弓矢を連射しているサーシャの後ろ姿を眺めていると、不意に動いていた右手が止まり振り返った。
「ふぅ・・カイ、どうかしら?」
やりきった顔で聞いてきたサーシャは、俺の返事を笑顔で見つめる姿にドキッとなり普段絶対に思っても言葉にしないことを思わず口にしてしまった。
「とても綺麗だったよ、サーシャ・・惚れ直した」
「・・・・バッカじゃないの!?」
動揺しテンパっているサーシャの姿越しに地面に転がる無数の帝国兵達の屍を見ながら、自分が口にしたことを思い出しやっちまったと焦っていると、孤独に戦っていた騎士の動きは止まり何かをに対して警戒しているなと思っていると、帝国兵側も騎士に攻撃する気配がない代わりに黒髪少年少女達の姿が見えてしまったのだった・・・・。
いいね&評価ありがとうございます。
また勇者クンの登場です。
ここから数回イベントがあって、最終章的な話しへといく予定です。
最初は、短編で完結させる予定でしたが、思いのほか長くなりすいません。




