帝国の先制と後手の王国騎士団そして逃げる主人公達・・
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耳を直接叩かれたような爆音というか破裂音が脳内に響き渡り飛び起きると、周囲にベッドが防壁のように俺を囲み床に直接横たわっていたことに気づくも状況が理解できず部屋を見渡すと、いろんなものが散乱して酷い状態だった。
「・・何が起きた!?」
同じ部屋で寝ていたはずの4人娘の姿は無く、ただ自分に言い聞かせるように叫ぶと囲んでいるベッドの向こう側からヒョコッとシマチが顔を出し視線が重なった俺は、両足に力を入れ立ち上がろうとしたところで、身体能力の高いシマチが先にベッドを飛び越え俺の傍に来てくれた。
「カイ、まだ動いちゃダメにゃ・・コレを履いてからにゃ」
「靴を? あぁ、わかった」
普段から使っている靴を受け取り履いた俺を、シマチはベッドの向こう側へと俺を連れて行ってくれると、部屋の小さな窓は破壊され窓枠が一部残り外の街の風景が見えるありさまだった。
「なんだよコレ・・」
「落ち着きなさい、今は状況の確認よ」
破壊された窓枠から街の外を見ているサーシャの背中を見て近くにいるスミハとユキナも無事なことがわかり、そのまま彼女達の背後でしゃがみ探索が得意なサーシャに声を掛けた。
「サーシャ、ここの宿が狙われたのか?」
「・・違うわ。街全体が狙われているみたい・・それに街は既に包囲されているわよ帝国の人間に」
「帝国がこの街を攻めているってことかよ」
「えぇ・・またくるわ、すぐに伏せて!」
シマチとスミハが俺を抱き締め床に寝転ぶと、上からユキナが嬉しそうに覆い被さって来た。
ドンッ!!
宿屋の建物が揺れ全身の奥にまで衝撃が伝わった後に爆風に巻き込まれた破片が周囲の建物にぶつかる音が鳴り響くも。3人が守ってくれているおかげで何も影響がなくやり過ごすも、覆い被さる銀色の瞳は余裕そうだ。
「寝起きドッキリだな、主よ?」
「・・ユキナ」
「主よ、もっと抱き締めていいのだぞ?」
「うるせぇ・・もう朝だ・・」
「ならば、夜まで待とぅいたっ!」
「ユキナ、ふざけるのも終わりよ?」
「すまぬ、サーシャよ」
サーシャに後頭部を叩かれ怒られたサーシャ、素直に謝ると肩に回していた腕を離し俺から離れる。
「カイ、ここから逃げるわ。2人はそのままカイを連れて部屋を出なさい。ユキナは先導」
「んにゃ」
「よかろう」
「うむ」
ユキナは部屋のドアを蹴り飛ばし、先を進むとシマチとスミハに両腕を掴まれた俺はそのまま3人で部屋を出てユキナを追いかけ廊下を進むと、最後に部屋から出てきたサーシャが突然大声で叫んだ。
「本気で逃げなさい!」
サーシャの言葉に反応したシマチとスミハの行動に俺は微塵も反応できず背後から抱き締められつつ前から力強く引っ張られる感触があったような気がする程度の時間に視界は真っ暗となり意識が刈り取られ、次に目を覚ました時にはどこかの家屋の屋根の上だった。
「・・ここは?」
「宿の外にゃ」
「すまんのじゃ。妾達の本気にカイは対応できず、気絶させてしまったのじゃ」
「そうか・・それよりも、誰に狙われたんだ!?」
「カイ、落ち着きなさい。アイツらがこの街に攻めて来たのよ」
「アイツらって?」
「黒髪の子よ」
「勇者達が? なんで無差別に街を狙うんだ?」
「人族の事情を私達は知らないわよ」
「だよな・・」
「この街にもう用はないわ。すぐにでも行くわよ」
サーシャの探知能力で街を進撃する帝国兵や外で包囲し動かない帝国兵部隊の居場所を把握し、逃げ遅れ混乱する住民を見過ごしながら屋根伝いに移動することに耐えきれなくなった俺は、足を止めるもユキナにヒョイっと担がれてしまい何もできなくなった。
「ユキナ、おろしてくれ」
眼下の通りで逃げ惑う家族連れの姿を見ることしかできない俺に、背負い走るユキナが小さく問い掛ける。
「主よ、気になるというのか?」
「当然だ。争いに子供が巻き込まれるなんて見過ごせない」
「我が子供を守れぬ、親が悪いのだ・・」
「だけどさ・・」
「主よ・・ならば、一つ問うても?」
「なんだ?」
「今そこでちょうど帝国兵に斬り倒された騎士の仕事を・・国の民を守る役目である騎士をなぜ辞めたのだ?」
「そ、それは・・・・」
ユキナの言葉に返す言葉が見つからない俺は、黙り続けることしかできないでいると彼女から謝罪されてしまった。
「主よ、我の質問が悪かった・・すまぬ、嫌いにならないで欲しいのだ」
「いや、別にユキナが悪いわけじゃない、ただ俺が・・・・」
使い捨てのように扱われた騎士団時代のことを思い出し、辞めるきっかけとなったジーニスの忘れていたはずの言葉を鮮明に思い出し脳内で何度も繰り返される。
「ユキナ・・」
「ん? どうしたのだ主よ」
「俺も子供だったんだよ。あの時も・・そして、今もな」
「どうしたのだ? 急に主らしくもない言葉を・・とても変な主なのだ」
「かもな・・」
そんなやりとりをユキナとしている中で、王国騎士団や帝国兵に止められることなく混乱する街の外壁を飛び越え外に出ることに成功すると、サーシャが言っていた街を包囲する帝国兵達の姿が遠くに見えていたのだった・・・・。
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