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フェンリル娘のユキナは、やはりバカ狼だったようです

アクセスありがとうございます。

更新が遅くなりました。


 久しぶりの街の宿のベッドの心地良さに溜まっていた疲れが癒やされていた俺は、いつの間にか眠ってしまったようで、目が覚めた時にはすでに部屋に4人娘の姿はなく部屋に灯りがついていただけ彼女達の優しさなんだろうと思いながら一度起こした上半身を再びベッドへと倒す。


「・・もう夜か」


 窓の外は既に暗く姿が見えない4人はきっと買い物か何かで出掛けているのだろうと思い、帰ってきてから夕飯にしようと天井のシミを見ながらゴロゴロしていると、部屋のドア越しから廊下を歩く音が近づいて来て視線をドアに向ける。


 バンッ!


 ノックも無いまま勢いよく開かれ身構えると、見覚えのある顔がヒョコッと覗き俺を見る。


「んにゃ?」


「・・シマチ?」


 ドアを勢いよく開けて覗いて来たのはシマチでいつもと何か違うと視線を重ねつつ考えている間に予備動作もなくシュッとジャンプしてベッドの乗って来た。


「んにゃにゃ」


「シマチ・・酒くさっ」


「にゃふー」


 普段のシマチは干した布団のような香りがするけど、酒臭い息を俺に吹きかけ1人喜びゴロゴロ喉を鳴らし甘えていたのも束の間で、スッと緑色の瞳を細めると細い腕で反応すら出来ぬまま俺を抱え人攫いのように部屋から出て連れられた先はサーシャ達がいる酒席だった。


「サーシャ、カイを連れて来たにゃ」


「あら、空腹で起きていたの?」


「・・サーシャが呼んだのか?」


「べ、別にいいじゃない。一人部屋に居ても寂しいだけでしょ?」


「まぁ、そうだけどさ・・」


「主よ。我と共に飲むのだ」


 プイッと顔を逸らしてしまうサーシャと、色白のユキナの顔が赤く染まっているも手に持つジョッキをグイッと飲み干し空にしてからテーブル横に置いてある酒樽からエールを注ぎ俺に手渡してくれる。


「あっありがとう・・でも、ユキナのは?」


「んぅ? 気にするな主よ・・我のは・・ヒック」


 ユキナは使っていたジョッキを俺に渡し手ぶらなのに何が大丈夫なのかと黙って見ていると、自然な動きで酒樽の下へと潜り上を向くと、下側に取り付けられているコックを開けて流れ落ちるエールの滝を嬉しそうに大きく口を開きゴクゴクと飲み始める。


「ユキナ! 嘘だろ? おい・・」


 普段なら待ち受けるジョッキに受け止められる黄金色のエールは、ユキナの口の中へと潜りこみ飲み込まれていく光景も秒で終わりを告げ、飲み込まれず口の中で溜まったエールは口から少しづつ溢れ出し床を濡らす。


「おい、ユキナ大丈夫か?」


「んもぉ」


 心配になり声をかけた数秒後にゴバッと盛大に口からエールを噴水のように吐き出したユキナはそのまま床へと仰向けとなり、目を見開いたまま微動だにせずただ顔と銀髪がエールの滝を浴びてビチャビチャになっていく悲惨な光景となった。


「・・相変わらず、学習しないバカ狼ね」


 テーブル下で悲惨な状況になるユキナを見ながらサーシャは呆れた口調で呟きながら酒樽のコックを閉じ、エールの滝からユキナを助け出すと思いきや、空になった自分のジョッキにエールを注いでから閉じそのまま席に戻る。


「・・放置?」


「そのうち起きるわ」


「・・・・」


 酒に溺れたユキナを気にせずサーシャ達は飲み食いを再開していると、視界の隅で女給仕が俺の方を見ているような気がしたため右手を上げると、ホッとした表情で俺の方へ歩み寄って来た。


「あの・・お連れ様は大丈夫ですか?」


「あぁ、問題ないらしいよ」


「そうですか・・」


 とりあえずユキナのことを意識から外した俺は、夕食のおすすめメニューを注文し運ばれてきた肉の特製タレ焼きを完食し満足した頃に、置いてあった酒樽は脱落したユキナを除いた3人娘は空にしたようだ。


「ふぅ・・今夜はこれぐらいにしましょう」


「満足にゃ・・」


「妾も今夜はこれぐらいでよしとするのじゃ」


「それじゃ、まだ起きないユキナを洗いに行くわよ」


「うむ、ならば妾がユキナを運ぶのじゃ」


「今回は、スミハの当番にゃ」


 おもむろに3人娘は椅子から立ち上がると、スミハはユキナの右足を持ち引きずりながら宿屋の裏手に出るドアの方へ向かう。


 そんな光景を他のテーブルで食事を楽しんでいた男冒険者達は皆手が止まり、引きずられペロッと捲れたシャツから見せる胸の一部に視線が釘付けとなっていると、後を追うシマチが足で雑に戻し見えなくして出て行った。


「・・大丈夫かな?」


「カイ、問題ないわ・・チラッと見られただけだもの。それよりも、部屋に戻るわよ」


「いや、そっちじゃなくて・・・・」


 サーシャと俺は部屋に戻り腰掛けたベッドにいる俺は、久しぶりにエールを飲んだことで体温がいつもより高く感じゴロンと横になると、少し冷たい布団が気持ち良く感じそのまま布団に潜り込み眠りに落ちた・・。


 一人気持ち良く寝ていたはずの俺だったけど不意に震えるような寒さを感じ本能的に目を開けた視線の先には、長い銀髪が濡れたままの全裸のユキナが俺の布団に潜り込み抱き付いた姿勢で寝ていたのだった・・・・。


評価&ブクマ登録ありがとうございます。

もう少し日常回があります。

これは日常なのか?

引き続きお付き合いをお願いします。

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