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どうやら宿の決め手は・・酒らしい

アクセスありがとうございます。


「なんでアイツがこの街に? 王都の騎士団本部の椅子で偉そうに座って、部下から戦況の報告を聞くだけだと思っていたのに・・」


 姿を消すジーニスの背を裏路地から見送り、詰所前で通りを封鎖するように陣取る騎士達は微動だにせず警戒する光景が続く。


「はぁ・・」


 裏路地で何も状況が変わらない俺は、家の壁に背中を預けたままゆっくり座りサーシャ達が出てくるのをただ待つことに決め何度か警戒する騎士に見られているような視線を感じるも、ただジッと何もせず動かない俺の存在は時間は経つに連れ脅威の対象外と判断したのか、そのうち見向きもしなくなった。


「・・・・さすがに眠くなってきたな」


 薄暗いここに何もせずいる俺の背後から睡魔が優しく囁き、何度も意識を刈り取ろうとすることに抗っていたものの根気負けし欠伸を数回し、沈みかけた意識の中でザッと足音を鳴らす騎士達の行動で一気に眠気が覚め足元に落ちていた視線を詰所へと戻す。


「やっぱり、見間違いじゃなかった」


 詰所から出た騎士は、どう見ても幼馴染であり王国騎士団団長ジーニス本人だった。ジーニスの隣りに俯いたままのルミナと、両膝から先を失って歩けないネルルをお姫様抱っこをしていた。


 そんなジーニスがどこかに視線を向け、クイッと顎を動かすと近くで待機していたらしい騎士団長様専用の馬車が詰所前で止まり3人が乗ると、馬車を騎士達が囲んでから出発しなくなった。


「行ったか・・まぁ、結果的に騎士団に引き渡し成功だな」


 ジーニス率いる騎士団が去ってからしばらく時間を空けてから、サーシャ達は詰所から出て少しづつ通りを歩く人々が行き交い日常の光景へと戻ってくれたため、もう裏路地に隠れる必要がなくなった俺は何事もなかったかのように通りへと出た。


「サーシャ、おつかれさん」


「人族の相手をするのは疲れるわ・・・・それよりもカイ、あなたは騎士団のリーダーと知り合いだったの?」


「まぁ、なんだ・・幼馴染っていうか、子供の頃から知る腐れ縁ってやつだよ。どうして、それを?」


「ルミナが頑なにカイの存在を隠して話すから変に思って、問い詰めたのよ。そしたらアリアっていうあの小娘と騎士団のリーダーが恋仲って聞かされたの・・だから、むかついて殺気を飛ばしたら足がブルッてたわアイツ・・」


「・・アリアとジーニスが恋仲に? そうなってたのか・・それで、ルミナが?」


「違うわ・・そのジーニスっていう男が、ルミナから小娘の姿を街の北側の森で見たって聞いたら突然態度がガラリと変わったし、それに・・」


「それに?」


「なんでもないわ・・それよりも先に宿を探しにいくわよ」


 何か気まずそうなサーシャは俺から顔を逸らし、街の宿を探すため歩き出す。そんな彼女に問い詰めようと思い一歩踏み出すも諦めることにして立ち止まると、シマチに手を掴まれ引っ張られた俺は考えるのを中断し宿屋を探すことに集中する。


「カイ、この宿が一番いいと思うわ」


「ここ? サーシャ、本当にここで良いのか?」


 何件か宿屋の場所を確認しながら街を歩き続けた中で、この4件目に見つけた宿へと再び戻って来たと思うとサーシャの提案でこの宿屋に泊まることが決まった。


「そうよ」


「けどさ、酒場から遠い場所だぞ?」


 夕飯は酒場でと確定している中で、見てきた宿の条件で一番酒場から遠いこの宿屋に決めた理由が俺には理解できなかった。


「そんなこと知っているわ・・バカなの? カイ、よく聞きなさい。目の前で見えるものだけで判断するのは人族の陥りがちな愚かな思考なの」


「はぁ?」


「そっ・・そんな顔しないでくれるかしら?」


 思わずイラッとした俺は感情的な声を出しながらサーシャを見ると、彼女は動揺しているのか普段とは違い少しだけ慌てた反応と表情に変わりつつも、俯きながら俺の手を握り宿屋へと入って行く。


「いらっしゃいませー! まぁ、エルフのお客さん? それに人と一緒なんて珍しい組み合わせね」


 俺達を元気よく出迎えてくれたのは、受付で帳簿か何かを受付で見ていた主人であろう茶髪の女性は笑顔で歓迎してくれたようだ。


「ねぇ、5人一緒に泊まれる部屋は準備できるかしら?」


「同部屋ってことね・・ん〜と、今日は偶然にも空いているわよ? 次もその次の日も」


「そう、なら今夜は決まりね・・それと、あそこはいつから始まるか教えてちょうだい」


 しれっと連泊を誘う女主人の言葉をスルーしたサーシャは、1泊だけを告げ奥の食堂のような広いスペースに指を差したため、誘われるかのように俺も顔を向けるとカウンター向こうの側の壁にある棚にはたくさんの瓶が並んでいた。


「うふふふ・・エルフって、やっぱり好きなのね。そうね、陽が落ちてからの時間なら大丈夫よ」


「・・あなた、1泊の料金は?」


「大部屋だから、1人銀貨3枚よ?」


「思ったより、良心的な値段設定ね?」


「うちは、素泊まりが基本なの」


 女同士の目に見えない牽制しあう空気を目の当たりにしていた俺は、なんだか居心地が悪くなり早く終わらないかと考えていると、サーシャが不意に右腕を引っ張ったため顔を向ける。


「どした?」


「・・・・」


「あらあら、まぁまぁ」


 無言で見るサーシャとなぜか嬉しそうな反応をする女宿主を交互に見ていた後に、ハッと大事なことを思い出す。


「・・支払いは、俺だったな」


 5人分の料金を支払ってから部屋の鍵をサーシャが受け取ると、部屋に向かう前にサーシャは受付カウンターに両手を置いて身を乗り出すような姿勢で女宿主に問いかける。


「ねぇ、この店の酒樽はいくつ置いてあるの?」


「樽? 今日は2樽も残ってないくらいかしら」


「3樽は置いて置きなさい・・私たち用に」


「そ、そんなに飲むの?」


 予想外の要求に驚き目を見開く女宿主に、なぜか勝ち誇った顔で頷きカウンターに置いていた両手をゆっくり離し部屋へと向かう。


「・・・・なんて酒乱なエルフなの」


 サーシャの背中を見送る女宿主は、そう呟いた後に1人取り残された俺を見てニヤリとする。


「ボク? 先払いで金貨2枚よ・・払えるのかなぁ?」


「・・・・で、ですよねー」


 結局支払うのは俺のため、満足そうに部屋に向かったサーシャの懐は痛まない・・っと思ったけど、彼女らが稼いだ金は俺が管理しているため結果的に俺の懐が痛むことはないことに安堵する。


「それじゃ、支払うんで酒樽のほうをお願いしますね」


「ほっ・・本気なのねボク?」


「はい」


 酒代だけで金貨2枚って、どんだけ無駄遣いなんだよと心の中で叫びながら金貨を手渡し、遅れて4人娘が入った部屋へと入ると彼女らはすでに部屋着になりベッドで横になっている光景だった。


「もう着替えてたのか・・それに、いろんなモノが服の隙間から見えてるぞ?」


 4人娘の部屋着は、サイズ感があっていないユルユルのため胸元や足の付け根あたりがよく見える状況になっているため、無垢な少年なら目のやり場に困って部屋から逃げ出すレベルだけど俺は見慣れてしまったため特に気にはしないが、一応注意する。


「これが楽にゃ」


「我もこれがくつろげるのだ、主よ」


 ドアから二つ目と三つ目のベッドで寝転ぶシマチとユキナは、下着姿のため隙間から見えるレベルの問題では無い状態で、微塵も恥じらう様子はない。


「えっと、一応だけど俺は男なんだけど?」


「カイは気にしないにゃ・・一緒に寝る仲にゃ」


「主よ、我も同じなのだ・・ましてや、裸で寝たいのを我慢しているから褒めてくれぬか?」


「もう、好きにして」


 4人娘の中で品があるサーシャの身なりはちゃんとしているため安心できるけど、一番奥のベッドにいるスミハはなぜかシャツだけ脱いで、背を向けベッドに腰掛けチラチラと俺を見る。


「・・・・スミハ?」


「・・・・」


「あのースミハさん?」


「カイよ、どうじゃ? 見えそうで見えない、妾の胸は?」


「・・どうでも良いわ!」


 背中を向け細い腕で胸を隠しながらも、チラリと横から見せるように座り腕をズラすスミハの仕草に適当にツッコミを入れた俺は、そのまま入口に一番近いベッドへとそのまま横になった直後に、誰かがベッドに乗ってきたような揺れを感じる。


「カイよ、妾の胸に魅力を感じぬと言うのじゃな? どうなんじゃ?」


「んなっ・・スミハ、急に飛び込んでくるなっ・・ってんむ」


 上に覆い被さるスミハは金色の瞳で俺を見下ろし見つめながら抗議してくると、そのまま抵抗する俺の顔に大きく育った胸を押し付け、視界を奪いながら柔らかく潰れるとそのまま口まで覆われ喋れなくなったのだった・・・・。









評価&ブクマ登録ありがとうございます。

中途半端なところで終わってすいません。

少しだけ日常回になります。


引き続きお付き合いをお願いします。

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