騎士団と冒険者の合同討伐がスタートしました
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(この柱の向こうにアリアがいる・・なんで、副団長のアイツがこの街に?)
目の前の現実に理解できずにいると、俺の動きに何か気付いたのか金髪碧眼に変装しているミユキが俺の傍にスッと寄り代わりにアリアの方を見てくれているようだ・・・・そして、彼女の足音が止まる。
「王国騎士団副団長のアリアだ。今回の合同討伐は過去に実施して来た内容と違う。帝国戦力の索敵を含むため細部は現地の野営地で説明する。よって、これは強制では無い! もし、今からでも拒否するパーティーはここで手を挙げてもらいたい」
アリアの呼び掛けに手を挙げる冒険者がいないか、周囲を見渡す冒険者の視線がギルド中を錯綜するも名乗り出る冒険者パーティーはいなかった。
(アリア、そのやり方は卑怯だぞ・・どのパーティーも周りからの評価を気にして辞退できなくなったじゃないか)
そう思いながらも彼女の視界に入らないよう必死に息を殺し、柱に身を潜めている俺は情けない男だと思うもここで見つかる訳にはいかない。
騎士団からの説明は終わり、ギルドに集まっていた冒険者達は外に出て通りにある騎士団とギルドが準備した馬車へパーティーごと乗り込んで行く。
待機する馬車の周囲には騎士達が立っているため、他のパーティーメンバーに紛れ適当な馬車に目立たないよう乗り込んで、荷台でミユキが見上げ伸ばす両手を握り持ち上げ座らせる。
荷台では、冒険者達が合同討伐の内容がどんなものなのか予想している会話が耳に入るも、俺は合同討伐の内容より副団長アリアと出会さないよう考えていたところに肩を叩かれ、話に参加しろと誘われるも笑顔で断り隣りにいるミユキを犠牲にして参加させたのがきっかけなようで街を出て3日目の野営の夜には人気者となってしまい、俺は1人ポツンと遠目で冒険者や騎士達に囲まれ楽しそうに会話をしている彼女を眺めている時間が増えていた。
ザッ・・ザッ・・
「彼女は人気者ですな・・」
「・・・・」
楽しそうに騒いでいる皆から1人離れた場所で焚き火に小さな枝を投げ込み、火の粉が舞うのを眺めている俺の隣りに見知らぬ若い冒険者が勝手に座る。
「まぁ、そんなに警戒しないで・・俺はニードル。ギルドで見覚えないかな? 一応、騎士やってるんだ」
「騎士様でしたか・・これは、失礼しました。Cランク冒険者のカイです」
「いいよ、別に。キミは冒険者なんだから」
「どうも・・騎士様は、あの子に声を掛けないのですか?」
騎士は貴族家出身の奴らばかりだから無駄にプライドが高く、鬱陶しい奴らばかりだった。特に長男は将来必ず要職に就くレールが敷かれているため、学園生時代から勘違いの捻くれた野郎が完成していく・・俺も長男だけど優秀な幼馴染のおかげでレールが途中から敷かれてなかったようだ。
「ん〜あの子に話しかけるのは無理だね・・近くで副団長様が目を光らせているから」
「あ〜あの瞳に睨まれただけで、背中がゾクッとしますからね」
「・・・・」
「どうかしました?」
「なんで知っているの?」
「・・適当に言ったのが、当たったみたいですね」
アリアに何度も睨まれたことがあり、感じていたことをポロリと口にしてしまったことに気付くも騎士ニードルは聞き逃してくれず、ジッと俺を探るように見つめたため顔を逸らしてしまった。
「・・・・もうこの際だから聞くけど、キミは騎士の経験あるでしょ?」
「まさか? 俺は冒険者ですよ?」
「だったら、どうして副団長の睨む怖さを知っているんだい?」
「冒険者である長年の勘ですよ? 単独で魔物と戦うには、まず相手の瞳を見て考えを探り行動しますから」
「ふ〜ん・・・・実はね、今日までのキミの行動を見てたんだ。騎士養成学園で叩き込まれる動きに酷似しているところがあったからね。もしやと思っていたけど確信したよ・・キミが騎士だということを」
「・・それを知ってどうするんです?」
「どうもしないよ」
騎士ニードルは、笑顔のまま俺を見た後に焚き火へと顔を向け足元にあった小枝を投げ込む。そんな彼の横顔を見ていた俺は、チラッと話しに盛り上がっているミユキを見た後に視線を戻し、ため息をついた後に告げる。
「はぁ・・騎士様の考えは正解ですよ。ただ一つだけ間違っていますけどね」
「何かが違っていたかい? 今までこういうので、間違えたことはないんだけどな〜」
「それは残念でしたね。正解は・・・・元騎士です」
元騎士だと聞かされたことが予想外だったのか、騎士ニードルは近くに誰もいないことを確認した後に小声で聞き返す。
「本当に元騎士なのかい? 流れで所属部隊を聞こうと思ったのに」
「本当に元騎士ですよ・・所属していた部隊は聞いても面白くないですし」
「そんな若いのに、どうして除隊したんだい?」
「除隊・・・ですね。ニードルさん、予備隊って知ってます?」
「予備隊・・知ってるというか、実際の予備隊所属の騎士は数回だけ見かけた程度だけど、まさかあの予備隊に?」
予備隊の存在を知っているようで、とても驚いている反応だった。
「はい、その予備隊のなかのイービル隊に・・」
「イービル隊・・卒業までにクラス100人の9割以上が命を落として、学園が揉み消したあの噂のイービル隊の生き残り?」
「ですね」
「それが本当なら、君は歴戦の猛者だ・・合同討伐隊指揮官のアリア副団長にも勝てるんじゃないかい?」
「まさか・・副団長様との戦いは避けたいですね・・この話は内密に」
「あぁ、もちろんだ。君に狙われたら現役の僕でも命はないからね・・・・あっそうだ、1つだけ聞いていい?」
「いいですよ」
「噂でしか聞いたことはないんだけど、殿の手当はいくらなの?」
「殿の手当は、一律で銅貨5枚ですよ」
「そ、そうなんだ・・ありがとう」
目の前の焚き火の炎が小さくなり、夜も更けて来たことと騒いでいた奴らが解散したことでミユキが歩いて戻って来ているのを見たニードルは、またいつかと言って立ち去って行った・・・・。
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