サーシャとスミハは不器用な女でした
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野営で稀にあるかもしれないイベントを終え静かになった夜に、通り過ぎる魔物にちょっかいを出せれないよう見張りの役目をしているシマチとユキナの2人が途中で放棄して天幕に戻ってくることなく無事に朝を迎えることができた。
そう思っていた俺は少し遅れて天幕から出てきた2人の顔を見るとその考えは甘かったことを痛感する。
「お・・・・おはよう」
「「 ・・・・ 」」
ルミナとユキナに抱えられ姿を見せるネルルは、声をかけるも酷く疲れているようで反応も無いため見つめていると2人の目元にクッキリと黒く不健康をアピールする線が濃く残っていた。
「主よ、2人の様子が昨日と比べかなり違うのだ」
抱き抱えるネルルを座りやすそうな場所で下ろしたユキナは、役目を終えると俺の元へ真っ直ぐ来て呟いて来た。
「ん? そうか?」
「うむ・・まぁ、我には関係ないが・・それは良しとして、とてもお腹が空いたのだ」
「よし、飯にしよう・・って、珍しいなあの2人」
夜のうちにシマチかユキナが狩に出かけたのか、サーシャが見覚えのない小さな肉を解体する姿があるも彼女が持つ肉塊がどんどん小さくなり食べるところあるのかってぐらいのサイズになるところでスミハに投げ渡す。
受け取ったスミハは小さなブレスで肉を焼いているも、一瞬で真っ黒になり炭化した肉となりサーシャに見せると頭を叩かれ怒られていた。
「・・このままじゃ2人がキレて暴れるな」
今まで2人が料理する姿を見たことは一度もなく、飯担当はいつも俺だった。そんな2人に歩み寄り少し揶揄ってやると、サーシャは手に持つ肉を無言で俺に投げ付け顔を逸らしスミハは炭化した肉だったものを遠くに投げ背を向け動かなくなる。
「ごめんごめん、代わるから」
先に起きていた2人はきっと俺に気を遣ったのだろうと思い、2人のプライドをこれ以上傷付けないよう慰めた後に調理を手伝ってくれと頼むと、思いのほか素直に了承してくれたのだ。
「サーシャ、こっちの小さなナイフを使った方が小さな肉は切りやすいんだ」
「そうなの? そんな頼りないのが役に立つの?」
「そうだよ、場面で役に立つモノって違うだろ?」
「・・たしかにそうね」
「だから、このナイフを渡すからやってみて」
「えぇ、やるわ。見ていなさい」
サーシャに使い慣れた調理用ナイフを手渡し、うまく使いこなせるようになったところで先に見本で数個ほど切った肉を持ち、後ろで背を向けチラチラと視線を向けていたスミハを呼び寄せた。
「なんじゃ?」
「スミハのブレスは小さくても高温だから一瞬で肉は丸焦げになるぞ?」
「妾は一気にこんがり焼き上げるのが得意なのじゃ」
「こんがりは通り越してるけどな? まぁ、でもスミハらしいな」
「ぐぬぬぬ・・」
スミハが悔しがるのを見た後に別のやり方もあることを教え、考え方に柔軟性を持たせ選択肢を広げるよう誘導していく。
「そう言っても、敵と戦う以外の時は周囲にあるモノを利用して焼けば良いだけなんだけどな」
「ん? 妾に何かに頼れと言うんじゃな?」
「ん〜頼れと言うか利用しようなってことだよ」
「・・・・」
「今は見渡すところに落ちている木の枝を使って、肉を焼くだけの弱い火を利用するんだ」
「カイよ、妾は生肉が苦手なのじゃ」
「まぁ、見てなって」
心配そうな表情のスミハを連れて近くに落ちている枝を集め終えてから、小さなブレスを枝に近づけ着火したのを見てから地面に置き、他の枝を上に組み上げ火力を上げていく。
「頼りなさそうな炎なのじゃ」
「そう思うだろ?」
燃え上がる炎が安定したところで、肉に下味をつけアイテムポーチからフライパンを取り出し肉を乗せた後は、久しぶりに焼く肉が焦げ付かないか動揺する心をスミハに悟られないようフライパンを炎に近づけさせ焼いていく。
「・・うむ、なかなか香ばしい香りがしてきたのじゃ」
「だろ? スミハもやってみなよ」
「うむ・・妾に任せるのじゃ」
スミハにフライパンを手渡し下味をした肉を近くに積み上げ焼かせていくと、最初からうまく肉が焼けたことが嬉しかったのか人数分以上の肉を焼いてくれた。
「カイ、もう捌く肉が残ってないわよ??」
スミハが肉を焼いているのを見守っていたため、一人で肉を捌いていたサーシャが放置されていたことに不満を訴えながら喉元に躊躇いなく渡していたナイフを突きつけ睨む。
「・・サ、サーシャさん? 俺も捌くおつもりですか?」
「それも一興ね・・でも、あそこで猫と狼が私に襲い掛かってきそうだから今回はやめておくわ」
「それは、どうも・・」
プイッと顔を逸らし喉元に突きつけていたナイフを俺の手に置いて離れるサーシャの後ろ姿を見送る先に、真剣な眼差しですれ違うサーシャに何か言葉を交わしたシマチとユキナは、止めた足を再び動かし俺の元へと飛び込んで来た。
「ケガないかにゃ?」
「主よ、喉の傷を見せるのだ」
「落ち着いて・・大丈夫だよ2人とも。そろそろ朝飯にしような」
朝から一波乱あった後でも仲良く4人娘は朝食を並んで食べ終え満たされたお腹が落ち着く時間に、俺は天幕を撤収し出発の準備を終わらせ4人娘が動き出すのを待つこと1時間後に出発することになった。
「それじゃ、私が先導するから3人で誰を担ぐか決めてちょうだい」
そう告げたサーシャは背中を向けた後に残された3人は俺から離れた場所で話しを始めると、どうやらスミハが俺を担ぎルミナをシマチそしてネルルをユキナが担ぐことに決まったようだ。
「やっと、決まったようね。カイ、今から出発するわよ? 先に言っておくけど、人族が造った道なんて最初から使う気ないわよ」
「えっ? それって、どう言う意味なのサーシャ?」
ザッと地面を蹴り駆け出すサーシャを他の3人娘は追従するように俺たちを担ぎ上げ駆け出すと、サーシャが言っていたことは本当のようで、遠く離れた場所にある街道を走らず手付かずの丘陵地帯の茂みの中を物凄い速さで駆け抜けて行くのだった・・・・。
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