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幼馴染にさよならを告げ、新たな門出にでることにしました

アクセスありがとうございます。


 血だらけのシャツの肩部分をシマチの鋭い爪でスパッと躊躇いなく切ると、切断ギリギリのところでぶら下がっている右腕を掴みながら傷口を舐めると、流れでていた赤い血は止まり激痛が消えていくとともに傷は癒えていく。


「・・助かった。ありがとうシマチ、スミハ・・それと、あの勇者は?」


「うむ、妾のブレスに耐えながらも生きているようじゃ・・まぁ、今は遠い山の向こうで転がっているじゃろうて」


「そうか・・アレをくらっても生きているのかよ。とりあえず、ここは逃げたほうがいいな」


「ならば主よ、我の背中に乗るがいい」


「ユキナ? どうした急に・・い、いや・・ちょい待てって・・」


 シマチとスミハの後ろにいたユキナは、嬉しそうな表情でヒョイっと俺を肩に担ぐと何も言わずサーシャの所へと移動する。


「サーシャよ、主を連れ帰って来たのだ」


「見たらわかるわよ、ユキナ・・カイ、行くのでしょ?」


「あぁ、その前にって・・あぁ〜」


 俺の言葉を最後まで聞かず歩き出すサーシャの後ろ姿は、ユキナがクルッと周り歩き出したため彼女に担がれている俺は、後ろでルミナとネルルを背負うシマチとスミハの顔と流れていく景色を眺めるだけしかできない。


 しばらく歩いていたユキナ達は少しづつペースを上げていき、今は走っている状況なのに上下に揺れることなく進むユキナの身体能力に驚き見渡していると、進む先でこちらを見るアリアの姿を捉えた。


「アリア・・」


「カイ?」


 アリアが俺の名前を口にしたかは聞こえなかったけど、そんな風に口が動いたように見えた俺はアイテムポーチから未だ捨てれず持っていた彼女とお揃いで幼き頃に買ったペンダントと片方だけになった認識票を取り出し、離れた距離で通り過ぎる間際で彼女に向かって投げる。


「さよならだ・・」


 アリアには聞こえない程度の声で告げた俺は、放物線を描き彼女に向かい飛んでいく2つの思い出の品が遠ざかる眺めながら深い茂みで見えなくなったアリアがそれに気付き拾ってくれたまでかは見えなかった・・。


 山の中でユキナにドサ袋のように雑に担がれ運ばれる俺は、ふと馬車より揺れず快適だなと思ったことをユキナには黙っておこうと決め体を委ねていると、なぜかなぜか背中を軽くポンポンッと子供をあやすかのように叩かれてしまった。


 どれくらい山の中を走る抜けたのだろうか、いくつかの尾根を越えるのを数えるのを途中でやめ眼を閉じているとゆっくりと速度は遅くなり止まったところで閉じていた目を開けた先には、見下ろす丘陵地の遠い向こうに街の小さな姿があった。


「・・ユキナ、そろそろ降ろしてくれる?」


「ハッ・・ハッ・・」


 ユキナは息遣いだけで反応はなく、このまま降ろしてくれる気はないらしい。


「おーい、ユキナ?」


 息を整えているのだろうと少し時間を置いてから再度声をかけるも反応は無かったため、彼女の背中を優しく撫でるとビクンと身体を仰け反らしながら両膝を地面につけ解放し、銀色の瞳を潤ませながら見上げ呟く。


「主よ、我は背中が弱いのだ」


「知ってる」


「ムム・・」


「そんな顔すんなって・・」


 ユキナの頭を撫でて離れる俺はここまで先導してくれたサーシャを見ると、彼女は勇者クンの仲間に捕らえられていたネルルという少女がルミナに抱きしめられているのを黙って見守っている姿を見て小さく声をかける。


「サーシャ」


「・・カイ、探し人はあの子であってるのかしら?」


「そうみたいだな」


「そう・・あの子の目的は果たせたのね。それで、これから2人をどうするの?」


 ルミナとネルルの2人を見ながら俺はサーシャの質問に答える。


「そうだな・・まだ何も決めてない」


「あの子は1人で歩けないわ・・この先私達の足手纏いになるだけよ?」


「あぁ、わかってるさ。少し待っていてくれ」


「・・・・」


 黙り込むサーシャと会話を終わらせ、ネルルに抱き付いているルミナの肩にそっと触れ声をかけた。


「ルミナ、少し良いか?」


「・・グスッ・・うん、大丈夫。いいよ、カイ兄ちゃん」


 ネルルから離れ立ち上がるルミナは、涙を拭き俺を見上げると俺の言葉を待っているようだ。


「少し、彼女と話しをさせてくれる?」


「うん」


 木に背中を預け、倒れないよう両手で地面に手をつけ俯いているネルルに俺は、しゃがみ視線の高さを合わせてから声をかける。


「・・えっと、初めましてだね? ネルル。 騎士団じゃ階級はキミの方が上だけど、俺は現役騎士じゃないからこのまま喋らせてもらうから」


「はい。あなたのことは、ルミナ団長から聞いています」


「そっか・・なら手早く話すけど、ネルルを騎士団に引き渡そうと思う」


「はい・・わたし、もうアレですし・・・・」


「その、ここから近い街で駐屯する部隊はいるかな?」


「まだいると思います。王都がある・・いえ、南の方の街に中継点と騎士団長が指定したジオゴゼールという商業都市に」


「ジオゴゼールね・・ルミナ、ここからどれくらいかかる?」


「・・馬車なら2日か3日ぐらいで着く距離だけど、今は歩いてだとなると・・・・」


 馬車でそれぐらいの日数がかかる距離を歩くとなると、きっと10日近く必要だと考え悩んでいると肩をトントンッと叩かれ振り向くとサーシャがいて会話に入ってきた。


「カイ、それは人族だけの基準よ? 私たちなら1日もかからないわ」


「ん? サーシャ、それはどういうこと?」


「私たちなら、走って行けば暗くなる前に辿り着く距離よ」


「マジか・・なら、このまま行けば・・・・」


「ダメよ。もう今日は疲れたし、夜が近いから出発は明日の朝よ? 異論は認めないわ」


「はい・・ごめんなさい」


 サーシャの休みたいオーラに負けた俺は、すぐにでも行きたい気持ちを我慢し彼女が気にいる野営地を探すため再び移動を開始したのだった・・・・。


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