思いつきで捕虜を捕まえ逃げる途中に、潜んでいた彼女と再会しました
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今は緊張状態であるだろうアリアと完全に見下している勇者クンの間に飛び込むため、全力で駆け出す俺に2人はまだ気が付いてないことに運が良く、このままアイテムポーチから愛剣を取り出しこれで最初で最後になるだろうアリアを直接的に勇者クンから守り撤退させる行動に出る。
狙いを勇者クンの身体ではなく彼が振り上げている剣の刀身を叩き込むため、普段より半歩だけ深く踏み込み下から上へと全力で振り抜くと、手応えがある感触と同時に金属音が鳴り響く・・その直前に、勇者クンは俺を察知したようだ。
「ぐぁ!」
勇者クンから溢れる声を聞きながら間合いをとるためアリアの方へ下がるも、思いのほか結果は予想より悪く大きく身体を仰反る彼だったが、その手は剣を手放すことなく後方へ高く弾かれるも手放されることはなかった。
「ちっ・・さすが勇者クンだ」
背後からは驚きの声が聞こえるも今は彼女にかまっている程の余裕がない俺は、次の一手を出そうと踏み込むも勇者クンの驚く顔を見て満足し踏みとどまってしまう。
「ぬぁっ・・お、お前は!」
「えっ・・ウソウソ・・・・そんなはず・・ない」
勇者クンの反応につられたのか、アリアも背後で目の前に俺がいる状況が理解できないようで否定的な言葉を繰り返し呟いている。そんな両者の反応に対して、俺も応えることに決めた。
「・・・・アリア副団長様、殿の報酬は特別に規則通り銅貨5枚な? それと、久しぶりだね勇者クン。ミユキは元気にしてるかい?」
「テメェ、ここで殺す!」
何を言っているかわからなくなるアリアの震える声を背中を向けたまま聞きながら、殺意を全力で目の前の俺に向ける勇者くんは刀身に亀裂が入り使えなくなった剣を投げ捨てると、新たに手元に出現させた剣は過去の見たこともない白く輝きを放つかなりヤバそうな両手剣だった。
「なんだよ、その剣・・・・でも、まだ死にたくないな」
「死ね! この聖剣の1人目の獲物にしてやる!」
「うぉっ! 聖剣で人を殺すのか!? 使い道が違うだろ??」
「黙れ! ミユキの仇だ!」
勇者クンがオーガのような形相で連続攻撃する聖剣の刀身から放たれる風魔法のような圧は、直撃を免れて掠った程度でも服が熱波で焼け焦げボロボロになっていく。
「あっつ! もしかして、ミユキ死んだの?」
「死んでない! 死ね!」
「どっちだよ?」
防戦一方となっていく俺は、アリアを中心にグルグルと逃げ回り斬撃から逃げていく途中に何人かの騎士が巻き込まれ死んでしまったけど、それを気にする余裕はなく少しづつ体力だけが消耗して足が重くなっていく。
最初の一撃だけ優勢だった俺がずっと追い込まれていく中で、手助けをしようとしているのかタイミングが取れずオロオロしているアリアを横目にしていると、あのヤバい攻撃魔法を放つ黒髪少女が俺を狙っていた。
「やべっ」
本能的にあの黒髪少女が放つ魔法で死ぬと思い彼女の手元がパチッと魔力の火花がスパークした瞬間になぜか魔法をキャンセルし身体を仰け反らすと、首元に1本の矢がスレスレで通過する。
「サーシャ?」
逃げながら矢が飛んで来た方向をチラッと見ると、サーシャが俺を守るために黒髪魔法少女を牽制してくれたようだ。
サーシャがくれたチャンスを見過ごすことをしない俺は、追いかける勇者クンから距離をとるため途中にいるアリアの背後に立ち素早く告げる。
「部隊を撤退させろ。殿は、俺が引き受ける」
「・・待って。本当に・・・・」
何かを言いかけていたアリアの言葉を最後まで聞かず、追いかけてくる勇者クンの脅威をなんとかしなければと考え彼と同じ手法で卑怯と思いつつ目の前で体勢を崩していた黒髪魔法少女に狙いをつけ駆け出す。
「待て!」
背後から勇者クンが制止する声を聞きながらも、目の前の黒髪魔法少女が襲い掛かる俺の姿に慌てて魔法を放とうとするも間に合わず、彼女の鳩尾に足蹴りをくらわせ地面に倒れたところを担ぎ茂みへと走り抜け叫ぶ。
「捕虜ゲットだ!」
走る速度は落ちるも仲間の彼女を捕らえた俺を無闇に攻撃することはないだろうと思い立ち止まり振り返ると、勇者クンは思っていた通り距離を置いて立ち止まり俺を見ていた。
「彼女を返せ!」
「嫌だね!」
「またミユキのように連れ去るのか?」
「・・それもアリかも」
仲間を人質に取られた勇者クンは、ただ立ち止まっているだけでいると彼の後ろから他の黒髪少年と少女が茂みから姿を現す。
「・・敵は3人か」
俺に担がれている魔法少女は浅く呼吸を繰り返し気絶しているようだ。そんな中でこれからあの3人とどう戦い抜くか考えるも策は見つからずシマチ達に助けを求めようかと思っていると背後の茂みがガサッと音がして慌てて振り返る。
(まだ他の仲間がいたのか!?)
「カイ?」
聴き覚えのある声で姿を見せたのは、黒髪黒目少女のミユキだった。
「ミユキ? どうしてここに?」
「うん。わたしは、治癒だけだからここで隠れてたの。そしたら、カイの姿が見えたから出てきちゃった」
ミユキとの思い掛けない状況での再会に驚きつつも、もしかしたら俺の話しを聞いてくれるかもしれないという望みをかけて彼女の手を取り木の影に隠れたのだった・・・・。
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