王国の地に帝国の勇者クン現る。そして、そろそろ出番です・・・・おれの?
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「サーシャ、あの子達って?」
「あの子よ・・黒髪の・・」
「黒髪・・帝国の勇者クンか?」
「そうよ・・とても面倒だわ」
サーシャが黒髪と口にした時に見せた嫌そうな表情を見ながら、ふとミユキと別れ逃げる時に勇者クンがサーシャの姿を見て放った言葉を思い出す。
「・・エロフ」
「カイ? 寒気がするその言葉を思い出さないでくれるかしら?」
「ごっゴメン。つい・・」
あの時も今も露出の多い服を着るサーシャを改めて足元から上へと見るも、特に変な感情はなかったけどエロフという言葉を思い出しながら見ていた俺の視線は、無意識に彼女の深い谷間に捕まっていたようだ。
「ちょっと・・そんな見つめられると恥ずかしいから、その・・終わってからにしてくれない?」
「・・・・」
コクリと無言で頷き深い谷間から脱出した俺はサーシャの顔が少し赤いなと思うも気のせいだと思い、そのままアリア達の方へ視線を向けると、新たに離れた場所から冒険者の格好をした黒髪の少年少女達が姿を見せ立ち止まる。
「本当に勇者クンだ」
「カイ、このままここで様子を見るわ。ルミナ、あなたはカイの後ろで大人しくしていなさい」
「・・はい」
自分の失態を反省しているのか、ルミナは素直にサーシャに従い俯きながら俺の背後にへと移動し、シャツの端を掴み握るとそのままピタッとくっ付き離れなくなる。
この場に突然姿を見せた帝国が召喚した勇者クンパーティーにアリアは先の戦闘で敗走した経験からなのか、俺達に見せた好戦的な態度とは違い様子を伺うような態度となり、捕らえられているルミナの部下ネルルの解放を要求しているようだ。
それに対して王国騎士団のアリア達を格下に見ているだろう勇者クンは、アリアの要求に応える見返りに王都まで無血開城を保証することを要求していた。
「・・それについては、王国騎士団副団長の私の一存で決めることはできない」
「ならさ、キミじゃ駄目なら誰だったら良いの?」
「それは・・王国騎士団団長の許可を直接取らなければならない」
「はぁ・・面倒な組織だね騎士団もさ・・・・」
勇者クンはどうやら苛立っているようで、さっきから腕組みをして指トントンをしている。そんな不機嫌オーラ全開の勇者クンへと最初に現れた帝国兵士がネルルをモノのように強引に引きずりながら歩み寄り兜を脱ぐと、そこには勇者クンと同じ容姿の黒髪少年に驚いた。
「召喚者が帝国兵士の姿で紛れているのかよ・・」
勇者クンとその黒髪少年は話しているようで、時より勇者クンが見せるニヤつくもすぐに表情を戻す行為を見逃さなかった俺は、やばい奴だと認識しているとアリアに向かって予想外の言葉を発した。
「もう面倒だからさ、副団長のキミがボクの捕虜になってよ。そうすれば、その騎士団長がいる王都まで誰も手出しできないよね? はい、決定! その武器を捨ててこっちにおいでよ!」
「なっ・・そんな条件など受け入れられない!」
アリアが怒りの感情で言葉を返すと、勇者クンは頭を掻きながら歩き出し手元にスッと剣を出現させ真っ直ぐアリアへと向かい告げる。
「さっきから強気な態度だよね? この前の戦闘で負けたこと忘れたの? 実はさ、あの戦いでキミらが生き延びてこれたのは、ボクのおかげなんだよ? 殲滅しようとする仲間にお願いして、生かせてあげたんだから」
勇者クンはクソみたいな言葉を発しながら手に持つ剣を上に構えると、それなりの威圧感があり騎士達は一瞬たじろいでいるように見せるも、アリアを守るかのように剣や盾を構え勇者クンの前に立ちはだかる。
「へぇ・・ボクの邪魔をするなら、命の保障はできないよっと」
空気を斬り裂くような音を出し一振りすると、先頭で盾を持つ騎士2人は盾ごと体を真っ二つにされ血飛沫を上げながら地面に倒れる。
そんな防御も無駄な抵抗なんだという現実を目の前で見せつけられた残りの騎士達は、勇者クンが一歩近づく度に後退りアリアへと続く進路を開けて、ただ何も出来ず見送るだけだ。
「なんと情けない奴らなのじゃ・・1人の女も命を賭けて守ろうとする信念が無いとは」
スミハは呟くとユキナ達も同意し頷いていると、背後で俺のシャツを握る手が引っ張ったことで振り向くとルミナが紅い瞳で見上げている。
「ルミナ、どうした?」
「あのね、カイ兄ちゃんは、今でもアリアさんのこと嫌い?」
「ん? あぁ、あの頃はそんな感情はあったかな・・今は、別に無いよ・・ただの幼馴染? いや、知り合いかな?」
「・・・・カイ兄ちゃん」
俺の答えにルミナは紅い瞳を潤ませ見上げたままだけど、彼女が口に出せない想いがなんとなく伝わってきたような気がする。
「ルミナがそう想っているなら、仕方ないな・・・・久しぶりの殿をしてやるか」
そう直前まで考えてもいなかったことに行動する覚悟を決めた俺に、素早くサーシャが反応する。
「カイ、待ちなさい。あの女を助ける気なの?」
サーシャの問いかけに俺は頷く。
「主よ、本気なのか?」
「まぁな」
ユキナは不思議そうな表情で問いかけ、シマチとスミハはなぜか俺を手伝うと言って寄り添う。
「シマチも行くにゃ」
「妾も共に行くのじゃ」
「ありがとう。シマチとスミハは、俺が逃げ切れなくなったら手伝ってくれ」
笑顔で頷くシマチとスミハの頭を撫でてから俺は、納得していないサーシャの手を引き耳元で伝える。
「サーシャ、この後の逃げ道は任せた・・」
「結局、最後はわたしに任せるのね? 貴方って人は・・」
「もちろん。頼りにしてる」
「もう・・・・」
いやいやながらも動いてくれるエルフ娘のサーシャは、長い金髪を風に揺らしながら微笑しそっと俺の背中に触れ見送ってくれる。
「さてと、行きますかな・・」
サーシャの碧眼を見ていた俺は視線を勇者クンに向け、アリアまであと数歩で彼の間合いに入るだろうというタイミングで一気に駆け出したのだった・・・・。
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サクッとした戦闘回で話しが進むはずです・・
次回は、再会場面も?あるかもです。
登場人物が入り乱れてスイマセン・・・・




