辿り着いた街で長く冒険者活動してたら、幼馴染の姿を見つけ思わず隠れました
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見つけた街に辿り着き門兵の点検を受けるため長い列に並び待ちやっと順番が来た俺を門兵がジッと俺を見て半歩下がる。
「にぃちゃん、ボロボロだな?」
「あぁ、長い戦いだったから」
「そ、そうか・・」
ところどころ破れた服をジロジロ見られながら、持っている身分証を見せると、門兵の表情が固まり俺を見上げた。
「・・き、騎士様?」
「潜入任務だ、口外は謹んで欲しい」
417高地で死んだ指揮官から拝借した身分証を信じ、事情を勝手に察してくれた門兵はゆっくり頷いて後ろにいる黒髪少女ミユキに視線を向け俺の言葉を待つ。
「彼女は、辺境伯爵の御令嬢だ、勅命任務のため同行してもらい姿を変えている」
「わかりました・・ようこそ、リンドルネの街へ」
「協力感謝する、あと、私に関わるとあなたの家族も国の監視対象になるから、今日出会ったことは全て忘れるように」
「た、直ちに・・どうぞ」
リンドルネの街並みは他の街と大差無く似たような景観だ。門近くは平家が立ち並び、街の中心に向かって行くほど立派な建物となり見上げる程の建物が並んでいる・・その中心に一番高い屋敷が領主なのだろう。
そう思いながら街を散策していると、通り沿いに立ち並ぶ商店の前に陳列されている売り物を珍しそうにミユキは右へ左へと歩き離れながら見回っている。
「おい、逃げるなよ?」
「に、逃げないよ・・ただ見ていただけ」
「・・先に行くところがあるから」
「うん、ごめんなさい」
一瞬だけ視線を俺から逸らすミユキの反応には、隙があれば逃げる意思ががまだあるような感じだと思いこの先の行動でもう少し様子を伺うことに決める。
それからいくつかの街の通りにある商店巡りをした中で、ミユキがポーチにしまっている服を全て取り出させ女店主に買い取りを頼んだ。
「「 ・・・・ 」」
「なかなかのご趣味を、お持ちですね」
「ま、まぁな・・一点物で作らせたから」
誰も着ないだろう派手な服をカウンターへ無造作に積み上げ、それを1着ずつ手に取り査定する女店主の顔色を伺っていると、ふと手が止まり俺を見る。
「・・・・」
「どうした?」
「な、なんでもないわ」
止めていた手を動かし査定を再開する女店主の表情は、少し真剣な眼差しへと変わり残りの服の査定が終わったようだ。
「お客さん、一括か個別のどっちで買い取ろうか?」
「一括で頼む」
「わかったわ・・ねぇ、一つ聞いても?」
「いいけど」
「この服は、全て連れのお嬢さんの?」
女店主の問いに肯定しようと思ったが、ここは素直に否定する。
「いや、違うな・・街外れの古い山小屋を調べていたら偶然見つけて回収した服なんだ」
「そう・・詳しくは聞かないけど最後に・・誰かがいた形跡は?」
「・・・・なかったな。周囲に争いがあっただろう痕跡は見たが、枯骨さえも無かった」
「ありがとう。知り合いの子が着ていた服とよく似たのがあったから・・査定額は金貨30枚でどう?」
「わかった」
金貨を受け取り店から出た後は、今日の寝床を確保するため宿によってから休むことなく誰でも稼げる仕事を紹介してくれる独立組織の冒険者ギルドへと足を運んだ。
実家を出てからは騎士になるため学園の寮で生活していたため、冒険者とは合同討伐で楽しそうに話をしているパーティーを遠目で見る程度だったため、噂で聞く荒くれ者の冒険者達で溢れかえっているギルドに部外者が入ると秒で絡まれると聞いて警戒していたけど、いい意味で裏切られた気がした。
「おい、にぃちゃん! 見ない顔だな? んふぅ〜」
ドアを開け2歩しか進んでないのに酒臭い毛むくじゃらの体格の良いおっさんが、押し返したいほど近付き絡んできた。
「くっせ・・・・この街には、初めて来たから当たり前だろ?」
「ゲッフゥ・・なら、受付はあそこだ」
おっさんが指差す方に受付のような窓口に女職員が座り、列を作る冒険者を笑顔で相手をしていた。
「助かる・・ありがとう」
「気にすんな・・オススメは、一番右の窓口に座るスティーカ嬢様だ」
「わかった・・」
俺に勧めてくる理由は知らないが、とりあえず右端の受付へと向かった。
「なんかよう?」
ギルド職員の制服は、ボディラインがわかりやすいタイトなデザインを着こなす金髪碧眼の受付嬢は、少しキツめな瞳で初対面の俺を見ながら攻撃的な態度に驚き凝視してしまった。
「だから、何しに来たの?」
「とりあえず、キミは森人?」
「だから何? この耳を見れば聞かなくてもわかるでしょ? あんたバカ!?」
「知らん・・初めて見たから」
「そ、そう・・それでもクソ冒険者なの? っで、なんのようなの?」
「登録に来た・・2人分」
「・・・・」
「どうした? サクッと済ませてくれ」
新規登録に来た俺とミユキに目を見開き固まる受付嬢が座るカウンターを叩き、事務手続きをするよう促すと小さな悲鳴を上げながら動き始め、手数料の銀貨2枚を支払い冒険者ギルドカードを手にすることが無事にできた。
「ふぅ・・新規登録はゴミのGランクだから、はりきって初クエストで死なないでよ? 私の評価が落ちるところまで落ちて給料が減らされるから」
「任せておけ・・とりあえず、簡単なクエストを教えてくれ」
「・・・・それなら、日帰りの薬草採取クエストよ。基本報酬は、銅貨5枚で追加報酬あり・・どう?」
「よし、それだ」
「良いの?」
「あぁ、初陣にしては良いクエストだ」
あの命懸けの殿手当と同額なのに、指定された薬草を必要量集めて来るだけで報酬が得られるなんて、冒険者は楽勝な商売だと思いつつクエストを受託しギルドを出発した。
冒険者登録した日から初クエストを達成し、この街を拠点に冒険者活動を1年近く続けた今では冒険者ランクがGからCにまでランクアップし、安定した人並みの生活ができるようになっていたけど今も宿屋生活は変わらない。
「貴方たちは、パーティー結成しないの?」
ある日、担当受付嬢となったエルフ族のスティーカに聞かれた俺は、そういえば他の冒険者達とは違い長く共にクエストをこなしているのにパーティーを組むことなくソロ冒険者のままでいた。
「スティーカ、そのパーティー登録は絶対なのか?」
「カイ・・絶対じゃないけど、組んでた方が有利なクエストもあるわよ? まぁ、一番の利点はクエスト受注手続きをリーダー1人で済ませれるくらいだけど」
「それぐらいなら、今の俺達に必要は無いな」
「あら残念・・まぁ、ギルド側から強制はしないけど。でも、そろそろ公開される合同クエストは報酬が良いから大人気なんだけど、パーティーだけが受けれるからソロのカイには関係ないわね」
スティーカは手に持つ未公開を示す黄色の依頼票をヒラヒラさせて見せるも、ソロ冒険者の俺には関係ないと言いながら背後にある棚に戻そうとしている。
「スティーカ、ちょっと待った・・」
「なに? パーティー組むことにした?」
「いや、せめて内容と報酬を教えてくれ」
「カイ、これはまだ未公開依頼なの・・聞いたら、もう逃げれないわよ?」
「いいから、教えろ」
「いやん、なんだか冒険者らしくなってきたセリフね」
「茶化すな・・」
棚にしまおうとしていた依頼票をカウンターに置き、俺とミユキに見やすいようスティーカは小声で説明してくれる。
「・・騎士団からの依頼よ。内容は、国境沿いの山にいる魔物討伐。報酬は、出発日から終わる日まで1日1人銀貨2枚なの」
「これって、儲かるのか?」
「もちろん。野営にかかる費用を差し引いても、討伐した魔物を換金すれば十分な儲けになるわよ?」
王国騎士団が依頼する合同クエストに参加し、顔見知りの騎士に出会うリスクを考えるも予備隊にいた俺は普通の部隊に知っている騎士がいないことと、もう戦死扱いで処理されていることだろうと思い受けることに決める。
「俺は受けるけど、ミユキはどうする?」
「・・わたしも」
「はい、決まり・・その前に、パーティー登録を忘れずにしてよね」
スティーカにギルドカードを手渡し言われるがままパーティー登録をするも、パーティー名は決めずそのまま合同クエストを受ける手続きを済ませ、出発日の2日後までに必要な野営グッズを買い揃えた後にミユキの容姿を魔法グッズで金髪碧眼へと変えることに成功し出発の朝を迎え冒険者ギルドに来た。
「カイ、いよいよね。そういえば、黒髪のあの子はどうしたの?」
「いるぞ? スティーカ、世話になった・・」
「言っている意味がわかんないけど?」
「まぁな・・そろそろだな」
集合場所の冒険者ギルド内で担当受付嬢スティーカと立ち話しをしていると、2階にあるギルド長部屋のドアが開き2人の男騎士が姿を見せ階段を降りて来た。
「冒険者の皆さん、我が王国騎士団との合同討伐をよろしくお願いします! 私は、王国騎士団の奇兵隊を率いるノーリンと申します。隣りにいるのは、部下のファストスです。今回の合同討伐については、今から私の上官が説明しますのでお待ちください」
男騎士2人は降りてきた階段を再び上がり、出てきたギルド長部屋のドアをノックし全開にするとドアを持ったまま壁際で待機の姿勢となると、部屋から出てきた2人の上官騎士の姿を見た俺は見覚えのある人物だったため反射的に近くの柱の影に隠れた。
(・・なんで、副団長のアリアがここに?)
周囲の冒険者達はアリアの容姿に見惚れているのだろうか、静まり返り彼女がギルドの階段をリズム良く刻む足音だけが聞こえるほど静まり返っていたのだった・・・・。
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そういえば、メインヒロインはまだ・・です。




