彼女らの愛は早朝のみですが深く溺れそうです・・でも捜索に良い結果はついて来ないようです
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心地よい眠りから目を覚ますと、そこには天幕ではなく銀色の瞳と緑色の瞳が俺を見ていた。
「「 ・・・・・・ 」」
「ん?」
「朝の確認にゃ」
「なんだそれ?」
「主よ、気にする必要はないのだ。挨拶のようなものだ」
「はい?」
ペロリと口を舐める2人は立ち上がり満足そうな表情で天幕から出ていく姿を、上半身を起こしながら見送り無意識に顔に触れた右手が湿っていることに気づく。
「・・顔が濡れて・・る?」
朝露でも落ちたのかと見上げるも、天幕の内側は少しも濡れていないことを確認しながらタオルで顔を拭く俺は、ふと寝起きにシマチとユキナの顔が浮かび一つの可能性が思い当たる。
「まさか、2人に舐められてた?」
顔を拭き終えた俺は天幕から出て明るくなった空を見上げグッと背を伸ばし寝ている身体を目覚めさすと、視界の端にルミナの後ろ姿を見つける。
どうやら夜のうちに消えてしまった薪に火魔法で着火させているところだ。
「おはよう、ルミナ」
「おはよ、カイ兄ちゃん。朝から凄かったね」
「凄かったって?」
「その・・シマチさんとユキナさんが・・」
「あーそれ以上は、思い出さなくていいよ。なんかゴメン」
「・・・・うん」
俺の記憶がない光景を思い出したのか、ルミナは顔を逸らし記憶を燃やし消すかのように必死に薪に火を付けるも、加減を間違え背丈以上の炎が出現し薪が一瞬で消し炭となったため代わりに別の薪に火を付け安定した頃に、姿が見えなかった4人娘が遠くの方から歩き戻って来る姿があった。
「おかえり、どこ行ってた?」
「ご飯を取りに行ってたにゃ」
シマチとユキナは既に解体し終えた肉塊を手に持ち嬉しそうに俺に見せた後に、なぜか隣りで言葉を失っているルミナに無言のまま受け取ってと言わんばかりの表情で差し出す。
「えっ? えぇ? わたし?」
差し出された肉塊を戸惑いながらも受け取ったルミナは、自分に渡されても何もできないと小さく呟きながら返そうとするも、シマチとユキナはじゃれ合いながら離れ遊びに行ってしまった。
両手に肉塊を持ち呆然とするルミナをこのまま放置する訳にもいかないため、俺はその肉塊を取り食べやすいサイズに切り落とした後にフライパンを焚き火の上に置き熱してから朝飯の一品に加えるため焼くことにした。
なんの生き物の肉かわからず焼いていると、香ばしい香りに誘われたのだろうシマチとユキナがいつの間にか隣りでしゃがんでジッと焼ける肉を見つめている。
「どした?」
「カイ、できたかにゃ?」
「主よ、食べて良いのか?」
熱いのが苦手だろう2人は空腹のせいかこのまま食べようと少しづつ近づき、長いシッポをブンブン振り回し足に当たっている。
「待ってな・・あと少しだ」
あと少しの時間が我慢できなくなり焼き上がる肉に飛びかかろうとする2人をなんとか制しながら朝食は完成し、野菜主義のサーシャの分を先に手渡してから残りのシマチ達の分を手渡す。
過去の野営で空腹のシマチがサーシャの分を先に食べてしまい、それに激怒したサーシャは周辺の地形が変貌するほど暴れたため後処理が面倒だった事件を教訓に先に彼女に食事を提供するよう心掛けている。
誰よりも先に食事をもらえるサーシャはきっと勘違いをしているのだろうと思う。なぜなら、この時のサーシャはエルフ族が見せるだろう気品ある笑顔を俺に見せるからだ・・この一瞬だけだけど。
久しぶりに朝陽の光を浴びながら青空の下で朝食を食べた後に、野営地の撤収を終え出発しようとするも満腹で寝ているシマチの長いシッポを軽くクイッと引っ張り起こしネコパンチを避けて出発する。
前を歩くルミナは歩き進む方向に絞って探索魔法を使い探し人の気配を探っているようだけど、何も手掛かりが無い日が数日続いた。
捜索の日にちが過ぎて行く度に彼女から吐き出される溜め息の回数は増え、会話の数も減って行く・・そんな後ろ姿を見ていた俺は、それなりに北の方向へ移動したことで帝国との国境線に近づいていることをルミナに教える。
「ルミナ、このまま行くと近いうちに帝国領に近づくぞ?」
「もう? そっか・・気付かなかったよ」
俺の言葉に足を止めるルミナは、進む先にある山を見上げている。
彼女が動かないため俺たちも立ち止まっていると、心地よい風が俺達の間を山の方へと吹き抜けていくのを感じていると、ルミナは次の行動に悩んでいるのかしばらく動く気配はないようだ。
そんな落胆するルミナを見ながら他の手段はないのかと、遠くの山を見ていた俺は地面に座る4人娘を見て忘れていた一つのことを思い出すことができた。
「そういえば、街の物流を邪魔する奴らを討伐に行ったシマチ達はどこまで行ってたんだ?」
「んにゃ? 山の向こうまで、みんなで行ったにゃ」
「・・そうか」
何も考えずシマチに聞いた俺は選択を間違っていたと反省しつつ、シマチを呆れ顔のサーシャを見ると彼女と視線が重なり説明を補足してくれる。
「あの街の南の先にある街を目指して街道沿いに移動する途中に、帝国兵の気配を捉えてそのまま排除したわ」
「そうか、隊商を襲撃していたのは帝国兵だったか」
「結果的にそうなるわね。それに山を2つ超えた先にたくさんの帝国兵がいる拠点もあったわね」
「拠点・・集結地か・・・・それも排除したのか?」
「いいえ、してないわ。数が多過ぎたから放置よ・・本来の目的もあったわけだし」
「流石にサーシャ達にも部隊を殲滅するのは無理か・・」
「そんなの余裕よ! 何を言っているの? 私達には本来の目的があったと言ったでしょ?」
「ゴメン・・」
「ふんっ・・わたしにもしないさい・・なでなでを」
少しご立腹になったサーシャをなだめた俺は、次の行動を決められないルミナに提案する。
「ルミナ、逆方向だけど思い切って南へ行かないか?」
「・・うん。ここまで来て手掛かりはなかったし」
街の北側の戦闘地域をルミナは捜索するも成果は無いため、俺の提案を承諾してくれてシマチ達が見つけたという帝国兵の集結地がある場所へと向かうことに決めた・・・・。
この行動でまさか知り合いと数年ぶりに再会するとは、この時の俺は知る由もなかったのだった。
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話を進めるため、穏やかな旅の移動は少しスキップさせていきます。
引き続きお付き合いをお願いします。




