次の捜索へ行くも、久しぶりの野営は寝苦しく翌朝に深すぎる愛情が待っているらしい
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「ふっ・・生きていたんだね冒険者クン・・それに美女を連れているなんて」
「・・・・ギルマス? 生きていたのか?」
「1人孤独で戦ったボクと違って、どうしてキミは美女といるのかい?」
「すぐに街から離れたからな。そっちは自慢の顔以外は、ボロボロだな?」
まともに会話をするのが面倒だと思った俺は、ギルマスの質問はスルーして聞きたいことだけを聞き返すと意外にも意外に美女という彼女らのオーラを察したのかしつこく聞いてくることなく俺の質問に答える。
「・・問題ないさ。でも、最強冒険者を自負していたけど、敵わない強者が帝国にいたのさ」
「もしかして、黒髪黒目の容姿だったか?」
ギルマスは僅かに目を見開く反応をするも、爽やかイケメンをアピールするかのようにフッと笑い汚れた金髪をかきあげながら口を開く。
「よく知っているね? 5人・・いや、5人パーティーの少年少女だったよ。追い込んでも優秀な治癒士少女がいるし、あり得ない威力の攻撃魔法を放つ少女もいたんだ」
「あのっ! その少年少女はどこに?」
俺とギルマスの会話にルミナが割り込んだことで、ギルマスは視線をルミナに向ける。
「紅髪の・・・・キミは騎士団の魔法士団長だったよね?」
「はい、ルミナと言います」
「魔法士団長のルミナ・・・キミがあの紅い殲滅女だったんだ」
「その呼び名はちょっと・・誤解です」
ギルマスが口にしたルミナの呼称を初めて聞いた俺は、あえてルミナを見ないようにしていたけど視線を感じ顔を向けると、ばっちりルミナと視線が重なってしまい先に逸らされる。
「・・なんか失言だったかな? すまないけど彼らが何処へ向かったのかはわからないんだ。見事に吹き飛ばされさっきまで瓦礫の下にいたからね」
「そうですか・・」
勇者クン達と戦い負けたギルマスの情報で王国騎士達の情報は少なく、ルミナの部下達の居場所がわかるような内容は無かった。でも、あの勇者クン達がこの街まで攻めて来て何処かへ向かったことを知り得たことは俺にとって有益だ。
「ルミナ、次に行くか?」
「うん、そうするねカイ兄ちゃん」
「ん? 2人は兄妹なのか?」
「はい!!」
「 !?!? 」
否定する前にルミナが元気よく肯定してしまったため、今更否定するのもと思いこのままにした俺は他の冒険者を探すギルマスと別れ被害が酷い街の北側へと移動し無人の門から街の外へと出た・・・・。
「街の復興には時間がかかりそうだな」
街から離れた場所で背後に遠く見える街を見ながら呟くとルミナが反応する。
「きっと、数日もすれば街に工兵部隊が送り込まれて復興が始まるはずだよ」
「こんな辺境に工兵部隊が派遣されるのか?」
「アリア副団長の部隊だけは、最優先で王都に撤退していったのを遠くから見てたから」
「アリアが率いる精鋭部隊が先に撤退?」
「うん」
責任感の強いアリアが誰よりも早いタイミングで撤退したことに、彼女の性格では考えられないと思うもきっと今の彼女はあの時の彼女とは違うのだろうと俺は自分を納得させる。
「アリアなら最期まで残って抗う性格だと思っていたんだけどな〜なんか変わったなアイツも・・・・」
そう呟く俺を見るルミナは急に紅い目を涙で潤ませ悔しそうな表情へと変わり俯き黙ってしまう。
「・・・・」
「ルミナ? どうした急に?」
「だって、カイ兄ちゃんのことをあの人は・・・・カイ兄ちゃんを・・・・」
「ルミナ、環境と立場が変われば過ぎていく時間と共に変わっていくんだ・・・・特に人の心なんてな? それは、俺もルミナもおんなじだと想うぞ?」
「でも・・でも、カイ兄ちゃん私の心は昔から変わってないよ?」
「・・・・」
俯くルミナを抱き寄せ頭を優しく撫で落ち着かせる俺は、彼女の言葉に応えることなくただ笑顔で抱き寄せていた。
街の北側へと移動し続け戦闘の爪痕だろう見渡す場所はどこも地面が深く抉れた丘陵地に辿り着いた俺達は、このまま夜を迎えることを避けるためサーシャが決めた窪地で野営をすることにした。
「カイ兄ちゃん、手伝うよ」
「ありがとな」
基本的に天幕設営を手伝わない4人娘達は周囲を見渡しているか寝転がりゴロゴロしている姿しか見ないけど、彼女達にもそれなりの役割がある・・・・と信じたい俺がいるも目の前にいるルミナは不満なようだ。
「・・いつも、あの人達はあんな感じなの?」
「そうだよ。いっつもな?」
設営を手伝ってくれるルミナは横目で何もしていない4人娘をジト目で見ているため、作業効率が落ちている。
「ふ〜ん」
「まぁ、気にすると負けだぞ?」
久しぶりの野営でもルミナが手伝ってくれたことで日没を迎える時間までに寝床を確保することができた・・・・
けど、なぜか全員でこの狭い天幕の中で寝転がっている状況に俺は、さっきまでのことを思い出し呟く。
「・・どうしてこうなった」
居心地の良いこの丘陵地は夜になると山の方から風が吹き始め、揺れる焚き火の炎で暖をとっても肌寒く感じる俺は誰よりも先に天幕へと避難し寝床を確保し、しばらく時間が経った後にルミナが俺の隣にゴロンと寝転ぶ。
「カイ兄ちゃん、外は寒いね」
焚き火を囲み暖をとりシマチ達と会話をしていたルミナは毛布に包まりながら身を寄せてくる。
「けっこう風が吹いていたからな」
「うん。それにしても、カイ兄ちゃんのマジックポーチ便利だね。野営であんな美味しいご飯が食べれるなんて思ってなかったよ」
「騎士団は、今もあの携行食なんだろ?」
「うん。アレは固すぎて無理だよね。入団した頃は、よく泣きながら皆んなで食べてたもん」
ルミナと2人で会話をしていると、少し彼女の反応は鈍くなりそして反応がなくなると小さな寝息を立てていた。
「・・寝ちゃったか」
彼女の寝顔を見た俺に不意に込み上げてくる欠伸を素直に受け入れ眠りにつこうとしたタイミングに天幕の幕がガサガサッと音を出し揺れると、ヒョコッとシマチがネコ姿で入ってきて迷わず俺の身体の上を歩き胸元でゴロンと丸くなり小さく鳴いた。
「にゃっ」
「こんな感じは久しぶりだな? シマチ」
騎士団時代に個人用天幕で寝ている時に遊びに来たシマチは、毎晩胸元で丸くなり寝てしまうから背中や頭を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らす。
そのうち熟睡するシマチは少しづつ頭を喉元へズラし寄せてくるため、俺の鼻息でネコ耳がピコッと動くたびに鼻先をくすぐられるためくすぐったい。
そのおかげでなかなか寝付けないけど可愛く癒されるため我慢して抱き締めるも、襲い掛かる睡魔には勝てず意識を手放そうとした途中で新たに重みを感じ目を開けると、銀色の毛並みで小型犬でサイズのフェンリルが腹の上で寝ている姿があった。
「・・ユ、ユキナ?」
「わふっ・・」
初めて聞いたユキナが吠える声が何も言うなと訴えているような気がして諦めると、フワッと風を感じると右隣りに金髪碧眼のサーシャが寝転び俺を見ていた。
「おぅ・・サーシャ?」
「今夜は、思った以上に冷えるわ」
「そうみたい・・だな」
「何よ?」
「いや、なんでも・・ないよ?」
「そう・・・・」
右腕を眠るサーシャに掴まれると彼女の深い谷間へと導かれ挟まれ微動だにできなくなった俺は、ゆっくりとため息を吐きだし小さくつぶやいていた。
「・・どうしてこうなった」
体温が高めのシマチとユキナの影響なのか、肌寒い夜もじんわりと温まりいつの間にか眠りに落ちていたようで不意に目を覚ますと目の前に銀色と緑色の瞳がありジッと見つめ合うのだった・・・・。
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ルミナと4人娘と人探しの旅が少し続きます。
この先の物語で、どちらの人間を先に再会させるか
悩んでます・・・・。
どーしよう笑
誰か教えてください。