なんだかんだで、ルミナと人探しに行く流れになりました
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「魔法士さん、貴方は王都に帰るのよね?」
「・・・・帰りません」
「はい? 帰るのよね?」
「ぅぅ・・」
サーシャは冷たく低い声で聞き返し、ルミナはその威圧に屈しそうになるもグッと堪えている。
「サーシャ、そんな威圧的な態度は・・な?」
俺の言葉にチラッと視線を向け反応するサーシャは、ふぅっと短くため息をついて胸の前で組んでいた腕を腰の後ろへと回しルミナの返事を待つ。
「・・その、私はカイ兄ちゃんといたい」
少し間をあけてから答えたルミナに、サーシャは一歩前に踏み込み聞き返す。
「魔法士さんは、王国騎士団の貴重な戦力として扱われている騎士団の人間なのよね?」
「そ、そうよ」
「帝国との戦いはどうするのかしら?」
「あんな化け物がいる帝国に王国は勝てない・・・・私の部隊は壊滅した・・大切な部下達はもういない・・・・」
だんだんと声が小さくなり俯き泣き出すルミナを見てエルフ族特有の高圧的な態度は消えてしまい、サーシャは俺になんとかしろと目で訴えてくる。
「ルミナ・・」
声をかけるもシマチ達が囲んでいるため身動きが取れない俺は、どうしようかと悩んでいると隣りに座っているスミハが先に声をかける。
「ルミナとやら・・カイと共に生きたいというのじゃな?」
「・・そうだよ。もう決めているもん」
「うむ・・ならば、過去を精算する必要があるのじゃ」
「過去を精算?」
「そうじゃ・・其方の国騎士団は、カイに対してどういう扱いをしてきたのじゃ? まさか忘れたとは言うまい」
「そ、それは・・・・」
サーシャの碧眼からスミハの金色の瞳に見つめられ問われるルミナは、何回か視線を逸らすも紅い瞳でスミハを見つめる。
「・・で、あればカイと共に生きるのならば、其方がすることは一つだけなのじゃ」
「な、何をすればいいの?」
「うむ。簡単なことなのじゃ・・騎士団を辞めるのじゃ」
「そ、それは・・」
「ん? できぬと言うのならば、ここから立ち去るのが良かろう。カイを捨て駒にした騎士団の関係者と過ごすことを認めないのは、妾だけじゃないのじゃぞ?」
シマチとユキナそしてサーシャまでもが、見渡すルミナにやいして無言で頷く反応に驚いてしまうも納得する自分がいる。
「・・カイ兄ちゃん」
「ルミナ・・自分で決めてくれ」
「その、辞めるってことは王国を裏切ること?」
「いや、違うと思うぞルミナ・・ただ関わらないだけであって、裏切る意味ではないかな? たぶん・・・・」
「たぶんって、カイ兄ちゃん・・ねぇってば・・・・」
俺自身もはっきりわからない問題にルミナから逃げるように膝の上に座るシマチを抱き抱えながら立ち上がり、朝の野菜の収穫がまだだったと呟きながら畑へと向かい離れた俺は、足元に大きめのカゴを足元に置く。
「いい場所見つけたにゃ」
シマチはスルッと俺から離れるとネコの姿へと変わりカゴの中に入るとクルンッと丸まり、細く長いシッポの先をゆっくり揺らし目を閉じる。
「・・やっぱ、ネコだな」
「にゃっ」
見たままのネコ姿になるシマチを見て呟くと、シマチは小さく鳴き右前足を伸ばし俺の腕をパシっと叩き否定しているようだ。
「はいはい、そうだな」
鋭い爪は出ていないため肉球のプニッとした柔らかさで攻撃するシマチの頭を撫で大人しくさせたところで、採れたて野菜を遠慮なく体の上に積み重ね、とりあえず顔だけは見えるようにした。
シマチがカゴの中にいる分だけ野菜を収穫できないのに普段より重たいカゴを両手で持ち家の外にある洗い場へと向かいカゴを置く。
「シマチ、そろそろカゴから出てこないか?」
「・・・・」
シマチからの返事はないためそのまま積み重ねた野菜を手に取り土を洗い流す作業をしていると、ルミナが1人近付いて来るも気付かないフリをする。
「カイ兄ちゃん・・」
「どうした?」
畑作業をしていた俺はルミナとサーシャ達が話しをしているのを遠目に見ていただけで、彼女らの会話は知らないけどルミナの表情を見て彼女の中で決心したようだ。
「あのね、少しだけでも良いから手伝って欲しいの」
「何をかな?」
「ネルルを・・行方がわからない部隊の子達を探すのを手伝って欲しいです」
「場所はわかるのか?」
「・・曖昧だけど、大丈夫だと思う」
「わかった。準備ができたら出発しよう」
「ありがとう、カイ兄ちゃん」
妹的な存在であるルミナのお願いを断る理由が見つからない俺は、即答で了承しつつカゴで寝ているシマチを抱き上げ大きな野菜と間違えたフリで冷たい水で身体を洗うと、フシャーッ!と威嚇しながら暴れ何処かへ逃げて行く。
「よし! シマチも起きたことだし、出掛ける支度でもするか!」
マジックポーチに収穫した野菜を収納してから部屋に戻り旅の準備を済ませリビングへと戻ると、スミハとユキナそしてサーシャが待っていた。
「まさか、お前らも来るのか?」
コクリと笑顔で頷くスミハとユキナに対してプイッと顔を逸らしてから僅かに遅れて頷くサーシャの反応に突っ込みたくなるのを我慢し、1人だけここにいないシマチの居場所を聞いた。
「シマチは?」
「あのネコは水浸しになったから風呂に行ったのじゃ」
スミハが笑いながら教えてくれたところで、ちょうど風呂から帰って来たシマチがリビングに姿を現す。
「にゃにゃ?」
「シマチ、少しあの街のその先の方へ人探しに出かけるけど来るか?」
「行くにゃ!」
シマチは他の3人の格好を見て急いで部屋へと戻ると、ほんの十数秒の時間で支度を終わらせリビングに戻って来た。
「カイ、出発にゃ!」
「お、おう・・早いな」
4人娘とルミナが先に家の外へと出た後に俺は家の戸締まりを確認して外へと出てドアの戸締まりをして合流する。
「お待たせ・・行こうか」
まだ収穫できていない畑の野菜を見ながら胸の中で食べてあげれなくてゴメンと思いつつ、罠を仕掛けていない安全な道をを先導し獣道を歩き山を降り街道を目指したのだった・・・・。
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これからは、ルミナのネルル達の捜索にカイ達が同行する
話になります。その途中で、思わぬ再会もあります。
その存在が、王国側か帝国側なのかは進む話しの中で
想像してみてもらえれば幸いです。
また、投稿も不定期ですが引き続きお付き合いをお願いします。




