嵐の夜に珍客が訪れ驚愕しています・・
アクセスありがとうございます。
今日は1話だけの投稿です。
「・・ディラント=アールイス。所属は・・・・第1戦闘騎兵団ってことは、副団長様のとこか」
家の玄関前で力尽きた若い騎士を埋葬した時に騎士団時代に染み付いていた行為が自然と出てしまい、認識票を回収し獣道を歩きながら何者なのかを確認してしまう自分がいる。
戦場となってしまったあの街に行けなくなった俺は、昼夜問わず聞こえてくる戦闘音がいつの間にか鳴り響かなくなっていたことに、朝の野菜を収穫している時に思い出すかのように気づく。
「・・戦いは終わったのかな?」
あの日から戦線が拡大し街の周辺が巻き込まれることなく戦闘が終息したと勝手に決め付け、のんびりと畑の手入れをしながら実った野菜を収穫し昼食後はのんびりと過ごし、陽が沈む頃に再び動き出し夕食の支度を始めるという生活を繰り返していた嵐の夜に日常を脅かす存在が近づいていた。
普段通りに起きてから昼の時間までに農作業をしていると、雲一つない青空を灰色の雲が覆い始めひんやりとした風が吹き出した後に大粒の雨が降り出してしまったため、野菜の収穫を諦め家へと戻りリビングの窓から外を眺め呟く。
「・・今日は雨が止むことを期待できなさそうだな」
雨風が窓を叩くように吹きつけ、とても外に出られる状態ではないことに今日のやることが無くなってしまった俺は、夜まで寝室のベッドで過ごし夜になったところで風は収まるも地面を叩きつけるような雨音は聞こえてはいたけど、今日の少しだけの疲れを癒したい俺は一度だけ外に出ないといけない場所にある風呂場へと向かう。
「うわぁ、びしょ濡れだ・・・・部屋から行けるようにしないと、流石にダメだな」
風呂場に向かうため玄関ドアを開け外へ出た瞬間に頭から大量の雨を浴びてしまい全身びしょ濡れになりつつ、少しでもマシだろう家の裏を通り風呂場の入り口ドアを開けて中に入るも、最初の一歩からびしょ濡れだったから普段通りに行けば良かったと脱衣所で服を脱ぎながら後悔する。
「さてと・・先に湯を入れますか」
冷えた身体をすぐに温めたいと思うも、大きな浴槽には一滴のお湯もないため洗い場で身体を洗う時間でシマチ達が街で買ってくれていた魔法具を使い勢い良く浴槽に湯を貯める。
のんびりと身体を洗い終える直前に背後の浴槽から貯まった湯が溢れて排水口へと流れる音が聞こえたため、慌てて立ち上がり頭から流れ落ちる水滴で左目を瞑るも、なんとか魔法具の作動を停止させることができそのまま浴槽へと入る。
「うぃ〜〜」
適度な水圧で身体が締め付けられ足を伸ばしゆったりとした姿勢になりながら至福の声を漏らし、浴室に漂う木の香りで精神的にも癒され幸福な時間を満喫している俺を邪魔するかのように外で物音が聞こえたような気がした。
雨音だけが聞こえるはずの夜に、聞こえないはずの何かが倒されたような物音が聞こえた俺は、閉じていた目をパチッと開きつつ気配探知スキルで周囲の気配を探ると、家の近くに1つの気配を捉える。
「1人・・シマチ達じゃないな・・・・誰だ?」
気配探知スキルで相手の位置を感じながら湯の中で口を開き言葉を発したことで、ブクブクと泡が水面へと上がり弾け消えていくのを見ながらこのまま素早く脱衣所へと向かい服を着て対処するか、それともこのまま息を潜め相手が去って行くか悩んでいるうちに、その気配はゆっくりと家の周りを探るように移動し裏手へと向かうも時々足を止めてから再び動き始め結果的にグルッと周った後に風呂の入り口ドア前で止まってしまった。
(おいおいマジかよ・・・・)
相手の気配を追うことに夢中になっていた俺は、もう音が聞こえないよう湯船から出るタイミングを失っていおり、当然ながらここに身を守る武器も無い。
あるのは、程よいサイズ感の木製桶が2つ・・・・。
ガラガラ・・
相手はどうやら入り口のドアを開けて脱衣所に侵入して来たようだ。その音を聞きながら俺は高鳴る心臓の音を聞きながらゆっくりと浴槽から出て、初めて全裸での戦闘にどうすれば良いのかさっぱり何も浮かばす、ただポカポカに温まった全身を纏い洗い場にある2つの桶を手にして1つを大事な部分を隠し守る。
コツコツ・・コツ・・コツ・・・・コツ・・
ドア1つ挟んだ向こう側の脱衣所で不規則なリズムで隠しきれない小さな足音が近づいてくるのを耳にしながら、右手で持つ頼りない桶を構える。
コツ・・コツ・・・・
俺が脱いだ服しかないはずの脱衣所を探るように歩いていた気配は、とうとう浴室ドアの前で立ち止まりしばらく動かなくなり音は聞こえなり静寂が支配する・・・・。
「・・・・ヘックシュン!!」
そんな互いに探り合う静寂な時間を、湯冷めし耐えきれなくなった俺はクシャミで先手を打つ。
ガラッ!
クシャミ特有の両目を瞑ってしまう現象に抗えない俺は盛大な隙を作り、それを見逃すこともなかった侵入者が浴室ドアを思いっきり開放した音を聞いた俺は、危機的状況の中で瞑っていた両目を開くも手遅れだった。
「・・なんで、ちょい開け?」
もう一撃で殺されると思いながら、せめて命を狙う侵入者の顔を見てやろうと目を開いた先の光景は、侵入者の容姿ではなくシマチがネコ姿で侵入してくる時と同じ程度の幅しか空いておらず、ただ俺の方を覗く瞳の高さが足元ではなく少し下程度の高さだったため、侵入者と視線が重なってしまった。
「「 ・・・・・・ 」」
僅かに開かれたドアの隙間から覗く紅い瞳は、重ねていた視線を俺から外し下へとゆっくり向けた後にスッと戻ってきた時には、ウルウルと紅い瞳が潤んでいく状況に自分が全裸だったということを思い出し口を開いた。
「・・な、なんだキミは?」
俺に向ける紅い瞳からはなぜか害意は感じられず、ただ泣き出しそうな瞳に何者かと告げると、瞳はクリッと大きくなり大粒の涙を零すとガラッとドアが一気に開かれ突然抱き付かれると、俺の視界を赤髪のポニーテールが揺れ懐かしい声が浴室に響き渡る。
「カイ兄ちゃん!!」
「えっ・・えぇ? ええ??」
突然抱き付かれた俺は聞き覚えのある懐かしい声を聞くも頭は混乱し、ただどうしたらいいかわからず固まってしまったのだった・・・・。
評価&いいね! ありがとうございます。
とうとう出会ってしまいました。
幕間からの流れからして、予想通りの展開だという
読者さんがほとんどだと思いますが・・。
これからもお付き合いをお願いします。




