幕間 王国騎士団魔法士団長 ルミナ=バトルクリーク③
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ゴッ! ゴツン・・ガシャン・・
酒場の一角で女冒険者達と交流を深めていく間に、1人・・また1人と酒に溺れ意識を失いテーブルへと伏せ手に持っていたジョッキを手放し床に落とし割っていく。
「ミーティアちゃん・・ルシアちゃん・・」
最初に絡んできた女冒険者アルティーネさんは、友人の2人が先に逝ってしまったことに驚きジョッキを持つ右手が止まっています。
「アルティーネさん、まだ残ってますよ?」
「うへぇ?」
優しく私が問いかけると酔っ払いずっと陽気な彼女の顔が一瞬凍ったように見えましたが、私は気にすることなく追加注文をして、飲み干す前に新たなジョッキを彼女の前に女給仕が置いてくれます。
「んぷぅ・・」
「おかわりをどうぞ・・」
口に手を当てるアルティーネさんに笑顔を向けつつ、私も新たに持ってきてもらったエール入りのジョッキを受け取り一口飲みます。
「・・・・」
私の無言の優しい圧力に屈したようで少しエールが残っていたジョッキを一気に飲み干し、溢れそうな程にエールが注がれたジョッキを持ちグイッと豪快に飲み始めたところで、そのまま椅子と一緒に背後に倒れ顔面にエールを浴びて床に寝転ぶと、そのまま動かなくなってしまいました。
「アルティーネさん?」
「だんちょ・・じゃなくて、ルミナさん」
「はい?」
「そろそろ、お開きにしましょう。もう他に相席する人がいません」
「・・・・そうね。帰りましょうか」
楽しく女子会をしていた席には私とネルルの他に、3人が顔をテーブルに伏して微動だにせず床にはアルティーネさんの他に4人が全身にエールを浴びて倒れている光景を見て宿に帰ることに決めました。
店内を見渡し暇そうにしている女給仕を呼び寄せ意識を失っている彼女達の分も支払い、後の始末は彼女達のパーティーメンバーに任せ店を出ました。
「酒場で金貨2枚は、やりすぎましたね〜だんちょぉ〜」
「そうね〜でも、成果はあったわ」
「それなら良かったですぅ〜・・・・それと、どうしますかぁ? 後ろのアレ」
「ん〜あそこの角を曲がってもしつこいようなら・・・・アレにするわよ」
「はぁ〜いぃイヒヒヒヒ・・・・」
暫くぶりに気持ちよくお酒を飲み終えて、冷たい夜風を浴びながらネルルと街の通りを歩く私達の背後を一定の距離を保ちついてくる複数の気配を気づかないフリをしていましたが、さすがに部下達が寝ている宿まで来られると面倒なのでしつこいようなら排除することにしました。
フラフラとおぼつかない足取りのままネルルと2人でなんで歩き、先に決めた角を曲がったところで酔った自分に治癒魔法をかけ酔いを覚まし、互いが正常に戻ったことを確かめるかのように視線を重ねます。
「ふぅ・・団長、まだついて来ますね」
「そうね。サクッと終わらせて、冷え切った布団で寝るわよ」
「はい・・あの、温もりならわたしが・・・・」
「死にたいのかしら?」
「婚姻もせず死ぬのはちょっと・・・」
「ふふっ・・さぁ、始めるわよ」
酒場を出てからずっと背後からついてきた複数の気配達は、角を曲がり姿が見えなくなったところで駆け出し向かっています。
気配を捉えながら奴らが一番驚くであろう曲がった先に待ち構える私達を見た距離の位置で待ち構えていると、角を曲がった直後にいる私達の姿に驚き足を止めて見せた反応は面白かったです。
「お兄さん達は、何かようなのかしら?」
「「「「「 ・・・・・・ 」」」」」
彼らの反応に楽しんでいた私より先にネルルが声をかけてしまったため、彼らと話す主導権を握られてしまったのが悔しいですが、彼女が普段出さない低い声に彼らは黙ってしまいます。
「無言を貫くのなら、このまま帰りなさい!」
ネルルの警告に5人の男達の中で1人が前に出て口を開きます。
「まぁまぁ、そんな警戒するなよ? 俺達は、店で飲みすぎていたお嬢ちゃん達が心配で来ただけなんだ」
「ほぅ・・ならば、問題ない。この気持ち良い夜風のおかげで酔いも覚めた」
少し見上げる程の背丈の男達の左端にいる男が喋るということは、彼がリーダー的存在なのだろうと思いつつ私は黙ったままネルルとの会話を聞き静観します。
「そんなわけないだろ? あんな大量の酒を飲んでいたんだぜ? いくら見た目が可愛さと違い大酒豪といえど、この短時間で酔いが覚めることなんてありえないさ。だから、こうやって俺達が夜道の安全を保障して家に送り届けてあげようとしたんだ」
「なるほど・・野蛮に見えて、実はそんな優しさを持っていたのだな?」
「そうそう・・俺達は、なんてったってこの街で活動するAランク冒険者パーティーだ」
「しかし、断る・・・・」
「はぃ?」
「必要ない・・案ずるな」
ネルルが相手に期待させながらも拒否する言動に思わず笑ってしまい、気持ち悪い優しさを押し売りしてきた彼らの表情は苛立っています。
「なっ・・人の優しさを断るのか!?」
「ふん・・くだらん。その薄っぺらい優しさの先には、私達の身体が目当てなのだろう?」
「てめっ・・調子に乗んなよ!?」
自称Aランク冒険者達だったので、もう少し紳士的なのかと思っていましたが、カイ兄ちゃんとは比べ物にならないほどの低俗な男達で、躊躇うことなく帯剣する武器を抜刀してしまったのでした・・・・。
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