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また帝国兵と対峙するもボッチなので街へ逃げた後に初めてギルマスと接触してしまいました

アクセスありがとうございます。


 帝国兵を率いる指揮官の男は立ち塞がる俺の姿を見て冒険者なのかと聞いてきた。なぜかその表情は今まで見てきた帝国兵達と違う気がする。


「俺は、王国冒険者だ・・」


「王国は多くの冒険者達を国の戦争に巻き込み多くの犠牲を出す愚かな国だ」


「そんな冒険者を排除したのは、お前ら帝国だろ?」


「戦場に立つ者に職業は関係ない・・もちろん、男も女もだがな!」


「だからと言って、逃げる住民は関係ないだろ?」


「ふっ・・国の戦争は、勝戦国の言い分が真実となり広まるのだ。たかが一つの街で起きたことなぞ知られることはない。アレらを殺そうが捕虜にしようがな? 生き残り勝った我らの行い全てが正しい!」


 指揮官の男がこの戦場の支配者のような態度になっていることが腹立たしい。


「おまえ・・死人に口なしってことか?」


「・・・・勝手に言っておれ。さぁ、これ以上話しても時間の無駄だ名も知らぬ冒険者よ。素直に諦め投降しろ」


「しねーよ。お前らは、ここで通行止めなんだよ・・大人しく帝国に帰れ!」


「どうやら王国の冒険者達は勇敢と無謀を履き違えているようだな。なら、抗えない数の暴力で蹂躙しこの世から消してやろう」


「履き違えているかもな・・・・でも、自信がなきゃ独りでここに来ないぞ?」


 これ以上の会話はないだろうと経験上理解している俺は、帯剣している愛剣を抜刀し構えると数で明らかに優勢な帝国兵達は余裕の笑みを浮かべながら統制もなく、まるで賊の動きのようにそれぞれがゆっくりと動き間合いを詰めて来た。


 そんな帝国兵を見渡しながら警戒していると、偶然にも街の門がある方向にいた若い帝国兵の1人の表情が緊張に支配されていることに気付けた俺は先手必勝と叫び全力で飛び出す。


「ひゃぁ!」


 兵士らしからぬ悲鳴をあげた帝国兵に一気に間合いを詰め、彼が剣を構える前に斬り倒した俺は囲まれ乱戦に持ち込まれる前にそのまま止まることなく走り街の門へと目指すと、思惑通り帝国兵達は狙いを俺に変えてくれたようで卑怯者と騒ぎながら魔物の群れのように追いかけて来る。


 門番のいない開けられたままとなった街の門の手前で立ち止まり振り返った俺は、帝国兵達がちゃんと俺を追いかけているのを見て街の中へと誘い込み門を人が1人通れるぐらいの幅に狭め近くに身を潜める。


 すると罵声を発しながら若く血の気が盛んな帝国兵が勢いを残したまま素直に1人ずつ門を通過し、姿を見せたところで急襲し斬り殺すと、遅れて2人が飛び込んで来たため続いて簡単に斬り殺した俺は血溜まりができた門から離れ近くの家屋へと身を潜める、


 ドガーンッ!!


 門から離れた数秒後に門が爆発と共に吹き飛び周囲に破片と砂塵を巻き上げその形を失った。


「攻撃魔法で門を吹き飛ばしやがった・・けど、この爆発音で周囲の人間が気付いてくれる」


 そんな期待をしていた俺だったけど、破壊された門の状況を見に来たのは騎士団ではなく冒険者が数人だけだったことに驚き、偶然身を潜める家屋の前で止まっていた冒険者に声をかける。


「なぁ・・」


「おわっ・・びっくりしたぁ〜」


「わりぃ・・」


 俺の声に驚いたようで、金髪の少年は全身をビクッとさせ振り返るところで俺は姿を見せ謝る。


「お前・・あまり見ない顔だな? んで、ここにいるんだ?」


「いやぁ、ちょっと逃げ遅れてさ」


「逃げ遅れたって、お前も冒険者だろ?」


「まぁな。それでさ、なんでこの場所に騎士がいないんだ? 」


 俺の質問に彼は、欲しかった街の情報を教えてくれる。


「そんなことも知らないのかよ・・騎士団は、街の北側で帝国と戦っていたけど戦線が崩壊して街まで撤退してきたんだよ。それからは、街に魔法放たれながらも北側の門を前線にして戦っているらしい」


「そうか・・それで、ここにいる冒険者達は?」


「街に残ったソロの生き残りだよ。他の連中は知らん・・とりあえず、南は冒険者が守れってことになっている」


「主力は北側か・・南側の、ここで指揮しているのは?」


「・・ホント、何も知らないんだな? 指揮は、ギルマスだ・・あそこの家の軒先にいるだろ」


「ギルマスが? あぁ、あれがこの街のギルマスだったな・・」


 冒険者ギルドで数回だけ見かけたことのある俺より背丈が少しだけ低いのに、腕は倍以上の太さで筋肉の塊のような体格で茶髪を短く刈り上げた青年だ。


「顔は爽やかイケメンだけど、あの腕はオーガ並みだよな」


「ホントだ・・とりあえず、話しでも聞いてくるよ」


「ちょっ・・待ってって・・おい!」


 名も知らない男冒険者が背後で引き留めようとするのを無視して俺は指揮をとるギルマスがいる場所へと走り向かうと、ギルマスは俺を爽やかな笑顔を向けるもその茶色の瞳には警戒心を持っていた。


「キミは何者だい?」


「・・ただのソロ冒険者」


「ふぅん・・剣士? でも、動きに冒険者特有の変な癖が見られないね」


 俺をジロジロと疑念の目で見るギルマスとの関係を悪化させないよう、ジョブを素直に答える。


「正解・・剣士」


「そう・・」


 聞いてきたのに興味なさそうに返事をするギルマスは、俺から視線を外し帝国兵が破壊した門へと向けると再び口を開く。


「ねぇ、門の向こうは帝国兵がいるのかい?」


「いるな、たくさん」


 そう答えていると舞い上がっていた砂塵は風に流され消えると、見事に破壊された門がその姿を現しいつでも街への侵入が可能な無防備な状態となる。


「そっか・・・・ここに集めた残り物Cランクのソロ冒険者で帝国兵を蹴散らせると思うかい?」


「Cランク・・厳しそうだな」


「うん、無理だよ。ギルドマスターのボク以外はね?」


「・・・・」


 自信満々のギルドマスターの言葉に反応することなく見事に破壊された門からは、ゆっくりと守りを固めた帝国兵達が侵入する光景にまだギルドマスターは何も発することなく、ただ静観しているだけだった・・・・。


評価&いいね!ありがとうございます。


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