辿り着いた村は開拓村だから静か過ぎるのは普通なのだろうか
アクセスありがとうございます。
各話の文字数がバラバラですいません。
1話1500文字数前後を基準にしたいのですが・・・・。
捕虜として連行し町に帰る予定だった俺は帝国側のミユキという黒髪少女を数日間共に歩いていたせいか、日常会話をするぐらいの関係までになった俺は、途中からミユキを帝国へ送り帰してやろうと思うも既に今から引き返せない距離まで移動していたため後の祭りだった。
「ミユキ、これ返すよ・・」
ミユキを捕虜として捕まえたあの日にした所持品検査で没収したマジックポーチを手渡すと、彼女は戸惑いつつ受け取り俺を見る。
「えっ? いいの?」
「あぁ、慣例でやっただけだし中身も見ていない。それに、俺が持っていても不要だからな」
「う、うん・・ありがとう」
森を抜けた後に見通しが良い丘陵地帯を移動するのは、遠くから騎士に発見される可能性があるため森林沿いを歩き仕方なく遠回りしていたら、偶然見つけることができた村に立ち寄ることにした。
「こんな開拓村に旅人とは珍しいな」
突然、村に来た俺とミユキを警戒することなく村の門兵の男は、座っていた椅子から立ち上がることなく話しかけてきた。
「どうも、偶然見つけて・・・・立ち寄っても?」
「あぁ、構わないぞ・・どうせこの開拓村には、何もないからな」
「宿も?」
「宿なんて立派な建物が、ここから見えるか? ないだろう? 雨風が凌げる程度のボロい簡易宿がそこにあるだけだ」
「そうか・・ありがとう」
「あぁ・・ようこそ、名もなき開拓村へ」
門兵の男が教えてくれた簡易宿があるらしい小屋へと村の門を通ると、背後から門兵の男に呼び止められ足を止め振り返る。
「なぁ、にいちゃん・・・・あんた王国騎士か?」
「・・・・元ね。今は、無職だ」
「なら問題ない・・気にするな」
俺が現役の王国騎士だったら門兵の男は俺をどうしたのだろうかと思いつつも、興味をなくしたように村の外へと顔を戻す門兵に背中を向け、止めていた足を動かし小屋へと入る。
「なんだい? 冷やかしなら、帰りな・・って村で見ない顔だね」
ドアを開けたちょうど正面に、30代くらいの女性が1人座り暇そうにしている姿があった。
「一晩だけ泊めて欲しい」
「・・こんな村に来るなんて、あんたら訳ありかい?」
「よくわかったね」
「後ろの嬢ちゃんを見れば、なんとなく気づくもんさ」
「あぁ、そうだね・・黒髪黒目だし」
「あんたの赤い目も、なかなか女心をくすぐるよ?」
「そりゃどうも・・で、いくらなの?」
「銅貨5枚・・素泊まりだから飯もないよ」
「それで十分だ」
殿の手当として支給されたばかりの銅貨5枚を女に支払うと、右のドアが部屋だと聞き入ると簡素な作りで今にも崩壊しそうな二段ベッドがあるだけで、なぜか毛布は1枚しかなくまだ個人用天幕で寝泊まりした方が数倍快適だと感じられた。
「・・・・激安な簡易宿だけはあるな。あの毛布はミユキが使え・・代わりに俺は下の段に寝る」
ここまでの野営でまともに寝れなかった俺は、簡素なベッドにゴロンと横になり揺れて軋む音が気になるも外で寝転ぶよりは遥かにマシであり、そのまま目を閉じてスッと意識が自然と沈んでいきかけたタイミングで、ミユキが上の段に上がった時の揺れで目が覚め、体重が軽いだろう彼女を支える柱がギシギシ音を立てながら軋み、このまま崩れ落ちてこないかと身構えるも持ち堪えてくれているようで、この状況に慣れてきた俺はそのまま気にならなくなり眠りに落ちた・・・・。
バキン!! ドゴッ!
大きな破壊音と共に何かが落ちて来た衝撃で意識が激痛と同時に強制的に覚醒され、目を開けると黒い何かに視界を覆われ手に柔らかい感触が伝わる。
「な、なんだ!?」
「ご、ごめんなさい」
耳元でミユキが謝る声を聞き、視界を覆っている黒いモノを掻き分けると部屋の天井が見えた。
「天井? なんで?」
「ごめんなさい、ベッドが急に壊れたの」
ミユキの言葉で予想していたことが現実となったことを知り、深呼吸をしてからミユキを立たせてから起き上がり崩れ落ちたベッドの破片を片付け終えてから受付の女の元へと向かう。
「すまん、ベッドを壊した・・」
「とうとう壊れたかい・・まぁ、そろそろ寿命だとは思っていたからね。部屋を変えるなら、追加で銅貨3枚だよ」
「いや、そのままで。毛布を追加できないか?」
「いいよ。今回は、サービスね」
「ありがとう」
女から毛布を受け取り部屋に戻ると、ミユキは部屋に散らばっていたベッド破片の残りを部屋の隅で積み上げていた。
「ミユキはベッドで寝ろ。俺は床で寝るから毛布を借りてきた」
「でも、わたし捕虜だから床で寝る」
「いい・・まだ床の方が寝心地は良いから。今夜は食べるものが無いから寝て過ごせ」
「うん・・」
まだ外が明るいうちから寝て過ごし空腹を紛らわすことにして、次に目を覚した時には既に外は暗く夜になっていて静かな部屋にミユキが啜り泣いていることを知る。
俺が目を覚ましたことをミユキは気付いたようで、すすり泣き漏れる音を必死に消そうとするもミユキにどうこう言う気がない俺は、暗い部屋で窓から見える夜空を見るも動かずジッとしているとミユキのお腹が空腹を主張する音が短く鳴った。
クゥ・・
「だめ・・気のせいだよ、わたしのお腹・・お願いだから」
小さくなるお腹の音は静かな部屋のせいでハッキリと主張してしまい、なんとか意識的に静かにさせようと頑張るミユキの意思に関係なく空腹を知らせるお腹の虫は鳴き続けた。
「ミユキ・・」
「ごめんなさい」
「あのな、腹減ったならちゃんと言えよ?」
「でも・・もう食べる物無いし、だから・・」
「まぁな・・でも、最低限の食い物はあるさ・・」
戦闘前に必ず騎士達に支給される携行食を俺も毎回受け取っていたけど、食べる猶予が皆無だったためマジックポーチには過去手につけていない今までの大量の携行食が収納スペースの大部分を占領している。
「ほら、食え・・普段なら不味くて森に投げ捨てる程の携行食だけど、空腹の今なら食えるかもだぞ」
極限にまで圧縮され焼き固められた焼き菓子のように硬く、ひと口サイズの携行食を数個だけ先にユキに手渡し俺も一緒に食べることに決めた。
「ミユキ、いきなり齧ると歯が折れるから・・」
ガリッ・・
「んっ・・ぺっ」
「だから言っただろ? ほら、口を開けて中を見せろ」
素直にあ〜んと大きく口を開けるミユキの俺ただろう歯を探すもどこにも無く、真っ白で綺麗な歯をしていた。
「お、折れてない・・平気か?」
「うん。硬くてビックリしたけど、大丈夫」
「そ、そうか・・なら良いけど」
ガリッ・・ガリッ・・ガリガリ・・
微塵も躊躇うことなく、あの硬い携行食を咀嚼するミユキを見て、俺にもできそうだと思えてきたためグッと噛んでみるも本能的にダメだと途中で諦め断念し、食べ続けるミユキに視線を向ける。
「・・どんな強い歯を持ってんだよ」
「ん? 普通だよ」
「なんか、木も噛み切れそうだな?」
「それは、流石に無理だよ〜」
ガリガリと咀嚼音をさせながら笑顔で両手で持ち食べているミユキの姿を、窓から差し込んだ月明かりに照らされると、まるで人骨をバリバリ食べる悪魔にみえ背筋がゾッとしたことはミユキ本人には黙っておこうと心に誓っていると、空腹が満たされ久しぶりに魔物から寝込み襲われる心配がないことでぐっすりと眠りについたのだった・・・・。
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