街の様子が変わってきて、何かが始まりそうな足音が聞こえそうです
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シマチ達と山小屋のような家へと戻って来てからの生活は、のんびりと平穏な時間の中で過ごし蓄えていた食料や日用品が少なくなった頃に近くにある街へと買い出しへ行くのは10日に一度の間隔となり行ったついでに冒険者ギルドへ立ち寄り今の王国の情勢を知ってから帰るという流れになっていた。
そんなある日の買い物で同じように冒険者ギルドへと向かった俺は、依頼掲示板に掲げられている依頼の中で騎士団が依頼主のモノが増えていることが気になり、顔見知りの受付嬢に声をかけて聞いた。
「エレンさん、ちょっといかな?」
「あっカイさん・・・・お久しぶりです。どうかしましたか?」
金髪碧眼のエレンさんはエルフ族らしく、一緒に暮らすエルフ娘がギルドに来ると普段以上に低姿勢となり少し震えているように見えるため、最近エルフ娘をギルドに近づけさせないようにしている。
エレンさんは俺に呼び止められた後に視線を逸らし背後に誰かを探すような仕草をしたのは、きっと一緒にいるだろうエルフ娘の姿を反射的に探したのだろうと思うも触れることなく会話を続けることにしよう。
「久しぶりですね。あの、さっき依頼掲示板を見たんですけど騎士団からの依頼が多くないですか?」
「そうですね・・帝国がこの街の近くの山で頻繁に姿を見る情報が出回ってからは、急に増えましたね。最初は、後方支援の雑用や警備ばかりでしたが・・今は、直接戦闘に参加させる依頼も来てます」
「騎士団が冒険者を直接戦闘に?」
「はい・・Cランク以上という条件付きではありますが、皆さん高額報酬に目が眩んでいるようで次々に依頼受理されますが・・・・」
「・・が?」
「無事に戻って来た方は、ほんの僅かで・・そのほとんどの方が冒険者に復帰できないほどの重傷で運ばれているようです」
「マジかよ・・そんな危険な依頼なら、もう誰も行かないんじゃ?」
「はい。ですが、もう手遅れでこの街で見かける冒険者パーティーはDランク以下の方々だけとなりました」
「・・・・それって」
受付嬢エレンは不安な表情で書類を整理していた手を止める。
「もうこの街を守る冒険者パーティーに高位ランクは不在なのです」
「でも、他の街にいる冒険者を呼べば・・」
「何日も前に要請の通達をギルドで出していますが、まだ正式な返事はありません」
「どうして?」
「戦場に異常に強い存在がいると騎士団からギルドへと情報が流れたせいです。それを知った冒険者達は帰ってこない顔見知りの冒険者がいる事実に他のギルド支部も強制できないと・・」
「帝国にそんな強い兵力があったかな?」
「最近になって、その戦場を支配して王国側を押し退けているようです・・・・たしか、黒髪黒目の少年少女達と聞いています。彼らが姿を見せると、あっという間に戦局は劣勢となり敗走する運命だそうです」
「えっ? あの子らが?」
「カイさん? 何か知っているのですか?」
「あっ・・いや、別になんでもないですよ。それにしても、そんな強い奴らがいるなら王国騎士団は何やってるんですかねー」
勇者クン達が帝国兵の先陣をきって戦っているのなら、騎士団や並の冒険者達なら負けてしまうのも納得してしまう。
「それなら大丈夫ですよ。王都から増援として副団長率いる部隊と魔法士団長が率いる精鋭部隊がこの街に駐屯すると情報がありましたから」
「・・・・そ、そうなんですね」
ニッコリと笑うエレンさんに対して俺は2人の顔が浮かび顔が引き攣ってしまう。
「カイさん?」
「い、いえ・・なんでもないですよ? はい。それじゃ、買い忘れた物を思い出したんで・・」
逃げるように冒険者ギルドから出た俺は、商店で買い物をしているだろうシマチ達を探し通りを歩いていると、店の前で不満そうな表情をするシマチがいた。
「シマチ、どうした?」
「・・んにゃ? カイ、ここのお店は欲しいのを全部売ってくれないにゃ」
「ん? そりゃ、在庫も売れ切れたんだろ?」
「違うにゃ! 最初から少ししか売ってなかったにゃ!」
「ど、どういうこと?」
急に怒るシマチを落ち着かせるため頭を撫でてピンッと立つネコ耳を弄りふにゃっとさせてから対面する店の女店主に話を聞いた。
「いったい、何があったんです?」
「いやぁね、ここ最近になって街に物資が流れてこなくなって来たのよ。それをあの子達に言っても納得してくれなくて困ってるのよ・・」
「街に物資が入ってこない? 商人ギルドから何か制限でも?」
「そうなの・・ここだけの話しだけど、毎日物資を運んでくれる隊商が街道で襲撃されているらしいの。でも、命までは取られず、ただ物資だけを強奪されているのよ」
「物資だけを? 山賊とかではあり得ないですね」
「私もそう思うわ。強い護衛冒険者を雇っても、数で押されて強奪されてしまい所持品だけ持ってこの街に来てしまうからね」
山賊の仕業なら、高位ランク冒険者を多く雇えば蹴散らすことは十分可能なはず・・それに、命を奪わず物資だけを奪う行動が異様だ。
「・・そうですか。どうも、迷惑をかけました。他の店で買いますんで」
「残念だけど、他の商店も一緒だと思うわよ」
「ですよね〜」
不機嫌なシマチと平常運転の他の3人を連れて、帰りがけにある商店へと立ち寄るもどこも同じことを言われ結局欲しいものを十分買い揃えなかった他の3人の機嫌も悪くなり険悪なムードを漂わせながら街を出て家へと帰ったのだった・・・・。
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少しづつ平穏が崩れていきそうになりそうです。




